テーラーメイド P790 アイアンを住吉大輔が試打「かゆい所に手が届くアイアン」
番手ごとに内部構造が違う4代目 屈強なレッスンコーチの評価は!?
精悍でスマートな見た目と、それとは裏腹に持つ十分な飛距離性能が魅力のテーラーメイド「P790 アイアン」。4代目となった最新モデルは、番手ごとに異なる内部構造を採用し、重心設計を最適化することで、各番手で求める理想の弾道を生み出す設計となっている。そんな進化を続ける人気中空アイアンを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ゴルフテックで1・2を争う強振スインガー・住吉大輔コーチの評価は!?
「ショートにもロングにも欲しい要素をくみ取った“ハイブリッドシリーズ”」
―率直な印象は?
「中空構造というだけあって、やはり楽にボールを飛ばすことができます。弾道の高さもかなり出てくれるので、狙った位置に止めるために必要な“落下角度”が得やすい。しかも6、7番の長い番手では、飛距離が予想以上に出てくれるので、相当スコアメークが期待でき、逆に短い番手では中空モデルらしさを抑えて、飛びすぎるミスが起きにくいのでイメージ通りの距離が打てる。両要素が混在して不思議に感じるほど、使い手のニーズを反映させた“ハイブリッドなシリーズ”に仕上がっています」
―見た目の感想は?
「文句の付けようがないほど、完成度の高いシルエットです。もともと同社が得意の、クセがなく程よくシュッとした形状が好きで、『P』シリーズはその代表格として好印象を抱いていました。サテン仕上げでスッキリして見え、落ち着いて構えられる点も評価に値します。兄弟モデル『P770 アイアン』と比べて若干サイズが大きく操作性は落ちますが、それ以上に適度な安心感が持てるメリットのほうが大きく、総合的な構えやすさは同等、もしくはそれ以上に感じました」
―番手別での内部構造の違いは打感にも影響している?
「内部構造の違いの説明を受けると、『確かに…』と納得する部分もありますが、知らなければ何とも感じないほど、打感にはそれほど影響しないと思います。ただ、PWと比べて6、7番のほうがギュッと強めに出る初速の違いを感じるので、18ホールを回っていて適度な重心設計が施されているのに気づくことは多いでしょう。特に中空アイアンの欠点である飛びすぎて止まらない部分を、8番より短い番手で補えている設計は、グリーンを狙うシーンで常に安心感につながる。メリハリの効いた、まさにプレーヤーのかゆいところに手が届くアイアンセットといえます」
―他社でいうと類似モデルは?
「打ち出しからビヨーン!と前に飛ぶ典型的な“飛び系”ではなく、コントロールしつつも、前にグッと押し出してくれる点で、類似モデルは中空アイアンではない気がします。ピン『i230 アイアン』のような中空とキャビティアイアンの中間的要素を含み、独特でユニークな特性。ミズノ『ミズノプロ 245 アイアン』、タイトリスト『T200 アイアン』といった“THE・中空”と比べると少しキャビティ寄りに位置していると思います」
―気になるデメリットは?
「中空アイアンならではの特徴をあえて表していない点が、選ぶ側としては見えにくいデメリットになる可能性があります。良い意味で、飛びすぎてしまう欠点を薄めているので、飛距離重視型の人には物足りなく感じられ、逆にアイアンには全く飛距離を求めていないユーザーには、やや飛びすぎる部分が邪魔に。良くも悪くも突出した性能ではない部分が、イメージと異なってしまう危険性を孕(はら)んでいます」
―どのような人向き?
「基本的にはエンジョイゴルファー向きですが、その中でも向上心を持った人や、最近少しゴルフ熱が高まっている人に最適なモデルではないでしょうか。ゴルフを始めて2~3年が経過し、そろそろ本格的なマイクラブを購入したいという初中級者。楽に飛ばせつつ、寛容性も欲しいというセミアスリートゴルファー。まさに自分の“かゆい所”が分かってきた人にお勧めしたいアイアンです」
全体的にバランスの取れた配分 打感は秀逸◎5点満点【総合評価4.2点】
【飛距離】4.0
【打 感】5.0
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.0
・ロフト角:PW(45度)、9I(40度)、8I(35度)、7I(30.5度)、6I(26.5度)
・使用シャフト:ダイナミックゴールド EX Tour Issue(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 住吉 大輔(すみよしだいすけ) プロフィール
1988年10月30日生まれ、神奈川県出身、ゴルフテック横浜所属。高校時代に競技ゴルフを始め日本体育大学に進学。大学在学中にレッスンプロの道を目指し、レッスンに必要な運動力学や機能解剖学を専攻。感覚的なレッスンではなく科学的に分析をし事実に基づいたレッスンを行い、初心者から上級者まで分かりやすく丁寧なレッスンを心がけている。