クラブ試打 三者三様

ミズノプロ 241 アイアンを西川みさとが試打「もうひと回り大きければ満点」

2023/09/05 20:00

軟鉄鍛造の本格マッスル HS30m/s台の女子プロ評価は!?

フェースからネックまで一体成型する世界特許技術「グレインフローフォージドHD」を採用した最新「ミズノプロ」シリーズ。前作同様に3機種「241」「243」「245」構成だが、今回は打感と操作性の高さが特徴のマッスルバック「ミズノプロ 241 アイアン」をピックアップ。前作「ミズノプロ 221 アイアン」と比べながら有識者3人が採点。まずは、HS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。

「顔&打感はやはり格別! マイナーチェンジを繰り返したやさしさも」

さすが西川 ロボット試打かと思えるほどの正確性

―率直な印象は?
「マッスルバックということでヘッドサイズは小さいですが、きれいで美しい顔立ちは健在、シャープな格好よさが際立っています。言ってしまえば、サイズが小さいこと以外は、私の中ではパーフェクトに近い形状と性能かもしれません。このままもうひと回り大きくなってくれたらと希望するほどの完成度。ヒールからネックにかけての見え方による構えやすさから、シビアすぎない程よいやさしさを持つ構造まで、同社らしいアイアンへのこだわりを感じます」

シリーズ最高の打感を追求した究極のマッスルバックアイアン

―完成度が高いと感じる具体的な部分は?
「抜けの良さを考慮したソール幅、上から見た際に感じるトップブレード(フェース上の頭部分)の薄さとは裏腹に、振り心地ではそれほど難しく感じられない部分です。私のようにHSが遅いゴルファーでも、無理なく球を上げやすく、もともと操作性も高いため、フェードやドローをかけたい場面での微調整も可能。直進性も低いわけではなく、マッスルバックにしてはバックフェースの厚みが感じられるため、打感の良さも相まって、ミスが極端に出る要素をあまり感じませんでした」

プロのフィードバックをもとにヘッド長を前作より短く設計

―打感の心地よさは格別?
「そうですね。さすが“ミズノの軟鉄鍛造”といえるほど格別でした。同社の軟鉄鍛造は『やわらかい』と評されることが多いですが、実際はそれほどやわらかすぎるわけではなく、グチャッとボールが潰れすぎて、逆にコントロール不能となってしまう怖さは一切感じません。ちょうどいい弾き感を残しながら、手に伝わるフィーリングは確かにやわらかい。何とも言えない耳心地の良い打音と、しっかりヒットしたときに感じる何度も打ちたくなる絶好の感触は、『ミズノプロ』ならではと言わざるを得ません」

左241、右が前作221。バックフェース肉厚部の作りも若干シャープに

―前作「221」との違いは?
「両モデルを並べて、じっくり見ないと分からないほどの微小な差ですが、『221』のほうが若干フェースが広く見えました。構えたときの安心感は少しだけダウンしているといえます。ただ、私にとっては、どちらも同じく難しいと感じる見た目のため、決してサイズチェンジしたといえるほどの変化ではありません。打つ前にトップブレードを見た際、視覚から受けるシャープさが、若干増したといえる程度の違いです」

左から241、243、245。ソール幅はそれほど極端な差ではない

―同社の“軟鉄鍛造 推し”傾向は少し弱まった気がするのですが?
「そうですね。複合素材の鍛造シリーズ『JPX』が、並行モデルとして人気を二分するシリーズとなり、同社が軟鉄オンリーではなくなった影響が強いからかもしれません。『ミズノプロ』のマッスルバックモデルが、方向転換したとは言えないまでも、以前までの見た目から受ける全く歯が立たない印象から、私でも打つことができるレベルにやさしく変化しています。新モデルを重ねるごとに、マイナーチェンジを繰り返してきた結果といえるでしょうか」

「サイズ大小の希望はあるものの 同社が求める最適サイズなので仕方ない」と西川

―どのような人向き?
「以前同様、競技に出るような中上級者のアスリートゴルファーが対象ではありますが、ターゲット層の幅は確実に広がった印象を受けます。ハンディキャップが片手、もしくは最低でも両手で収まるレベル限定というわけではなくなり、打感を求める全てのゴルファーにマッチする可能性が出てきました。誰でも使えるというのは適当ではないですが、見た目以上に相当やさしさを実感できるモデルです。同シリーズを敬遠していたゴルファーも一度試してみてはいかがでしょうか」

完成度は点数には表せず… やはり気になるサイズ感【総合評価3.9点】

【飛距離】3.5
【打 感】4.5
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】3.5

・ロフト角:34度(7I)
・使用シャフト:ダイナミックゴールド HT(硬さS200)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 西川みさと プロフィール

1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。1998年「日本女子学生選手権」にて優勝し、大山志保古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場。2002年にプロテスト合格後は、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで活躍。23年国内女子シニア「JLPGAレジェンズチャンピオンシップ」優勝。

ミズノ
発売日:2023/09/15 参考価格: 145,200円