欠品するほど売れた「G410 ドライバー」 売れ筋は値下げにならない?
2019年3月の発売から人気が続いていたピン「G410」シリーズが、ついにマークダウン(値下げ)され、ゴルフショップの店頭を飾っている。せっかくお買い得価格なのに、自分に合ったスペックが見つからない? 次のチャンスを逃さぬために、狙っていた商品を手に入れられなかった理由を、GDOショップのG410シリーズ販売データから「組み合わせ別」でひも解いてみた。
真っ先に「残念すぎる買い逃し体験」の理由を回答してしまうと、「ゴルフクラブの人気度は、ブランドやシリーズだけでなくスペック単位で異なるため、“買い時”を見定めることがとても難しい」からだということになる。3タイプのヘッドがそろい、シャフトもバリエーション豊富だった大人気G410シリーズの売れ行きを分析すると、その度合いが分かりやすく、次の買い替えタイミングを検討する上でお役に立てそうだ。
最も売れたのはスタンダードタイプの組み合わせ
まず、3種類あるヘッドの販売数で見ると、スタンダードタイプの「G410 PLUS ドライバー」が全体の64%を占めた。次に、4カ月遅れで発売されたロースピンタイプの「G410 LST ドライバー」が27%、つかまりの良い「G410 SFT ドライバー」が9%(いずれも概算、以下同)という振り分けになった。
シャフトは純正が「アルタ J CB レッド」、「ピン ツアー」、「アルタ ディスタンザ」の3種類。さらに、カスタム販売では三菱ケミカル、藤倉コンポジット、USTマミヤ社製からそれぞれ数種類のモデルが選択できるため、G410シリーズのヘッドとシャフトの組み合わせは実に数十種類に及ぶことになる。
このうち最も売れたのは「G410 PLUS」+「アルタ J CB レッド」の組み合わせで、全体の20%を占めた。ヘッドもシャフトもG410の標準的な性能とされ、価格もカスタムシャフトに比べて手頃。「まずはこの組み合わせで」と考えるゴルファーが多かったようだ。2番目は「G410 PLUS」+「ピン ツアー 173-65」で8%。「アルタ J CB レッド」が50g台(硬さS)なのに対し、「ピン ツアー」は60g台(硬さS)で、ややハード目な中元調子のシャフトとなっている。
3番目が「G410 PLUS」+「スピーダー 569 エボリューション 6」で、渋野日向子が全英女子オープンを制した時の組み合わせだった。
なお、シャフトの種類で比較すると、1番人気はフレックス(硬さ)によって45g(R)~60g(X)の「アルタ J CB レッド」(28%)。2番目が「テンセイ CK プロ オレンジ」(23%)、3番目に「ピン ツアー」(18%)という順になっている。「テンセイ――」は、海外ツアーでも人気が高かった三菱ケミカル製のシャフトで、元調子を好む中・上級者を中心に売れたようだ。中でも50g台と60g台が「テンセイ」全体の45%ずつを占め、70g台は10%だった。
フレックス別に見ると、S(51%)とSR(20%)で全体の3分の2以上を占めている。実際の硬さはシャフトの種別で違うものだが、他社のクラブでも見られがちな日本人ゴルファーの傾向として、「S」というシャフト表記が好まれたことがG410シリーズでもうかがえる。「R」は本来「レギュラー」を意味するだけに、自身のスイングにマッチさえしていれば、こだわるポイントではなさそうだ。
マークダウン品が出る前に欠品する組み合わせも
販売実績数の推移をみると、「G410 PLUS」と「G410 SFT」の売れ行きは発売当初から好調。2019年8月には、渋野が日本人女子2人目のメジャー制覇という快挙を成し遂げたことで売れ行きが加速した。また、続く9月には消費増税前の駆け込み需要も発生し、この流れをさらに後押し。渋野が使用するスペック「G410 PLUS」+「スピーダー エボリューション 6」が新品で売り出され、受注件数は最高値を記録した。
発売から1年経過した2020年3月まで高水準で売れ続け、先に紹介した人気のヘッド+シャフト組み合わせは在庫がどんどん減少。今年7月からはマークダウン品となったため、8月現在で人気の組み合わせはほぼ欠品状態となっている。
ロフトやシャフト硬度の人気度も加味してデータを見ると、マークダウンとなる前に在庫がなくなっていた人気スペックも相当数存在する。お買い得価格になった時には、望み通りのスペックはモノ自体がなくなっている――そんなことが、G410のような人気シリーズでは起こり得る。“次”を賢く購入するために、ゴルフ用品では売れ筋を知り、早い決断をすることも大事と言えそうだ。