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ファイヤーソール、グローレ、DATA601…本当は教えたくない中古の“名器リスト”

2024/05/31 20:00

各メーカーからの新商品リリースが少々落ち着く季節。クラブを買うために新品市場も中古市場も冷静な目で眺めているアナタのために、今回は“プチ名器”を紹介する。「プロが替えられない」という観点だけでなく、「あぁ懐かしい!」「まだまだ使える!」というアマチュア目線での逸品を探してみた。筆者が見つけたら即買いするつもりのクラブも記している。

コスパ最高! 中古ドライバーを選ぶならこの2本

「どのドライバーでゴルフを始めればいいですか? 予算はあまりないのですが…」という方にお勧めするのがテーラーメイドの「グローレ」(2012年)。国内女子ツアーやシニアツアーで絶大な人気を誇った。住友ゴム(ダンロップ)のゼクシオシリーズの対抗作として発表され、飛距離性能の高さ、扱いやすさにアスリートも飛びついた。中古市場では1万円弱が相場だ。テーラーメイドの現行ドライバーとはスリーブが違う点だけがマイナスポイント。

RMX116と初代グローレ。特にグローレは爆発的な人気を誇った

今平周吾が使い続けたヤマハ「RMX116」(2015年)もオススメ。昨年発売「RMX VD/R」に変更するまで、ずっと彼の相棒だった。有村智恵も使い続けていたクラブだ。アスリート向けのため、寛容性よりも高い飛距離性能と操作性に長所がある。カスタムシャフトが入っていても、中古で1万円を切るコスパの良さも魅力だ。

お約束ワード「プロが替えられない」フェアウェイウッド

フェアウェイウッドは少々、古いものを紹介しよう。プロに愛されるクラブの条件として、まず飛距離性能が高いことが挙げられる。真っ先に思い浮かぶのが、深堀圭一郎宮瀬博文らが長く愛用したテーラーメイド「ファイヤーソールFW」(1999年)。素材はステンレス。ソールに比重の重いタングステンを配置し、低重心化に成功した。大胆なオレンジ色のヘッドと、打音が独特なので好みが分かれる。

ファイヤーソール(左)とスチールヘッド(右)。共に手放せないプロが多かった

片山晋呉がメジャーで7Wや9Wを駆使して人気があったのがキャロウェイの「ビッグバーサスチールヘッド」(1998年)。こちらもよく飛び、独特のソール形状により様々なライに対応できる特長があった。谷口徹も4+という番手を長く愛用していた。いま手に取ってアドレスすると、「ユーティリティよりも小さくない?」と不安になるが…。ビギナーは寛容性を期待しないほうが良いだろう。どちらもフリマサイト、オークションサイトなら5000円以下で見つかる。

「やさしいアイアン=キャロウェイ」だった時代を懐古する

1995年当時、新興メーカーだったキャロウェイは「ビッグバーサ アイアン」を発売した。ピンの名器「アイ2 アイアン」に勝るとも劣らない独特な形状で衝撃を与え、ボールが上がりやすく、ミスヒットに強いと大ヒット。98年には「ビッグバーサX12」、2000年には「スチールヘッドX14」をリリースし、次々と大ヒットさせた。いずれもツアープロの評価も高く、歴史的名器といってイイはずだ。

中でも、初代モデルが形状的にも一番“尖っていた”と筆者は思う。狙いから右側10ydにキッチリ高弾道で打ち出されるボールの記憶が蘇る。重心距離が49.5mmと、史上最も長いスペックだったので当然だろう。中古ショップの特価コーナーなどで1万円も出せば見つかる。X12とX14にはグースの少ないプロモデルも存在する。価格はさほど変わらないはずだ。

上田桃子が長らく使用していた「X-TOUR」アイアン

「軟鉄鍛造で、プロ使用モデルなのにやさしい」と大ヒットしたのがキャロウェイ「X-TOUR」(2004年)。深いキャビティモデルで、マッスルバックよりもヘッドが少し大きくてソール幅も広く、それでいてオフセットが少ない。「X FORGED」(2007年)もプロ使用モデルにして、扱いやすいニュートラルなアイアンだった。

アイアンの“寿命”を考える

テーラーメイドにも歴史的名器が存在する。「300フォージド」(2001年)は三浦技研で生産されたモデルで、日本ツアーで人気があった。「練習して打ちこなしたい!」と思わせる美しさがある。こちらはフリマサイトで3万円前後が相場のようだ。

田中秀道もお気に入りだった300フォージド

アイアンは溝規制の最終期限がことし先送りされたこともあり、選択肢が広がった。プロギア「DATA601」(1994年)も三浦技研製だ。深めのキャビティ、美しいヘッド形状のプロモデル。2万円弱でオークションサイトに出品されていた。これこそが筆者も日々、地道に状態の良いものを探しているクラブである。

マニアックな展開になったが、はっきり言って、ドライバーは10年前、フェアウェイウッドは20年前、アイアンは30年前のモデルでも、最新クラブとそん色のないショットが打てて、楽しくゴルフができると考える。同窓会で再会した、学生時代に憧れだった異性に声をかけるのは勇気が必要かもしれないが、中古クラブなら気軽に接することができるはずだ。(文・田島基晴)

■ 田島基晴 プロフィール

1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。