クラブ試打 三者三様

タイトリスト T150 アイアンを堀江智史が試打「分厚い当たりで驚きの飛び」

2023/10/07 20:00

23年モデルから新登場「T150」 ギアに詳しいレッスンコーチの評価は!?

タイトリスト「T」アイアンシリーズの中でも、新たなネーミングで登場した「T150 アイアン」。ボール初速と寛容性の向上を目指して新たに開発されたモデルとして、過去作にはない新たな特徴と性能を持ち合わせているという。そんなNEWモデルを、あえて前作「T100S アイアン」と比べながら有識者3人が採点。ゴルフテックで1・2を争うギア知識を持つコーチ・堀江智史の評価は!?

「『100』も飛ぶけどもっと飛ぶ! 驚きの飛距離性能&寛容性」

「T100」より左へ行く回数は減ったものの つかまり気味なのは同じ

―率直な印象は?
「いやー飛びましたね、予想以上の飛びです(7Iで平均179.8yd)。バックフェースの形状や厚みはほとんど『T100』と変わらないのに、これだけ飛んでしまうとは驚きました(T100は平均165.4yd)。『T100』よりロフト角が立っているとはいえ(7Iで32度/T100は34度)、かなり予想外です。ロフト角以外の構造、中身の違いが要因でしょう」

「マッスルチャンネル」をフェースに近づけたことでボール初速UPとソリッドな打感を実現

―中身がどう違うのでしょうか?
「インパクトでの感触は『T100』とそれほど変わりませんし、構えたときの印象も、バックフェースを並べて見比べた印象もほぼ一緒です。ただ、ソール幅を並べて比べると、若干厚みの違いを確認できます。インパクト前後での地面抵抗を減らし、抜けやすさをサポートするだけではなく、この厚みが球質の強さにも微妙に影響している気がしました。微小ながらきれいに抜ける分、ボールへのコンタクトが強めに入り、ボールを強く打ち出せているのでしょうか。ただ正直、この違いだけで約14ydの差が生まれるとは思えないのですが…」

左が「T100」右が「T150」。微小な差だが厚みが違う

―前作「T100S」との違いは?
「一方、前作『T100S』との違いは歴然で、上から見た際のトップブレードの厚みが違います。その影響からか、打感の厚みも今作のほうが感じられ、ボールに伝わるパワーの大きさを感じます。スパン!と弾く出球の印象で、打っていて気持ちいい。名称が変わったので当たり前かもしれませんが、『100』シリーズの前作との違い『T100』→『T100』より、『T100S』→『T150』の変化は大きく感じられました。『T100S』は本来のマッスルバックに近い打感で、『T150』は多少薄めに当たっても、分厚い当たりを確保してくれます。寛容性ももちろん高く、ミスヒット時でも許容範囲の飛びをキープしてくれる印象です」

左が「T150」右が前作「100S」。トップブレードの違いに注目

―平均飛距離が伸びそう?
「そうですね。ここまで分厚い当たりがキープできれば、明らかな“飛び系”とは違い、1球ずつの飛び性能というよりも、平均して飛距離が伸びる気がします。ミスも抑えられるので、スコアに直結してくれるでしょう。打った感じの気持ち良さも相まって、ラウンドが楽しくなるアイアンといえます」

ツアーモデルのシャープな外観をキープしたまま寛容性アップを図った形状

―気になるデメリットは?
「飛距離と寛容性が両立しているとはいえ、決して簡単なクラブではありません。ミスヒットに対して寛容とはいえ、他社のアベレージゴルファー向けモデルと比べると、極端に直進性が高いわけではない。あくまでも、前作や兄弟モデルと比べた中での評価。とにかくストレートに打つことができ、ミスを補ってくれるタイプではないので注意しましょう。フェードやドローを打ち分けつつ、多少のミスヒットをカバーしてくれるモデルと把握するべきです」

「『T100』に続いて予想外の飛びに脱帽」とその飛距離性能に驚く堀江

―どのような人向き?
「『T100』を使いたいけれど、ロフト角が寝すぎていて飛距離が思い通りに出ない人向き。形状とデザインは気に入っているのに、性能面で満足できないというゴルファーに、『T150』はマッチしてくれると思います。スマートなフォルムで所有感を満たしつつ、ボールを高く上げられ、前にもしっかり飛ばせる。できれば両モデルを打ち比べてみて、その違いを体感してから、どちらがいいか検討することをお勧めします」

満点が3項目並ぶなか気になる寛容性は4.0点【総合評価4.7点】

【飛距離】5.0
【打 感】5.0
【寛容性】4.0
【操作性】4.5
【構えやすさ】5.0

・ロフト角:32度(7I)
・使用シャフト:NSプロ モーダス3 120(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 堀江 智史(ほりえさとし) プロフィール

1979年10月25日生まれ、千葉県出身、ゴルフテック横浜所属。
学生時代に体育教師を目指していたが、ゴルフの面白さに触れレッスンの道を志す。学生時代に運動力学や機能解剖学を学び、小手先の動きではなく、体の「どの部分」を動かすと「どのように動くか」を分かりやすく説明することを心がけている。ギアの知識も豊富で、クラブの物理学的視点からアプローチしたレッスンも展開している。

タイトリスト
発売日:2023/08/25 参考価格: 165,000円