G440 SFT ドライバーを筒康博が試打「支持率がより高まる予感」
やさしさに飛びを加えたピンのドロー設計 ご意見番クラブフィッターの評価は!?
ピンがこれまで築き上げたやさしさに飛距離性能をプラスした「G440」シリーズ。「G440 SFT ドライバー」はドローバイアスモデルでありながら、新たにクラウン部にカーボンを採用して、余剰重量をヘッド下部に再配置。新設計のホーゼルのない内部構造を取り入れることで同社史上最も低重心なSFTに生まれ変わった。そんなつかまえて飛ばせるドロー設計を、HSの異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博が試打評価を行った。
「ニュートラル化してHD要素メインに! シリーズ真ん中はSFTかも」

―率直な印象は?
「勝手な印象ですが、『SFT』はこれまで兄弟モデル『MAX』『LST』と比べて少数派のカテゴリーで、使う人も限られていたような気がします。ですが、今作はすごくニュートラル化し、シリーズの中で中心的立ち位置に感じます。アドレスビューもスッキリしており、形状はほぼ『―MAX』。『とにかくつかまってスライスを防ぐイメージ』から、高さを出すことを前提とした、ちょっとつかまる“ハイドロー(HD)”要素を増した印象。軽快に打ち出し角が得られ、高弾道が打ちやすい特徴を前面に打ち出している気がしました」

―HD要素が増した印象?
「はい。元々シリーズの構成でいうと、コアモデルでカバーできないゴルファーのために、ドローやロースピンモデルがラインアップされていると思うのですが、ピンも同様に『SFT』は、その特徴を求めるスライスに悩む人向けに限定されていて、購入比率は他2モデルと比べて低かったと思います。ただ、最近はその数がちょっとずつ増えてきている印象。そして今作では、HSが私くらい(平均40.6m/s)かもう少し遅めで、『HL』では軽すぎる、『MAX』では重すぎてハードに感じる、という方にハマる可能性が大いにある。ヘッド最後部の可変ウエートの位置も2カ所あり、よりつかまえたい人はヒール側に移せばいいわけで、すごくターゲットが広がった分、支持率は高まる予感がします」
―「G440 MAX ドライバー」と比べると?
「『―MAX』の高慣性モーメントな特徴では、インパクトでフェースが開いたままボールに当たり、ややプッシュアウト気味に打ち出してしまう人もいるかもしれません。が、重心距離が短く、軸回りの慣性モーメントが少し小さい『―SFT』では、フェースターンでボールをとらえる方からすると、操作性を高く感じたり、右のミスが減る可能性が大きい。インパクトゾーンでのフェースターン量とタイミングによって、どちらに寛容性を感じるかは変わってくるとは思いますが、それ以外の部分ではかなりこの2モデルは類似していて、近しい振り心地に感じられました」
―他社のやさしいとされるモデルと比べると?
「各社○○MAX、○○X…と名称こそ違いますが、多くの一般的なアマチュアゴルファーにとって、ドライバーに対するやさしさは、朝イチショットでどれだけ自信をもってティイングエリアに立てるかだと思います。そう考えると同社のドライバーは、『SFT』に限らず『MAX』でも直進性に定評があり、飛んで曲がらないイメージがしっかり定着している。そのうえで今回の440は、振り切れる安心感=飛ばしもプラスされた模様なので、ズバリむちゃくちゃやさしくなっている。他社と比べても、ゴルファーの自信につながるクラブといえるでしょう」
―あえて気になるデメリットは?
「そうですね…。私のHSでも『―LST』が扱え、『―MAX』『―SFT』でもいい球が打ててしまい、全機種いいショットが出てしまうところでしょうか(笑)。前シリーズ『G430』の3機種と比べても、どれがやさしくてどれが一番飛ぶかが分かりづらくなっています。初速だけ、総距離だけで比較すると、本当に一番合っているのかが分かりにくい。自身のコースで出るミスの傾向を、どのモデルがカバーしてくれるかを厳密に判断する必要があります。可変ウエートを変えたり、持ち球以外で試したり、試打時間をいつもより長めに取るべきでしょう。理想は、同社専用のフィッティングを予約して試すことをおすすめします」
―どのような人向き?
「ピンのドライバーはやさしいから使いたいけれど、やさしさがまだ実感できていないゴルファーに、ぜひ使っていただきたいです。試打前は、同シリーズ『―MAX』で真っすぐ飛ぶと思っていたけれど、意外と振り遅れて右に飛んでしまった人向け。これまで『G』シリーズの重さが気になっていた人も、今シリーズに限っては『SFT』から試打を開始してみると、マイナスイメージを払拭したフラットな状態でクラブ選びができる気がします」
「―MAX」評(4.8)と同じ高得点【総合評価4.8点】
【飛距離】5.0
【打 感】5.0
【寛容性】4.5
【操作性】4.5
【構えやすさ】5.0
・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:ALTA J CB BLUE(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。