狼の皮をかぶった羊たち「中空アイアン」市場が激アツ!ギアマニアが選んだ中古モデルは?
ミスヒットに強い寛容性の高いアイアンといえば、古くはピン「アイ2 アイアン」(1982年)やダンロップ「ゼクシオ アイアン」(2000年)に代表されるキャビティ構造のヘッドが一般的だった。近年は、キャビティヘッドと同じぐらいやさしいタイプの中空モデルも増えている。そこで今回は、ギアマニアを自負する筆者が、中空アイアンを使うメリットやオススメのモデルを紹介する。
キャビティと中空は何が違う?
ミスヒットに強いヘッドにするためには、慣性モーメントを大きくして重心深度を深くする必要がある。キャビティ構造では、フェースの肉厚を薄くしたり、軽量素材を使ったりし、そこで発生する余剰重量をヘッド周辺に分散させ、高慣性モーメントを実現している。また、ソール幅を広くして重心の位置を下げ、高弾道で飛ばせるヘッド構造に仕上げている。
一方の中空構造は、わかりやすく言えば「キャビティ構造にふたをした状態」。ふたの部分の重量がプラスされることで、さらに重心深度が深くなり、高慣性モーメントに仕上げることができる。キャビティ構造との大きな違いは、(キャビティよりも)重心位置が高くなりやすいため、中上級者向けモデルが多いことだ。中空はマッスルバックのようなカッコいい見た目でなおかつミスに強いため、近年人気を集めている。
中空の打感は? 飛距離は?
中空とキャビティともに、フェース部分に高反発素材を使用し、肉厚を薄くすることで飛距離性能を向上させている。しかしフェースを薄くすると、どうしても弾き感の強い打感になりやすく、タテ距離をコントロールしたい場合にイメージが湧きにくい。そのため、中空の部分に樹脂素材などを配置することでフィーリングを改善している。
オススメの中空アイアン ピン編
キャビティの元祖と言えるピンは、「i500」(2018年)、「G700」(2018年)、「G710」(2020年)、「i525」(2022年)など数多くの中空アイアンを発表している。なかでも「i525」はヘッドサイズが大きくソール幅も広め、7番アイアンで29度とストロングロフト設定のため、やさしく飛ばせるモデルだ。スチールシャフト6本セットで9万円前後から見つかる。
オススメの中空アイアン テーラーメイド編
テーラーメイドの中上級者モデル「P770」(2017年、2020年、2023年)と「P790」(2017年、2019年、2021年、2023年)も人気だ。初代「P770」はキャビティ構造だったが、2020年に登場した2代目からはコンパクトなサイズの中空構造となっており、スチールシャフト6本セットで8万円前後から手に入る。一方、トップブレードが厚めで寛容性を備えた「P790」はロフト角(7番30.5度)はそのままに打感やミスヒットへの強さが進化している。2021年モデルはスチールシャフト6本セットで9万5千円前後からが相場だ。
オススメの中空アイアン タイトリスト編
多くの中空アイアンをラインアップしているタイトリストの「Tシリーズ」。2019年に登場した初代「T200」はキャビティ構造だったが、それ以降の「T200」(2021年、2023年)とヘッドが大きめの「T400」(2020年、2022年)は中空構造を採用している。その中で、2021年に登場した「T200」はコンパクトなヘッドサイズだがミスヒットに強く、7番で31度とロフト角通りの飛距離が期待できる。シャフトの種類やスペックによっては、5本セットが6万円を切る価格で見つかる。
中空アイアンはフェースが薄いため、打感の良さはマッスルバックには及ばないが、見た目のかっこ良さを重視しつつスコアアップを望むなら、強い味方になるだろう。人気がある分、中古価格は高めで推移しているため、装着されているシャフトと消耗の程度をチェックしながら、自分に合ったモデルを見つけてほしい。(文・田島基晴)
■ 田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。