タイトリスト GT2 ドライバーを宮下敏弥が試打「包んでからパーン! 驚きの初速」
刷新されたスピード&やさしさ テックNo.1の飛ばし屋コーチの評価は!?
新たなネーミングで始動したタイトリスト「GT」シリーズ。新素材ポリマーから作られた超軽量クラウンを採用。余剰重量を最適配分することで浅低重心を実現させ、低スピンながら打ち出し角を確保してボール初速を大幅にアップさせた。そんな同社自信作から、飛距離性能と安定性を両立した「GT2ドライバー」をヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。国内ゴルフテックNo.1の飛ばし屋コーチ・宮下敏弥が試打評価を行った。
「球を一瞬包み込んでからのパーン! しっかりめのトランポリン打感」
―率直な印象は?
「打感が何より柔らかく感じながらも、不思議とボールスピードはいつもより出てくれました(平均77m/s)。インパクトで強く弾くわけではなく、ボールがフェース面にくっ付く感触がある。その上ちゃんと前に飛んでくれる。ボールを一瞬包み込んでからパーン! と弾く感じ。柔らかすぎることはなく、柔らかいけれど弾いてくれる今までにない打感に驚きました」
―あまり感じたことがない打感…?
「はい。以前の国産クラブに多く見受けられたボールを押すタイプとも違う、結構しっかり弾く感覚は残って初速感は出るのに柔らかい打感です。インパクトで受けた感触と実際に生まれた弾道のギャップに頭が混乱してしまい、最初の1、2球は思考が追いつかないほどでした。モチッとも違う、しっかりめに張ったトランポリンのような、弾力はあるけれど速く(元の状態に)戻る感じ。カキーン! といった高い打音ではなく、比較的に抑えめな音色が柔らかく感じさせるひとつの要素になっている気がします」
―前作「TSR」までと何が違う?
「構えた印象ではこれまでのモデルとほぼ一緒でしたが、実際に打ってみると全てが違い、新しさを感じます。先ほど挙げた打感や打音だけではなく、実際の弾道や飛距離の数字まで違いが見られました。いま思うと『TSi』『TSR』は、比較的にパチンっと弾く感じが強く、低弾道で強い球筋だったと思います。『GT2』はボールがくっ付いてくれる分、意図した方向に押し出せる。低スピンすぎずに程よい高さで強い球も出る。打感の変化によって全てが好転して安心して振り抜ける
。HSの速い人だけではなく、遅い人でも感じられる大きな変化だと思います」
―他の兄弟モデル(「GT3」「GT4」)と比べると?
「サイズはひと回り大きいor小さいの差はあるものの、極端な見た目の違いはありません。性能的には、平均的に飛ばせるモデルは『3』かなと思いましたが、引っかけのミスが出たときにスピンが少なすぎて、チーピンのような左への大ミスが出そうな気配を感じます。『4』は低スピン性能に特化したモデルでシビアさはありますが、それでもフェースにくっ付くシリーズ共通の柔らかい打感はある。3機種とも外観も中身も意外と全て近しい印象を受けました」
―あえて気になるデメリットは?
「デメリットというか『GT2』の特徴ともいえますが、若干スピン量が多く入るため、やや飛距離ロスしている部分は感じます。それでも試合でも使えるくらいのスピン量(平均2305rpm)に収まっていたので問題はありません。一発の最高飛距離を求めた場合に、『3』『4』と比べてちょっと劣ってしまうというだけ。たぶんそこは組み合わせるシャフトでも解消できると思うので、マイクラブで挿しているフジクラ『VENTUS BLACK』の6Xを合わせれば、また使用感も変わってくると思いました」
―どのような人向き?
「本当にどんな人も対象となり得るモデルだと思います。メインターゲットを絞るなら40m/s前後、スコアでは90~100の平均的なゴルファー。スピンが入ってくれるのでキャリーが出やすく、しっかり距離が出せる。スライスしてボールがつかまらない人を助けてくれる直進性も備わっている。アスリートorエンジョイ向けと区別する必要はありませんが、どちらかと言えばエンジョイ派のほうが効果を得やすい。今までタイトリストはちょっと…と敬遠していた人でも初めてマッチする可能性が高いので、ぜひ試してほしいです」
打感&操作性&構えやすさで5点満点◎の高評価【総合評価4.6点】
【飛距離】4.0
【打 感】5.0
【寛容性】4.0
【操作性】5.0
【構えやすさ】5.0
・ロフト角:10度
・使用シャフト:TENSEI 1K BLUE 55(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 宮下敏弥(みやした・としや) プロフィール
1999年生まれ、神奈川県出身。小学校から高校までサッカーに打ち込み、ケガを理由で大学からゴルフに転向。わずか2年でベストスコア65をたたき出し、最終的にチームの主将を務めた。ゴルフ上達の最短ルートを心得ていると自負しているゴルフテック期待の若手コーチ。週2~3回のウエートトレーニングを欠かさず、筋力には自信あり。得意のドライバーショットは300ydを超える。