マッスルとキャビティは「平成」30年間でどう進化したのか?
ウェッジは「平成」30年間でどう進化したのか?
平成元年ウェッジと令和元年ウェッジを試打検証
31年前の平成元年に人気だったモデルと令和の最新モデルを試打比較する企画、今回のテーマは「ウェッジ」。前回のアイアン編ほど大きな差は生まれないと予想していたが、トラックマンの計測データを踏まえて考察していくと、平成初頭と現代のウェッジではそのものの性格が大きく違っていたことが判明した。
ジャンボ全盛時代は打ち方が限定されていた!?
前回のアイアン編でも登場したが、ウェッジ編でも旧モデルの主役は尾崎将司モデル『ジャンボ MTN III』。80年代後半から90年代前半はとにかく尾崎将司の影響が大きく、ウェッジといえばグースネック『ブリヂストン J’s(ジェイズ)』が主流だったのだ。
試打テスターとして実験に協力いただいた鹿島田明宏プロは、「僕は1965年生まれですが、リンクスのマスターモデル(ジャンボウェッジの源流)でゴルフを始め、ジャンボモデルで腕を磨いた世代です。ウェッジといえばグースネックという時代を経験してきました。いまはすっかりティアドロップ型の米国的ウェッジに慣れてしまいましたが、かつては『MTN III』や『J’s』でプロを目指しました」と30年間を回顧した。
「MTN III」と比較したのは、現代の主流であるティアドロップ形状の「ブリヂストン ツアーB XW-1 ウェッジ」。どちらもロフト角52度を使用して検証を行ったが、トラックマンの数値を見ると「MTN III」の打ち出し角(LAUNCH ANG)は30.9度。「ツアーB XW-1」の34.1度に比べてかなり低い。それにも関わらずバックスピン量(SPIN RATE)は高い(3644rpm:「ツアーB XW-1」3317rpm)ことを考えると、「MTN III」は、低めの弾道でスピンをかけて止めるイメージが持ちやすかったことが分かる。
この結果を受けて鹿島田明宏プロは、「『MTN III』は低めに出てピンの手前に落とし、スピンを利かせてピピっと止めるイメージで寄せるモデルです。高く上げようとか、フェースを開くとか、そういうことは一切考えないシンプルなモデルだったことを思い出しました」とのこと。「MTN III」はグリーンの攻め方イメージが明確で、数球打ってもバラツキはほとんどなくなることが、非常にメリットとして考えられていたことが分かる。
現代ウェッジは多様化した半面、ミスの可能性も広がった…
米国で生まれたティアドロップ形状ウェッジは、ウェッジデザイン界のカリスマであるロジャー・クリーブランド氏(現・キャロウェイ)が、クリーブランド『TA588』で確立したツアーウェッジの基本形。現ツアーで圧倒的な使用率を誇るタイトリスト「ボーケイデザイン」も『TA588』に近いシェイプを踏襲している。
「米ツアーのコースはご存知のようにグリーンが硬く、ハザードが多く、周囲のラフもキツイ過酷な環境です。そのためウェッジには高さを出す機能が求められます。ボールを拾いやすく、フェースを開けばいくらでも高く打てる。複雑なコンディションに対応するために、ウェッジもいろいろなアプローチをしやすい形状になっているのです」(鹿島田)
「ただ、操作性が良くいろいろなことができる半面、いろいろな危険も秘めているのが現代ウェッジの特長でもあります」と鹿島田プロは続ける。実際に検証でも球筋のバラつきは「MTN III」より「ツアーB XW-1」のほうが大きかった。今回はティアドロップ形状の「XW-1」しか用意しなかったが、ブリヂストンには「ツアーB XW-2 ウェッジ」というグースネックタイプも存在する。フェースを開いたりせず、シンプルにゴルフをしたいという読者にはこちらをおすすめしたい。
取材協力:オークヒルズカントリークラブ、ブリヂストンゴルフ
鹿島田明宏(かしまだあきひろ) プロフィール
1965年生まれ、東京都出身。東日本ジュニア4連覇、全日本シングルプレーヤーズ選手権優勝。日大ゴルフ部で主将を務め、その後PGAプロテスト合格。初心者でも明確で分かりやすい定評のあるレッスン、経験豊富なギア知識で多くのゴルフ誌で活躍中。
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