プロギア 04 アイアンを筒康博が試打「打ちやすい機能を全部乗せ」
プロギアIRONSで最もやさしい軟鉄鍛造 ご意見番クラブフィッターの評価は!?
プロギアIRONS史上最もやさしい軟鉄鍛造アイアンとして9月に発売する「04 アイアン」。優れた操作性をイメージさせる精悍さを保ちつつ、適度なグースとセミラージサイズのヘッドで飛距離とやさしさを両立した新設計アイアンとなっている。そんな同社自信作を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博が試打評価を行った。
「国産ブランドの集大成 現行モデルでは希少でレアな存在」
―率直な印象は?
「打感の良さと、もともと同社の強みである飛び系の要素がちょうどいいところでミックスされているように感じます。ボールを包み込むイメージが出しやすい、いわゆる“和顔”。構えた時にソールの厚さが若干見えそうな形状なので、好き嫌いは分かれるとは思いますが、飛距離や弾道の高さも十分味わえ、柔らかい打感が心地いい。国産ブランドアイアンの集大成という仕上がりです」
―国産ブランドアイアンの集大成…?
「現在、国産ブランドでも比較的グローバルモデルに近い“洋顔”だったり、海外ブランドでも“和顔”の要素が入っていたりするアイアンが増え、いまやシームレスになっています。その傾向に反し、今作は完全な和顔。ヒール側が高く、トウとヒールの高低差が少ない形状で、しかもシャフトが左から入っている。ヘッドをポンと置いたときにハンドファーストに構えたくなるようなソールの座り方をしています。実際にハンドファーストにインパクトができなくても、置いている時点ですごく手元が前に出る形状。ツアープロ向けモデルではほぼ存在しないネックの挿し方なので、まさに国産ブランドのアベレージ向け要素が結集したアイアンではないかと感じました」
―性能的に飛び系のグループに入る?
「グループで言ったら飛び系に入ると思います。スピンがしっかり入って、グリーン上でピタッと止まるというよりは、当たった瞬間からボールが前にバーンと飛んでいく感じがあります。形状もキャビティ部分が大きく、ソール幅を厚くしているので、飛距離重視型といえるのではないでしょうか。ですが、打感が柔らかく、フィーリングは全く飛び系らしくありません。軟鉄鍛造を実感できる飛び系にはない打感の飛び系アイアンです」
―他の兄弟モデル(4機種)と比べると?
「プロギアIRONSシリーズは、後発のモデルほど改善されているというか、アップデートしているように感じます。5機種ごとに誰々向けと明確に分かれているというよりは、最新モデルになるほどフィーリングが改善されていたり、飛距離性能がアップしているように感じます。『01』から発売して『05』、逆に『05』→『01』と、きれいに順番通り発売されたわけではないため、正直、『04』が全体のどこのポジションに位置しているかがイメージしにくかったです…。今まで一度も同シリーズを打ったことがない方からすると、やや混乱してしまう印象。今回の発売で興味を持った人は、まずは『04』を入り口に試し、他の番号もどうなの? と気になった場合だけ比較するほうが得策のように感じます」
―他社でいうと類似モデルは?
「うーん…、ここまで和顔のアイアンは珍しいので、類似に当たるモデルをすぐに思い浮かべることはできません。そうですねー…、あえて言えばダンロップ『ゼクシオ 13 アイアン』になるでしょうか。素材も構造も違いますが、顔立ちやアベレージ向け性能は近い雰囲気を感じます。ただ、希少なモデルであることは間違いありません。ここまでフラットなソール形状と特徴的なシャフトの入り方は、現在販売中のモデルにはないマイノリティなクラブ。すごくはっきりした性格のレアな存在といえます」
―どのような人向き?
「とにかくアイアンの飛距離を出したいシニアゴルファー向け。和顔に見慣れた人、グローバルヘッドに違和感を覚える人向けになるでしょう。以前『02』アイアンを打ったときに、1990年代に発売された名器『DATA』の再来と言いましたが、今作は全くその印象は受けません。一般的なHSのアベレージゴルファーに、アイアンを打ちやすくするための機能を全部乗せたような性能だと思います」
打感5点満点にもかかわらず飛距離&寛容性も4.5と高得点【総合評価4.4点】
【飛距離】4.5
【打 感】5.0
【寛容性】4.5
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.0
・ロフト角:28度(7I)
・使用シャフト:スペックスチールIII Ver.2(硬さS/M-43)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。