クラブ試打 三者三様

ヨネックス EZONE GT TYPE S ドライバーを筒康博が試打「枠の中に飛ばせるヘッド」

2024/11/14 20:00

最強姉妹の相棒・ヨネックスの「GT」 ご意見番クラブフィッターの評価は!?

岩井明愛3勝、岩井千怜3勝(11/14時点)、今シーズンもそろって活躍する姉妹を支えるのがヨネックス「EZONE GT TYPE S ドライバー」。ソール前方のチタンを極限まで薄肉化してカーボンを配置することで、フェース下部のスイートエリアを拡大させた。そんな最強姉妹の相棒を、ドローモデル『TYPE D』と比べながら、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博が試打評価を行った。

「ちゃんと打てばちゃんと飛ばせる 気になるのは中央の転写マーク」

打ち出し角はやや低かった(平均10.3度)が「感触いい」と筒

―率直な印象は?
「飛びや安定感、どこか突出した個性を持った性能ではなく、全体的に調和が取れていて構えにくさや打ちづらさが少ないモデルに仕上がっています。海外メーカーのモデルと比べると、ちょっと重心距離の短さは感じますが、明確なドローモデルというほどでもなく、操作性を感じられるオールマイティな性格。ちゃんと打てばちゃんと飛ばせる素直なドライバーといえます」

ややお尻(後方)に高さのあるハイバック形状

―見た目の評価は?
「見た目も何型と呼べるほど特徴的なシルエットではなく、丸みも投影面積もあるのですが、ものすごく後方が長いわけでも、ヒールがスッキリしているわけでも、洋ナシ型でもない。ディープというほどディープでもなく、シャローというほどシャローでもない形状です。ただ後方が若干ハイバックになっているので、その辺りは最新の高慣性モーメントヘッドの要素を取り入れているのだと推測します。色々なトレンド要素を集めつつ、独自にバランスを取った外観に見受けられます」

サイドスピンを減らす効果が期待できるフェース面のタテ研磨

―特徴的な部分を挙げるなら?
「フェース面のタテ研磨でしょうか。インパクトのコンマ数秒単位の感じ方なので、明確には言い切れませんが、ボールにコンタクトしてから飛び出ていくまでの横滑りが、やはり全く感じられない。当たった感覚通りに前に行って、結果が出る。フェースの下側に当たった場合は低めのライナー、上側ならボカーンと打ち出し角の高い弾道に。一般的なヘッドだと上下に打点がズレるとスピン量が増えてしまいますが、今作はそこが一切なく弾道に影響しない。飛距離に特化しているというよりは、狭いフェアウェイでも枠の中にちゃんと飛ばせるドライバーという印象です」

左が「TYPE S」右が「TYPE D」。最後部のウエートの位置が異なる

―前作「EZONE GT 450 ドライバー」を打ったときに、食いつきを評価していましたが…?
「前作を打ったときに、新たなヨネックスを感じるほどの食いつきと伝えましたが、そのときに感じた独特のモチッとした感触は残しつつ、直進的に前に飛び出るフィーリングが追加された印象。良くも悪くも食いつく時間が長くなると、プレーヤーのフェース操作次第で出球の動きが変わってしまうものですが、今作は食いつきの良さと球離れの速さのバランスが取れている。前作より打感も直進性ももうワンランク上に上がった感じがします」

ややヒール寄りに位置する中央の円マーク

―あえて気になるデメリットは?
「アドレスして上から見たときに、クラウンの前方にある転写マークの位置が気になります。前作も同様でしたが、マークはスイートエリア(芯)の位置を教えてくれる役割を持つため、見た目から重心距離の短さが伝わってしまう…。実際は、それが原因で引っかけが出てしまうほどではないものの、プレーヤーによっては邪魔に感じてしまう人もいるでしょう。性能自体はすごくニュートラルなのに、そこで好き嫌いが分かれてしまう点が、もったいなく感じてしまいました」

「ゴルフ歴が長い人ほど今作の魅力を実感できそう」(筒)

―どのような人向き?
「やはり同社を象徴している岩井姉妹のドライバーなので、女子ツアーを毎週欠かさずテレビ観戦しているゴルフ好きのプレーヤー向けといえるでしょうか。エンジョイ派というわけではなく、ある程度ラウンド頻度の多いアクティブ派。ギア情報も多く取り入れ、本当はデザインの洗練されたプロモデルを使いたいけれど、実際はスライスが多く出て困っているので、やさしさも備わっていてほしい。そんな人に寄り添ってくれる程よいドローバイアスモデルとなっています」

調和が取れたバランス◎のオール4.5【総合評価4.5点】

【飛距離】4.5
【打 感】4.5
【寛容性】4.5
【操作性】4.5
【構えやすさ】4.5

・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:RK-04GT(硬さSR)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール

スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。

ヨネックス
「運ぶ」ようにピンポイントで狙え、驚異的な飛距離を生み出す
発売日:2024/04 参考価格: 96,800円