クラブ試打 三者三様

Qi10 ドライバーを西川みさとが試打「フラット感がより強調された」

2024/03/12 19:49

新機軸10Kのスタンダードモデル HS40m/s未満の女子プロ評価は!?

カーボンウッドだからこそ実現できた新たなヘッド構造により、やさしさの世界基準“10K”を打ち出したテーラーメイド。上下左右の慣性モーメント合計値1万超えを果たした「Qi10 MAX ドライバー」の兄弟モデルとして、飛距離と寛容性をバランスよく兼ね備えた「Qi10 ドライバー」をピックアップする。ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずは、1WがHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。

「兄弟モデルの変化が微妙に影響? ヘッドの見え方がクローズアップ」

左右に散らばったものの曲がり幅は最小限に

―率直な印象は?
「まさに同社っぽいと言いますか、歴代モデルのイメージそのままの形状と性能で、違和感なく率直に打ちやすかったです。同シリーズというと、高慣性モーメントに大きく振り切った『―MAX』と、ツアーモデル『―LS』の間で、今作は一番シンプルでノーマルな位置付け。一番特徴を把握しやすいモデルといえます。ただ、構えたときのフラット感は好き嫌いが分かれそう…。今に始まった特徴ではないものの、見た目からつかまり具合の高さを感じられる『―MAX』が登場したことで、スタンダードモデルの“逃げ顔”イメージが、より強調されて感じます」

飛距離と寛容性のバランスを重視したスタンダードモデル

―より強調されて感じる…?
「はい。シリーズ名に左右上下の合計慣性モーメント値1万超えをPRした『Qi10』を掲げ、やさしさを強調している割には、前作『ステルス2 ドライバー』から極端な変化は見られず、フラットな特徴がより強調して見えてしまう…。しかも前作が膨張色の赤フェースだったのに対し、今作が締まって見える紺色に変わったことで、上下の厚みが薄く見え、全体がシャローフェースに見える。フェースの高さが低い分、ソールした際に地面に対してピタッとすわりが良く、同じライ角でもよりフラットに見える気がしました」

やさしすぎずシャープすぎない同社伝統的な顔立ち

―フラット感は今までと同じなのに?
「そうですね。不思議ではありますが、色のせいなのか、ちょっとフラット感が強調して見えます。極端に言えば、ドライバーではなくフェアウェイウッドのような感覚。ブラッシー(2W)とまでは言いませんが、芝の上からでも打てそうな雰囲気を感じます。『―MAX』と比べて投影面積が小さく見えるからでしょうか(?)。個人的にはもう少しアップライトで、打つ前からつかまり具合がイメージできるほうが好きなのですが…」

左が「Qi10」右が「―MAX」

―兄弟モデル「―MAX」と比べて弾道の違いは?
「やさしさでいえば、断然『―MAX』のほうが上。ですが、他社と比べて『―MAX』がとにかくつかまって高く上がる特性でもないので、弾道自体はそれほど変わらない気がします。18ホール中、ティショットで14回ドライバーを使うと考えると、やはり『―MAX』のほうが、構えたときの安心感があって力みが入らない分、メリットは大きい。しかし、もうひと伸びを期待できる飛距離性能や、ちょっとした操作性を求めるなら、今作は今作で利点が多い。そう考えると、実際にどちらかを選ぶ場合、自分だったら相当悩むと思います」

第3世代となる60層カーボンツイストフェース

―第3世代となるカーボンフェースは変化した?
前々作で初登場したときに言及しましたが、カーボンフェースだとインパクト時にボールが滑ってしまい、慣れているチタンフェースと比べると少し苦手意識を持っていました。ただ、今作は打音だけでは聞き分けができないほど改善されています。感触も決してやわらかすぎず、フィーリングに違和感を覚えることはありません。その理由が、第3世代ということで完成度が増したからとは断言できませんが、カーボンは絶対に嫌という人でも、一度は試してみる価値があると思いました」

「見た目の安心感を抜けば『―MAX』との違いはあまりない」(西川)

―どのような人向き?
「現在、同社のドライバーを使っていて、そろそろ新モデルに買い替えようとしている人向き。過去モデルから移行しても、全く問題ないと言い切れるのが今作の特徴。特に2代続いた『ステルス』シリーズ時に、カーボンフェースは気になっていたけれど、赤いカラーが主張しすぎて苦手で戸惑っていたゴルファーには、ぜひ試していただきたいです」

MAX評(4.0点)より+0.1 ちょっぴり前向き評価に【総合評価4.1点】

【飛距離】4.0
【打 感】4.5
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.0

・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:Diamana BLUE TM50(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 西川みさと プロフィール

1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。1998年「日本女子学生選手権」にて優勝し、大山志保古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場。2002年にプロテスト合格後は、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで活躍。23年国内女子シニア「JLPGAレジェンズチャンピオンシップ」優勝。

テーラーメイド
次世代のやさしさを探求
発売日:2024/02/02 参考価格: 95,700円