クラブ試打 三者三様

BRNR MINI ドライバーを西川みさとが試打「3Wとは違うコンセプト」

2023/08/29 20:00

異例の大ヒット!最新ミニドラ HS30m/s台の女子プロ評価は!?

ヘッド体積304ccのコンパクトボディに最新テクノロジーを詰め込んだテーラーメイド「BRNR MINI ドライバー」。6月に数量限定で発売するものの、予約が殺到してすぐに品薄状態に。そんな異例の大ヒットを記録している最新“ミニドラ”を有識者3人が採点。まずは、HS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。

「私は必要に感じないけれど 欲しい人にはたまらない独自路線」

常に同じ弾道で安定していたが 西川本人は低すぎる弾道に納得せず…

―率直な印象は?
「全て同じ弾道で、低くて強い球筋を忠実に生み出す性能の高さを実感することができました。私のHSでは(平均34.8m/s)十分な飛距離が出せなかったため、ドライバーとしての機能を発揮できませんでしたが、男子プロ並みのパワーヒッターの方には、コンセプト通りに使えるクラブだと思います。きっと“ミニドラ”でも、現在の主流といえる460ccの大型ヘッドと比べ、飛距離がそれほど変わらない人向けかなといった印象を受けます」

レトロなデザイン&高性能が受け 超人気モデルに

―西川さんと同じHSの人には厳しい?
「そうですね、正直、厳しいと思います。ドライバーより飛距離は落ちるものの、ドライバー以上の方向性の精度を保つクラブとして、“ミニドラ”とスプーン(3W)を比べた場合、使い勝手の良さでは3Wのほうが上。芝の上からでもボールを拾えるイメージが湧き、ティアップでも使用できる利便性は『BRNR MINI』にはありません。私くらいのHSのゴルファーが使うと考えた場合、14本の中に入れるセッティングとして選択肢に入る確率は極めて低い気がします」

フェアウェイウッドと比べるとやや肉厚な部分を指摘

―3Wとの具体的な違いは?
「大きな違いはふたつ。ひとつはロフト角が立っている点、もうひとつはディープフェースである(上下が厚い)ことです。ロフト角11.5と13.5度のラインアップで、一般的な3Wの15度前後と比べると、弾道はどうしても低くなります。ボールを上げることより前に飛ばす要素を強調した“ミニドラ”では、3Wとサイズ感は似ているものの用途はかなり絞られるでしょう」

フェース中央に映えるのは旧式の同社ロゴ「T」のマーク

―構えやすさの評価は?
「小ぶりなサイズ感で設計されているため、現在の一般的なドライバーのカテゴリーで考えると、私はどうしても不安を感じてしまいます。そもそも20年以上前のモデルと同形状にした理由は、当時の感覚で打ちたいベテランゴルファー向けにしているからと推測できます。操作性に特化しているからこそ、逆に安心感を抱くことができるユーザーが対象になっているのではないでしょうか」

ヘッドと色味を合わせた純正シャフト「UST マミヤ PROFORCE 65 M40X JP SPEC」

―海外ツアーではかなり使用選手も多い模様ですが?
「“ミニドラ”というと、フィル・ミケルソンが13年『マスターズ』で使用したことが話題となり、そこから注目されたことを考えると、PGAツアー選手が460ccドライバーと併用して使うことが、もともとの存在意義のように感じます。非力な私が実戦でどのように使うか? シミュレーションをしてみたところ、(弾道の高さを上げる目的で)ティを高くして使うことも考えましたが、3Wを通常の高さでティアップして打つことと比べれば、余計に難しく感じてしまう気がしました」

「私には合っていないが シャフトとのマッチングなど振り心地は◎」と西川

―どのような人向き?
「いまどきの大型ヘッドに、どうしても合わせられない人向き。HSが45m/s以上で、ドライバーをもっと上手に操作したいゴルファーに最適だと感じます。HSは速ければ速いほど必要に感じる人は増えるでしょう。過去に『オリジナルワン ミニドライバー』『300 ミニドライバー』も試打してきましたが、コンセプトは変わらず一貫していて、ターゲットはほとんど一緒。同社が狙う層に対し、基本的な発想は全くブレていないといえます」

HS30m/s台には必要ない? 飛距離3△の辛口評【総合評価3.7点】

【飛距離】3.0
【打 感】4.0
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】3.5

・ロフト角:11.5度
・使用シャフト:UST マミヤ PROFORCE 65 M40X JP SPEC(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 西川みさと プロフィール

1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。1998年「日本女子学生選手権」にて優勝し、大山志保古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場。2002年にプロテスト合格後は、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで活躍。23年国内女子シニア「JLPGAレジェンズチャンピオンシップ」優勝。

テーラーメイド
レトロな美学と現代テクノロジーの融合
発売日:2023/06/23 参考価格: 71,500円