タイトリスト GT4 ドライバーを筒康博が試打「4→3→2順での試打は意外にアリ」
刷新された低スピン強弾道 ご意見番クラブフィッターの評価は!?
タイトリスト「TS」シリーズからブランド名を一新し、“新たな飛び”を提唱する「GT」シリーズ。中でも最もロースピン性能を追求した「GT4 ドライバー」は風に負けない安定した強弾道を生み、ソール前後に配した「Sure Fit CG ウエート」によって精密に弾道を調整できるという。そんな430ccコンパクトヘッドの同社自信作を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博が試打評価を行った。
「過去の『4』とは違う! 焦点は3機種の見た目の違い」
―率直な印象は?
「もちろん『4』シリーズには以前から憧れを持っているのですが、幡地隆寛プロのようなパワー系の選手が使うべきモデルというイメージが強く、正直、私のHSでは敷居が高いと思っていました。今作はそんな難しいイメージをくつがえすほど結果が良く、HSの速さに関係なく高さが出てくれます。『2』『3』、いや『4』もあるぞと思わせてくれる扱いやすさ。スピン量はもちろん少ないですが、前作、前々作の『TS』シリーズの『4』とは違った印象を受けます」
―やわらかい打感が影響している?
「そうですね。『GT』シリーズ他の兄弟モデルとこれだけ体積も重心設計も違うのに、インパクトのモチッとした打感、球持ちの長さがほとんど変わらない点は優れていると思います。『GT2』『GT3』と比べてより浅重心ということで、少しだけ球離れは速い気はしますが、前後の弾道調整ウエートを入れ替えるだけで自分好みの設定に合わせられる気がします。私のHS(平均42.5m/s)であれだけいい球筋が出せるのであれば、使いこなせる人は前作以上に増えるのではないでしょうか」
―他の兄弟モデル「2」「3」と比べると?
「『4』と『3』の違いは上下の厚みではなく、フェース長(トウからヒールまで)の長さと奥行きのみにとどめている感じがします。フェースは短めなのに意外と厚みが変わらないので、『4』でも安心感が持ててやさしく見える。『TSi4』『TSR4』と比べてディープフェースの度合いを意図的に大きくしているのかもしれません。しかもフェースの視認がしっかりできるので、難しく見えない。今回『4』→『3』→『2』の順番で打ったのですが、この順番で打つと『2』の大きさ&シャローヘッドの度合いがより強調して感じられます。3モデルの特徴を知るという意味で、意外と小ぶりなヘッド順で試すのはアリかなと思いました」
―見た目の好みで選ぶべき?
「選ぶべきというわけではないですが、ここまで3モデルが近しい性能に感じると、一番違いを感じられるのは構えたときの見た目になってくると思います。フェース面が視認しやすい点は3モデルで共通していますが、投影面積が小さい分『3』『4』のほうが『2』よりもフェースが見えやすく、意外と難しさを感じない。上下の厚みを感じたいのか、奥行きを感じたいのか、構えたときの好みで選択が変わってくる。今シリーズ3機種は性能や弾道結果よりも、見た目の好みが大きなウエートを占めるといえそうです」
―ここまで変化があると過去『4』シリーズが合っていた人は不向き?
「いえいえ。前作までとの違いは、スピン量が増えるというよりも、打ち出し角が少し上がるという変化なので、前作までと同じ弾道のままスピン量だけが減るイメージ。より強弾道で飛ばしやすくなったととらえられます。たぶんアドレス時よりロフトを立てながら当ててくる人は、今作のほうが打ちやすいと感じるのではないでしょうか。そう考えると、『4』の対象ゾーンが今までで一番広がったように感じます」
―どのような人向き?
「現在ドライバーの主流ともいえる投影面積が大きく、慣性モーメントが高いモデルではボールが左右に散らかって悩んでいるゴルファー向き。アドレスした際に上から見た形状の好み、操作性を感じる体積の好き嫌いで選んでいいと思います。実際に打ってもボールの高さは思っている以上に出て、直線性もアップしているので、対象HSではないと諦めていた人ほど試してもらいたい。その際は打つ順番も頭に入れてみてください」
最高得点「3」に次ぐ高評価 3項目で5点満点【総合評価4.8点】
【飛距離】5.0
【打 感】5.0
【寛容性】4.5
【操作性】5.0
【構えやすさ】4.5
・ロフト角:10.0度
・使用シャフト:TENSEI 1K BLACK 65(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。