ヨネックス EZONE GT TYPE S ドライバーを井上真熙が試打「視認しやすい赤ライン」
最強姉妹の相棒・ヨネックスの「GT」 ゴルフ知識を学んできた理論派コーチの評価は!?
岩井明愛3勝、岩井千怜3勝(11/11時点)、今シーズンもそろって活躍する姉妹を支えるのがヨネックス「EZONE GT TYPE S ドライバー」。ソール前方のチタンを極限まで薄肉化してカーボンを配置することで、フェース下部のスイートエリアを拡大させた。そんな最強姉妹の相棒を、ドローモデル『TYPE D』と比べながら、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ゴルフ知識を多角的に学んできた理論派コーチ・井上真熙(いのうえ・まさき)が試打評価を行った。
「構えやすさは満点! クラウンに入った赤ラインがミソ」
―率直な印象は?
「弾き感はやや抑えめで軽めの打感が印象的です。当たり具合を明確に把握したい人には、やや手ごたえが薄く物足りなく感じてしまうかもしれません。ですが、構えやすさは満点! クラウンに入った赤いラインが視認しやすく、構えているときのターゲットへの向きやすさはもちろん、インパクト前後での動いている際の見え方にも良い影響を与えている気がします」
―良い影響を与えている…?
「名器と呼ばれる2012年発売のテーラーメイド『ロケットボールズ ドライバー』のサイドに入ったフレームを思い起こさせるデザインで、外周をラインで際立てることでヘッド全体を視認しやすい。特に素振りをした際、真っ黒のシンプルなデザインよりも、赤ラインとフェース寄りに入った溝のおかげで、動き続けている中でもどこにヘッドがあるかを認識できる。スイング中もフェースをなんとなく目で追えることで、軌道をイメージしやすいメリットを感じます」
―兄弟モデル「TYPE D」と比べると?
「並べて見比べると、『TYPE D』のほうが若干サイズが大きいですが、実際に構えてみるとそれほど大きな違いは感じません。構えたときのフェースの向きは、『D』のほうが少しフックフェースでドロー弾道がイメージしやすい。一方ストレートフェースの『S』は、真っすぐからややフェード弾道を打ちやすく感じられます。シルエット自体はそれほど差があるわけではなく、似た構造のまま弾道イメージが変わるだけ。例えるなら“年齢が近い兄弟”といった関係性のように感じます」
―フェードが打ちやすい?
「そうですね。フェードを狙って打ちにいくと、フェースにボールがいい感じに乗っかっている感触が得られます。アウトサイドからややオープンにフェースが入ってきたほうが、滑らかにボールにヒットしてくれる。逆にドローを打ちにいったときは、芯に当てても薄い当たりに感じてしまう…。私の偏った感覚だからかもしれませんが、弾道に応じた特徴を2種類のモデルでしっかり表現したシリーズだと感じました」
―コンセプトの『ぶっ運べ』の性能は実感できる?
「アライメントはもう完璧なので、ターゲットに狙って打てる印象はすごく持てると思います。性能面では、当たった瞬間の初速感が少し薄く感じられるので、そこをイメージした弾道でどう味付けするか。『運ぶ』というよりは、『ぶっ放す』性能をうまく操縦してあげるイメージを持つべきでしょう。良い意味でも悪い意味でも、若干ボールの離れるスピードが速いので、そこをどう活かすかがカギのような気がします」
―どのような人向き?
「ドライバーのアライメントが苦手なゴルファー向きになるかと思います。スコアレベルでは、ゴルフを始めたばかりの初級者、100切りが目標のゴルファー向け。ヘッドがどっちを向いているのか、ティイングエリアで悩むことが多い人には、今作の構えやすさはすごく武器になるでしょう」
3.5△が並ぶなかで構えやすさだけ5点満点◎【総合評価3.8点】
【飛距離】3.5
【打 感】3.5
【寛容性】3.5
【操作性】3.5
【構えやすさ】5.0
・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:RK-04GT(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 井上真熙(いのうえ・まさき) プロフィール
1998年生まれ、茨城県出身。ゴルフコーチを行っていた叔父の誘いで10歳からクラブを握る。高校ではゴルフ部に入り、ゴルフの楽しさを伝える仕事に就きたいと考えるように。卒業後、東京ゴルフ専門学校に入学してルール論、ゴルフ歴史学、心理学、用具論、用具メンテンナンス、トレーニング論、スイング論を学ぶ。PGAティーチングプロ資格取得済み。現在は「ゴルフテック by GDO」六本木店にて勤務。