自分史上、最も信じられるLSドライバー ジャンボ軍団の元祖300ydヒッター評価は！？
“自分史上、最も信じられるドライバー”として、テーラーメイドが新たに提案する「Qi35」シリーズ。その中でツアープロから熱い支持を得ている「Qi35 LS ドライバー」は、前方後方に2カ所の弾道調整機能「TASウエート」により、細かな弾道とスピン量の調整が可能となった。そんな意のままに飛ばせるロースピン(LS)設計を、ヘッドスピード（以下HS）の異なる有識者3人が採点。ジャンボ軍団の元祖300ydヒッター・小山内護が試打評価を行った。
「純正のまま飛ばせるプロ仕様 気になるのはフェースの色（？）」
―率直な印象は？
「私が現在使用しているマイシャフトと比べてアンダースペック（Diamana BLACK TM60）での試打でしたが、HS48～49m/sでも全く問題なく振り切ることができました。高すぎたり低すぎることなく、理想的な球筋で飛んでくれたので、ほとんどのゴルファーはこのまま吊るし（リシャフトしない状態）で問題ないでしょう。それほど今作の設定が、プロ向きツアー系の位置付けだからではないでしょうか」
―球筋もかなり強弾道？
「そうですね。HSによりますが、スピン過多で吹け上がることなく強弾道で飛んでくれます。低スピン性能であることは間違いない。唯一気になったのは弾きが強い打感で、インパクト時にフェースにボールが乗っている時間がかなり短い。やや押し込める感覚が足りなかったので4.0という評価に（5点満点中）。そもそもカーボンフェースの特徴なのかもしれませんが、球離れが早く、コンマ数秒ボールが出ていくタイミングが早い。特にこの『―LS』は弾きが強く感じられたので、同じカーボンフェースの中でもやはり飛距離重視型だと認識できました」
―コアモデル「Qi35 ドライバー」と比べると？
「見た目のサイズ感が全然違います。ヒール側のボリュームが異なり、『―LS』はネックから後部にかけてシャープで切れ味鋭い形状。いかにも飛距離が出そうな雰囲気を醸（かも）し出しています。一方のコアは、やや膨らみがあることで、左右どちらにも曲がりにくい方向性重視の形状。他社のシリーズと比べても、LSとコアモデルの差は大きいように感じます。それほど個性が明確に分かれていて、今作の小顔で引き締まったボディは、完全なるプロ向き仕様という振り分け方だと思います」
―あえて気になるデメリットは？
「うーん、そうですね…。構えて上から見ると、ロフト角が少し立って見えるところでしょうか。他社のLSモデルのように、もう少しフェース面のヒール側が前に出ていてもいいかなと思いました。そもそも『Qi35』シリーズ全体的にロフトが、表示値より立って見える（実際10.5度でも見た目が9度か9.5度）。構造上での見え方が大きな要素だと思いますが、フェースカラーがブラックという点も、視認しにくさのひとつの要素になっている気がします」
―フェースカラーがひとつの要素…？
「はい。前作『Qi10』シリーズは、フェース面が鮮やかなブルーで、上から見てもはっきり視認しやすく安心感を覚えました。今作はブラックで、クラウンのグレーと近しい分、境い目がぼんやりして見える。昼間、日光の下での試打だとまた違った感想になるとは思いますが、できれば左右に2本ずつ入っている白線が、スコアライン（フェース面に刻まれる横溝）として全面に入っていれば、また違った見え方になると思いました。ブラックの中にホワイトは際立って目立つため、老眼の私でもフェース面が視認しやすくなるという個人的な感想です（笑）」
―どのような人向き？
「完璧なプロ向きタイプ、上級者向きです。使う人は限られてくるので、片手シングル（ハンディキャップ5以下）になるでしょう。今シリーズはやさしいという声が多いですが、『―LS』に限ってはしっかりカテゴリーを踏襲し、アベレージゴルファーにはハードルが高い。HSでいうと43m/s以上。それ以下の人は思うようにボールが上がらず、キャリーは出にくいでしょう。フェースの視認性についてもいろいろ語りましたが、逆に玄人向けに締まった印象を優先させた結果なのかもしれません。どちらかと言うとブルーやレッドより、自分ら（プロ）向きのカラーリングといえますね」
視認性はあくまでも一意見 構えやすさの評価は5点満点！【総合評価4.4点】
【飛距離】5.0
【打 感】4.0
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】5.0
・ロフト角：10.5度
・使用シャフト：Diamana BLACK TM60（硬さS）
・使用ボール：リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力／トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
関連ギア情報
小山内護（おさない・まもる） プロフィール
1970年6月19日生まれ、東京都出身。日体荏原高校時代にゴルフを始め、卒業と同時にジャンボ軍団入り。豪快なドライバーショットを武器に98年「サントリーオープン」、翌年「日本プロゴルフマッチプレー選手権」を含むツアー通算4勝を飾る。現在シニアツアーに参戦しながら、プライベートゴルフスタジオ「Favorite J-Golf」を運営。
