ティショットを飛ばしたい! 飛びの三要素とは
いよいよ実験スタート!
今回の実験は、本間ゴルフ酒田工場が誇る全長370ヤードのテストセンターで実施。なるべく条件を均一にするためにスイングロボットを使用しました。
「飛びの3要素」のうち、「打ち出し角」はロフト角の違う2種類のクラブを用意して調整しました。ロフト角が大きい(フェース面が寝ている)方が打ち出し角が高くなり、ロフト角が小さい(フェース面が立っている)方が打ち出し角が低くなります。
この条件で、ロボットのヘッドスピードを38m/sから48m/sまで2m/s刻みで変えていった時、それぞれボールの飛距離にどんな影響が出るのかを見ていきます。
ヘッドスピードが速いほど飛ぶ
実験の結果は、左の表のようになりました。まず注目したいのが、ヘッドスピードと初速の関係。初速はヘッドスピードに比例し、結果、トータル飛距離も伸びています。
例えば、ロフト9.5度の時、ヘッドスピード38m/sで打った場合は、初速53.7m/sでトータル飛距離が205.3ヤードでしたが、ヘッドスピードが48m/sまで上がると、初速68.6m/sでトータル飛距離は267.7ヤードまで伸びています。諏訪工場長の説明どおり「初速は、速ければ速いほど飛ぶ」ことが実証されました。
飛ばすためにはフィッティングで「初速」に注目
一方、ロフト角の違いはほとんど飛距離に影響が出ませんでした。「ロフトが立っているほど、ボールとクラブが正面衝突に近くなり、初速は速くなる」と思っていたS吉クンですが、これは意外でした。
この結果を見る限りでは、飛ばすためのクラブとしては、初速が速くなりやすい(=自分なりにしっかり振れる)クラブを選ぶことが重要だと言えそうです。上記の表の中から、自分のヘッドスピードに近い数値を探して参考にしてみてください。
みなさんも「飛ばし」を考える場合、フィッティングの際にも色々なデータの中からまず「初速」の項目に注目してクラブ選びを考えてみてはいかがでしょう。
今回のS吉クンまとめ!
・飛距離には「飛びの3要素」(「初速」「打ち出し角」「スピン量」)が関係している。
・中でも「初速」が飛距離に大きく影響している。自分なりにしっかり振れるクラブを持つことが、飛びにつながる。
・ロフトの違いは飛距離にあまり影響しなかった。しかし、実験条件が限られたのでこの結果だけで結論付けるのは難しい。いずれ別の機会に追加調査を行いたい。
取材協力
■ 株式会社本間ゴルフ 酒田工場
近年、契約プロの活躍が脚光を浴びる本間ゴルフ。ここ酒田工場はその活躍をサポートする心臓部と言える。
本間ゴルフでは、“熱意系ゴルファー”であれば誰にでも、トッププロ同様のきめ細かなサポートを行っているが、それも酒田工場の実力と努力によるもの。プロ選手の試合に帯同するツアーバンのように、いわば「熱意系ゴルファーの巨大サービスカー」として酒田工場は大きな存在感を発揮している。
[今回の取材で使用した製品・機材]
●クラブ
ヘッド:ツアーワールドTW-727(9.5度、10.5度)
シャフト:VIZARD(YZ65もしくはYA65)
●ボール
本間ゴルフTW-G1x
●測定機材
弾道測定器「TRACKMAN」
ゴルフスイングトレーニング機器「M-Tracer」