“100切り中古アイアンセット” ギアマニアがコスパ重視で真剣に考えた
「ゴルフクラブはやさしくなった」と言われて久しいが、“100切り”に悩むゴルファーは今も少なくない。ゴルフを始めて間もなく、友人や家族におさがりのクラブをもらったり、初心者セットを買ったりしたけれど、そろそろ自分でチョイスしたいと考えているそこのアナタ! ギアマニアの筆者がコスパに優れた中古アイアンをこっそり紹介する。
アイアンは長く使うことを考えて選ぶ
キャディバッグの14本のうち、買い替え頻度が最も高いのはドライバーだという人がほとんどだろう。アイアンを頻繁に買い替えるのは一部のマニアに限られる。ドライバーに比べて、アイアンの方が性能の進化のスピードが遅い。
テクノロジーの進化を感じにくいからこそ、長く使うことを前提で選びたい。やはり“定番”と言われるようなモデルが無難。国内女子ツアーの選手が長く使っているモデルなどを参考にするといいだろう。状態の見極めと、シャフト選びも忘れてはならないポイントだ。
プロツアーで人気のアイアンは信用できる
ツアープロが“替えられないクラブ”はやはりオススメ度が高い。桑木志帆、堀琴音が使うブリヂストン「ツアーB X-CB」(2016年)や、堀川未来夢が愛用していた2018年バージョンは、どちらも軟鉄鍛造のベーシックなキャビティだ。顔が少し違うので好みで選ぼう。2016年モデルは6本セットで3万円前半、2018年モデルは4万円台で見つかるだろう。
上田桃子のキャロウェイ「APEX」(2016年)もオススメだ。軟鉄鍛造ボディだが深いキャビティと幅広いソールでミスにも強い。6本セットで4万円台前半が相場。金谷拓実のピン「i210」(2018年)も推薦する。ピンのクラブは中古市場で人気がある。6本セットで6万円台から発掘できる。ステンレスボディで経年劣化が少ないのも魅力だ。どのモデルも少々100切り目指すには背伸びをしているようにもみえるが、長く使える可能性が高い。
筆者のイチオシは軟鉄ボディ
さて、ここからはプロ仕様クラブ云々は抜きにして、完全に筆者の独断と偏見で選んだ。まずは本間ゴルフ「ツアーワールド TW747 Vx」(2018年)はいかがだろう。軟鉄鍛造にしては少し大きめのヘッドで、意外とキャビティも深い。ロフト角も7番で30度とイマドキのハイロフト感がある。純正シャフトの種類も多く、重めのカーボンシャフトが選べるのもうれしい。6本セットで4万円台前半から見つかるだろう。
ダンロップ「ゼクシオ エックス」(2019年)も候補に入れたい。同ブランドのシニアイメージを払拭すべく登場したのがこのシリーズ。軟鉄ボディでライ角、ロフト角の調整が可能。深いポケットキャビティ構造でミスにも強い。4万円前後で手に入れたい。
有名なクラブコーディネーターもこっそりオススメしていたのが、ブリヂストン「ツアーB X-CBP」(2018年)だ。先ほど紹介した「ツアーB X-CB」より、ひと回り大きいサイズで、目立たないがポケットキャビティ構造となっている。7番のロフト角が31度で、フェースの弾きも良く飛距離性能も高い。こちらも4万前後が相場になる。
プロギア「PRGR 02」(2020年)は実にニュートラルで、上級者モデルに見える。それでいてソール幅も広く、打ってみるとやさしい。こちらは4万円台になる。
ライ角、ロフト角を合わせて上達しよう
筆者がオススメしているアイアンには共通点がある。まずは素材が軟鉄であること。ライ角、ロフト角の調整ができることが理由だ。ライ角が自分に合っていないと、上達スピードは遅くなる。長く使うことを念頭に置き、ゴルフショップで調整したい。ちなみに軟鉄ボディでも、フェースにバネ鋼など弾きの良い素材が使用されているモデルは、マッスルバックやハーフキャビティのような打感にはならない。打感は打面の厚みが影響することを覚えておいて欲しい。
もう一つは、ロフト角が極端に立っているもの、いわゆる飛び系アイアンはオススメしていない。飛び系アイアンは同じ番手でもロフト角を小さく、長さも長く、そしてシャフトも軽いものが装着されていることがほとんど。まずはクセのないものを使うことで、自分で飛距離を出すことを覚えたい。
自分が好きなシャフトが装着されたモデルを見つけたら、シャフト優先で選んでもいい。グリップの状態を見て、交換することもお忘れなく。なお、購入後は一度、工房でライ角、ロフト角を計測してもらおう。
そもそも、ゴルフクラブは長く“買い替えなければ”、コスパはいい。今回紹介したのは100切りのみならず、90切り、80切りも充分目指せるクセのないモデル。ぜひとも長く使ってスコアアップを目指してほしい。(文・田島基晴)
■ 田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。