トゥルーテンパー特集
2024/11/05

初V弾みにバージョンアップ中 阿部未悠のシャフト考

連載:高性能シャフトによる新スタンダードの創造
トゥルーテンパ―の「スチールファイバー」を使用する阿部未悠(撮影:落合隆仁)

国内女子ツアーでトゥルーテンパーの「スチールファイバー」シャフトを採用する選手が増殖中という。ベテランから若手まで幅広く、優勝経験者もいる。

プロ4年目の今年4月、「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」でツアー初優勝を果たした阿部未悠もその一人。感覚派が多い中、打感や球筋だけでなく数値データもシャフトに求めている。24歳にして、「こだわるところは、こだわりたい」という強い信念がある。

スチールファイバーとの出合い

23シーズン開幕前から目澤秀憲コーチの指導を仰ぐようになった(撮影:落合隆仁)

アマチュア時代からプロ1年目まで、アイアンのシャフトはトゥルーテンパーのスチールシャフト「ダイナミックゴールド」を使っていたという阿部。同社の「スチールファイバー」に替えたのは、2023シーズン開幕前のオフに目澤秀憲コーチに指導を仰ぐようになってから。同門の永峰咲希にすすめられて1本だけ打ってみたのだという。

そもそも、スチールファイバーは、コア部分がグラファイト(カーボン素材)で、最も外側の層にスチールファイバー素材を巻き付けてグラファイトの特性とスチールの特性を組み合わせたもの。同社の分類では「エアロテック シャフト」に当たり、シリーズは5種類。それぞれ個性があり、阿部が最初に打ったのは「スチールの良さが満載」(同社ツアー担当者)の「スチールファイバー i」シリーズだった。

「ずっと6I(6番アイアン)のシャフトを探していて、『スチールファイバーは結構いいよ』と言われて、挿してもらいました。ヘッドはそのままでシャフトしか替えていないんですけど、球への当たり方、コンタクトがやさしくなりました。すっきり振れる感じが好きです。6Iって、ちょっとしなってほしいし、暴れてほしくない、それをどちらもかなえてくれるというのが第一印象でした」

UTか6Iか シャフトで課題をクリア

6Iに苦手を感じていたが、シャフトを変えることで自信を持ってショットできるようになった(撮影:落合隆仁)

それまでは6Iが苦手で6UT(6番ユーティリティ)を使っていたが、「バンって上がり過ぎるのがあんまり好きじゃなくて……。フェーダーなのに、(ドロー回転となって)つかまるミスが大きく出ることも。『6Iを使えればいいよね』という話を目澤さんともしていました」。そのタイミングで出合った6Iのシャフト「スチールファイバー i 80」がはまった。

6Iの飛距離は165yd、夏場なら170yd。対するドライバーは235yd~240yd。「私の飛距離だと、アイアンがめちゃくちゃ飛ぶわりに、ドライバーがそこまでだから、今の(ツアーの)コースセッティングだと、ちょうどUTなのか6Iなのか、ぐらいの距離が残ります。そこで自信を持って打てないとスコアを出すことも厳しいという話をずっとしていたし、自分もそう思っていたので、それを(6Iで)クリアできるようになってきたのは大きかったです」

「ハードヒットしたい」ウェッジはスチール

ウェッジはねじれが少ない「ダイナミックゴールド」を継続して使用している(撮影:落合隆仁)

好感触を得た6Iの流れで、アイアンのシャフトをスチールファイバーに統一。ウェッジにも採用して試合でしばらく使ったが、「ダイナミックゴールド 95」に戻した。ウェッジに関しては慣れ親しんだスチールの「ねじれが少ない」良さを知っていたし、「地面にしっかりバンと打てる。フルスイングでハードヒットしたいタイプなので」というのが理由だった。

ドローヒッターからフェーダーへとスイングを改造するなどして、昨季は前半戦で好成績を上げ、難なくシードを守って迎えた今季。4月の「スタジオアリス」で待望のツアー初優勝を果たした。苦手だったアプローチやバンカーショットの克服も勝因だったが、紆余曲折を経て、シャフトのスペックを変更したことは大きかった。

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