クラブ試打 三者三様

Qi10 MAX フェアウェイウッドを西川みさとが試打「HSは問わないMAXな安心感」

2024/04/09 20:00

“10K”を受け継ぐFWのMAXモデル HS40m/s未満の女子プロ評価は!?

テーラーメイドが提唱するやさしさの新世界基準“10K”。上下左右の慣性モーメント合計値1万g・cm2超えを果たしたドライバーシリーズを受け継ぎ、同社史上最高という慣性モーメントを実現したフェアウェイウッド(以下FW)をピックアップする。果たして、そのやさしさはドライバーに通ずる? いや、それ以上!? ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずは、1WがHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが慣性モーメント最大値「Qi10 MAX FW」の試打評価を行った。

「見た目が長所であり短所にも… 3機種から選ぶならスタンダード」

持ち球ドローが程よくかかった弾道を連発

―率直な印象は?
「構えた際のシルエットは大きく、フェースの高さは低くてシャロー。構えただけでボールが上がってくれそうな、やさしい印象を抱けます。同シリーズ『Qi10 MAX ドライバー』の“10K”超えにつながるMAXなやさしさをFWでも体感できる。飛距離やミスヒットに対する寛容性の面での性能うんぬんよりも、見た目から受けるミスヒットを恐れず安心して振っていけるイメージが、今作最大の武器ではないかと思います」

やさしさの新世界基準“10K”を受け継ぐFW

―MAXなやさしさ…?
「はい。他社のFWと比べても、すごくやさしいモデルに見受けられます。ただ、極端であるからこそ、好き嫌いははっきり分かれそう…。FWはティアップだけではなく、芝から直接打つシーンは多いので、大ぶりなヘッド後方が、操作性に対して邪魔に感じてしまう人もいると思うからです。かなり手前からダフっても地面を滑ってボールをとらえる安心要素と考えるか、手前にダフって思うようにミートができないマイナス面ととらえるか。明確な長所だからこそ極端な短所にもなり得るように感じました」

安心感を抱けるヘッドサイズ

―他の兄弟モデルと比べると?
「そうですね、私はスタンダードモデル『Qi10 FW』になるでしょうか。ドライバーで感じたイメージのままに、シビアすぎずやさしすぎない適度なサイズ感と、ボールを拾っていける操作性のバランスが良く、多くのゴルファーが選びやすいと感じました。逆に、『Qi10 ツアー FW』はシャフトの重量帯の違いからか(Diamana SILVER TM60/60g、他2モデルは58g ※どちらも硬さS)、振り心地が私にはやや重めで、自身のパワー不足を実感してしまう結果に…。顔立ちはハードには見えないので、カスタムシャフトやソール面のスライディングウエートを微調整すれば十分に選択肢に入るモデルではあると思います」

「ツイストフェース」「スピードポケット」同社おなじみのテクノロジーは継承

―西川さんはドライバーもスタンダードを選びましたが…。
「そうでしたね。今回はティアップで試打しましたが、芝上からでも拾いやすいのは『―MAX』かスタンダードになるかと思います。ただ、『―MAX』のような大型サイズのFWを、過去に使った経験がないので、ちゃんとボールにヒットできるかが心配。見慣れているシルエットで、打った弾道をイメージできるスタンダードは、操作性も感じられる範囲内で安心感を抱けるサイズ感で、そこが決め手になると思います。純正シャフト(Diamana BLUE TM50/硬さS)のままで選ぶなら、振り心地もベスト&見た目も絶妙なスタンダードが、一番実戦向きといえるのではないでしょうか」

順当にドライバーと同じ性格を配した3機種

―飛距離性能で選ぶなら「―ツアー」?
「『ツアー』…、うーん。あとはHSの問題になると思います。ある程度ヘッドに重さが感じられ、しっかり振り切れれば、絶対に飛距離にはつながると思いますので、ドライバーで40m/s以上のスピードを出せる人ならスタンダードは物足りなく感じてしまうかもしれません。『―ツアー』のヘッドの効き具合があったほうが振っていて気持ちがいいという人も多いのは事実。あとは一度実際にボールを打ってみて、FWに微小な軽快さを求めるか、シッカリ感を求めるかで選ぶべきでしょう。どうしてもスピードが足りない私には、芝からボールを確実に浮かせられるメリットを取って、スタンダードになると思います」

「ドライバーでMAXを選ぶ人は FWもMAXを選ぶべき」(西川)

―どのような人向き?
「どんなゴルファーに向いているかというよりも、どんなゴルファーでも扱えるモデル。全ゴルファーが対象になる気がします。私くらいのHS(ドライバー平均35~36m/s)があれば全く問題ないでしょう。同社FWは、見た目の美しい形状からファンが多く、ドライバーは他社を使っていても、FWは同社モデルを選んでいるゴルファーを多く見かけます。これまで使用していなかった人も、今作で気になった場合には一度、試してみてほしいです」

長所は長所で高評価 飛距離&寛容性4.5点【総合評価4.2点】

【飛距離】4.5
【打 感】4.0
【寛容性】4.5
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.0

・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:Diamana BLUE TM50(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 西川みさと プロフィール

1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。1998年「日本女子学生選手権」にて優勝し、大山志保古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場。2002年にプロテスト合格後は、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで活躍。23年国内女子シニア「JLPGAレジェンズチャンピオンシップ」優勝。

テーラーメイド
やさしさの新世界基準は、受け継がれる。
発売日:2024/02/02 参考価格: 60,500円