「使い手を想定した“やさしさ”の追求」 ~フォーティーン編~ 2012年 Vol.10
GDO:では、今回ゴールド賞を獲得したアイアン「TC-930 フォージド」についてお聞かせください。これは、どういったコンセプトで作られたモデルなのでしょうか?
市古:フォーティーンとして、やさしさを追求しているのは他のクラブと同じですが、やさしさの概念は使い手であるゴルファーによって変わってきます。このモデルは、プロや上級者にとってやさしいと感じられ、安心してグリーンを狙えるように開発したクラブです。
GDO:どういった部分に特徴があるのでしょうか?
市古:ヘッドを低重心に設計してあるので、ダウンブローに打ち込まなくても球が上がりやすく、楽に打てるようになっています。ヘッドの形状は球がつかまる雰囲気に仕上げていますが、引っ掛けないように重心設計に工夫を凝らしました。このモデルは性能以外にも、外見のデザインにもこだわったモデルなんですよ。
GDO:バックフェースの内部がミラーになっていますね。
市古:この部分は研磨せずに、鍛造の工程だけでミラーに仕上げてあります。非常に難しい製造技術で難航したのですが、個人的にどうしてもやりたかったので、このミラーのために発売を2か月も遅らせました(笑)。あくまでも外見上のものですが、ゴルファーの所有感を満たすモデルに仕上げたかったのです。
GDO:なるほど。性能だけでなく、そういった面も配慮されて作られたモデルなんですね。では、同じくゴールド賞を獲得したフェアウェイウッド「SF-612」についても開発コンセプトを聞かせてください。このモデルは、スプーンで16度とロフトが多めになっているのが特徴ですね。
市古:アベレージゴルファーのなかには、3番ウッドと5番ウッドの飛距離が変わらないという人が多くいますが、その原因はロフト不足とスピン量の不足にあります。そのために「SF-612」ではロフトを1度寝かせて、重心位置も高めに設計することでスピン量が増えるように設計しました。ヘッドスピード42m/s以下の人でもスプーンで飛ばせるモデルです。楽に振っても高弾道が打てるところを、今回は高く評価していただいたのだと思いますね。