The ATTAS V2を西川みさとが試打「クセがない中でも特徴アリ」
新たなど真ん中調子モデル HS30m/s台の女子プロ評価は!?
USTマミヤの大人気シリーズ「ATTAS」より、14代目として登場した「The ATTAS V2」。金谷拓実、稲見萌寧らが長年使用していた2018年発売の10代目「The ATTAS」を継承し、クセのないしなり感を踏襲しつつ、よりニュートラルな剛性分布に再設計した究極の中調子という。そんな同社が誇る“ど真ん中”モデルを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずはHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。
「とにかくタイミングが取りやすい 程よいしなり&粘り感」
―率直な印象は?
「これまでグラファイトデザイン、三菱ケミカル、藤倉コンポジットと、他社の『4S』モデルを比較してきましたが、一番走り感も粘り感もあり、とてもタイミングが取りやすかったです。しなってほしい部分がしなり、粘ってほしい部分がちゃんと粘る。イメージ通りにシャフトが動いてくれるため、思い通りにボールを運ぶことができました」
―タイミングが取りやすい…?
「はい。『4S』という設定で軽さがありつつ、やはり特性としては、しなり戻る感触がないと、私はタイミングが取りにくいことを再認識しました(笑)。しなり戻ってくれるからこそ、寛容性が備わっていて、振り遅れてしまったシーンでもインパクトでシャフトが間に合わせてくれる働きをしてくれる。フェースの先端側に当たりそうな場面でも、シャフトがしなり戻ってくれる分、芯に当てられたショットがいくつもありました。他モデルでは、フレックスSの硬すぎる印象が強く残りましたが、この『―V2』はしっかりしなってしっかり粘ることで、シャフトに求める純粋な動きが備わっている点で好印象に映りました」
―クセのない特徴ということですか?
「そうですね。最近はクセのない特性のモデルが多く発売されていて、その中では比較的に、特徴があるほうだと思います。もちろん先端がビュンビュン走ったり、手元がグィーンと、明確に粘るわけではないのですが、程よく動いてくれる特徴を持ち合わせています。もともと『ATTAS』シリーズは、個性の強いモデルが多い印象でしたが、その中ではやや控えめながら特徴をしっかり出している印象。初めから食わず嫌いで試さずにいるのがもったいなく感じるほど、扱いやすく合わせやすい特性を感じます」
―「4S」のスペックが合っていた?
「確かに、そうかもしれません。このしなり具合で、50g台に重量を上げてしまうと、私のHS(平均36.2m/s)ではヘッドの位置を把握し切れず、暴れてしまう可能性があります。同シリーズの過去モデルで、かなり暴れてしまった経験を持っていたため、そのときの印象が強いだけかもしれませんが、試打中に他スペックで試してみたいとは思いませんでした。40g台のスッキリ感により、私のHSでもクラブが振り切れた分、適度なシャフトの特性を十分に感じることができたのだと思います」
―テーラーメイド「ステルス2 ドライバー」との組み合わせは?
「『ステルス2』自体が、寛容性が高く、ボールのつかまり具合も高さも出しやすいヘッドだったので、シャフトのクセがない分、その特性をしっかり味わうことができました。どのモデルと相性が良い? と考える必要がないほど、本当にヘッドの種類を選ばないシャフトだと思います。通常、プレーヤーの切り返しのタイミング次第で、しなりを感じる量も変わってくると思うのですが、『―V2』はどのヘッドと合わせても心地よく振りやすいと感じる動きをしてくれるので、オールマイティに組み合わせることができます」
―どのような人向き?
「男性でも女性でも、パワーのある人から非力な人まで、しっかりカバーしてくれるシャフトです。『4S』に絞って考えると、男性ゴルファーではやや軽すぎると思われるかもしれませんが、どんなスピード感で振っても大きく暴れる心配もないので、軽めのスペックでも、マッチしてくれる可能性は高いです。プレーヤーとも、ヘッドとも、どちらの組み合わせとも問題を起こしにくい特性。同シリーズの他モデル、同じ特性の他社モデルと比べても、失敗する確率の低いモデルといえます」
走り4.5:粘り4.0が程よさを演出【総合評価4.1点】
【走り感】4.5
【粘り感】4.0
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【デザイン】4.0
・使用モデル:4(硬さS)
・使用ヘッド:テーラーメイド ステルス2 ドライバー(ロフト角10.5度)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 西川みさと プロフィール
1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。専大時代の1998年に「日本女子学生選手権」で優勝。大山志保・古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場した。2002年のプロテスト合格後は、飛距離こそ出ないものの、ショートウッドを巧みに使う技巧派として、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで人気を集めた。