上田桃子が8年ぶりにクラブを替えた 新しくレギュラー入りした番手は?
女子プロクラブ考ドライバーの次に入れるクラブ “ロフト何度”が正解?/女子プロクラブ考VOL.7
昨年の秋口に大々的な女子プロのクラブ調査を行ったが、彼女たちがどんなクラブを使って、どんなスペックなのかはほぼ同じヘッドスピード(以下HS)の我々のクラブ選びに大いに参考になるだろう。膨大なデータを元に、女子プロの傾向をギアマニアが分析・検証していく。7回目はフェアウェイウッド(以下FW)のロフトピッチについて。
スプーンの「15度が定番」は変わらず
今回調査した 40人中33人が15度のスプーン(3W)を使用していて、「スプーン=15度」という印象は変わらなかった。女子プロのドライバーのHSは平均が43m/s前後と言われているが、HS43m/sほどの選手が地面からボールを上げる為には、ロフト角が15度は必要なのだろう。ロフト角が15度を下回ってもミート率が高い彼女たちなら打てないことはない。しかし安定したキャリーを確保するには、やはり最低限そのロフト角が必要だと思う。ドライバーのHSが40m/s前後でスプーンを15度に設定している選手は、芯をとらえる技術でボールの上がりづらさを補っていると推測される。
15度を切るロフトの選手は5人だけ。岩井明愛、西郷真央は14.5度のスプーンを使用している(西郷は昨秋時点。現在3Wは入れていない)。一番ロフト角が立ったヘッドを使っているのはキャロウェイ「パラダイム◆◆◆」の13.5度を使う木村彩子。「元々球は上がりやすく、逆に吹けるのが嫌」という理由で13.5 度をチョイスしているようだ。HSが決して速い選手ではないが、ミート率が高く球を浮かせることが出来るのだろう。同ヘッドは重心が低くて浅いモデルだが、隠し味的に先調子の「スピーダー569 エボリューション 7」をチョイスしている(球を上げやすいシャフト)。
15度より大きいロフト角は2人だけ。菅沼菜々のダンロップ「ゼクシオエックス」4W(16.5度)と、山内日菜子のテーラーメイド「ステルス2」3HL(16.5度)。3HL のHLは「ハイローンチ=高弾道」で、通常の 3W よりもロフト角が1.5度大きい。4Wと機能的には変わらない。たかだか 1.5度と侮るなかれ、この 1.5度はかなり効く。フェース面が見えることでボールが上がりやすく感じ、実際に打ち出し角は上がる。シングルプレーヤー以外にスプーンはオススメしないが、4Wや3HLは試して観る価値はある。
スプーンの次の番手は? UTが台頭してきた
スプーンの次はクリーク(5W)がマストとイメージするかもしれないが、意外にも半数近くの女子プロが「5W」を入れていなかった。さらに40人中14人がFWを1本体制。女子プロと言えばFWを沢山使ってコースを攻略するという印象を持っていたが、「ユーティリティ>フェアウェイウッド」の選手が増えているようだ。
彼女たちが5Wのかわりに選ぶのは、ロフト角の小さいユーティリティ(以下UT)。ロフト角20度を切る18、19度のUTを入れているのは11名。7Wに比べると圧倒的に多い。桑木志帆や神谷そらなどの若手だけでなく、キャロウェイ「X-HOT フェアウェイウッド」の3W、5Wを10年近く使い続けてきた上田桃子も、5Wをキャロウェイ「APEX UW」という19度のUTに変更した。
FWに比べてUTは、ヘッドサイズも小さく、慣性モーメントや重心深度も小さい上に、クラブ長も短いからボールは上がりにくい。が、短い分ミートしやすく、傾斜地からも打ちやすいうえ、ヘッドサイズが小さい分ラフなどでも使い勝手がいい。UTの歴史は浅いが、彼女たちのほとんどが20代でジュニアの頃からUTを使い込んできたと推測される。最近はUTのヘッドも大型化して“これって FW?UT?どっちなの?”と、境目がわからなくなりつつもある。
7Wか9Wを入れているのは40人中11人のみ。7W、9Wに代表されるショートウッドは、1990年代初頭にキャロウェイのビッグバーサ「ヘブンウッド」7Wが注目を浴び、“DIVINE NINE(ディバインナイン)”と名付けられた9Wも大ヒットするなどして一気に市民権を得た歴史がある。それが現在は7Wをラインアップに入れないモデルも多くなり、9Wは絶滅危惧種となりかけている。
以前は「11W」 まで入れていた柏原明日架も、現在は3W、5W、7W、9Wとなり、「11W」を使う選手は見かけなくなった。ショートウッドの先駆者キャロウェイは、現在でも最新作パラダイムFWに「9W」、「11W」をラインアップしているのはさすが(日本には導入されていない)。
ただし、クラブの特性としては、UTよりもFWの方がミスに強く、ボールが上がりやすいのは前述した通り。ショートウッドも大型化して構造的有利は変わりがない。我々アマチュアは、女子プロの真似をして単にUTに移行するのではなく、ショートウッドも選択肢として考えても良いのではないか。
独特なチョイスの選手は?
UTも入れず、3番ウッドの次はアイアンという男前なセッティングの選手もいる。渡邉彩香は、使用するアイアンセットとは違う、ポケットキャビティのアイアン「ツアーB X-CBP」(4番/21度)を入れている。ロングアイアンだけ少しやさしめのモデルを入れるというのは、国内男子ツアーや米ツアーの選手によく見られるセッティング。飛ばし屋ならではのチョイスだ。
200yd前後をショートウッドで攻めてくるのは過去のハナシ。スプーンの次の番手が19度前後という選手が約半数と着実に増えている。さらに、進化するUTは、5Wの座も奪おうとしていて、将来はアイアンセットならぬ「ユーティリティセット化」もあるのではないか。同じモデルのロフト違いのほうが、形状が揃うことで構えやすく、飛距離の階段も作りやすい。もちろんFWが得意な人は、ミスに強いフェアウェイウッドセットを作るのも良いだろう。HSや得意クラブなど考慮に入れて、セッティングを考えてみてはどうだろうか。(文・田島基晴)
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