もう存在が“映える” ギアマニア厳選「バックフェースの美しいクラブたち」
新しいクラブを購入し、キャディバッグに収める“儀式”。14本のたたずまいを写真に収めてニヤニヤした経験があるゴルファーは少なくないだろう。ヘッドのバックフェースやソールの見た目が美しければ、テンションも上がる。今回は中古ショップから筆者厳選のカッコいいクラブを紹介する。
美しいクラブが減った理由を考える
「昔のゴルフクラブは美しかった」と感じることはないだろうか? 感性は人それぞれとはいえ、近頃のクラブは「オモチャっぽい」だとか、「出来の悪いロボットみたい」なんていう声も聞く。確かに、最近は重心調整機能や反発を高める溝、可変スリーブといったテクノロジーがいくつも搭載され、見た目が以前に比べて複雑になった。先進性や高機能をユーザーに印象付けたいメーカーの思惑も影響しているだろう。
名器には“カッコいいロゴ”があった
尾崎将司の全盛期を知る人なら、「J’s(ジェイズ)」のロゴに思いを馳せるはずだ。ミズノの「M」マーク、タイトリストの筆記体ロゴに心躍らせた。また、1980年代から90年代にかけては、プロのシグニチャーモデルが多く発売され、AONモデルでなくとも選手のオリジナルロゴがあった。昨今は海外の超一流選手であってもシグニチャーモデルはなかなか生まれない。
7月にテーラーメイドが出したミニドライバー「BRNR MINIカッパー」は、同社がメタルウッド製造をスタートした当時のロゴが入っている。オールドファンのみならず、若いゴルファーにも好評らしい。
バックフェース(ソール)の変化という意味では、ドライバーが最も変わったかもしれない。ウエートやレール等が配置されデザインが複雑化。その中でタイトリストのクラブは近年どんどん見た目がシンプルになっている。「TSi3」(2020年)、「TSR3」(2022年)は重心調整機能があるにも関わらずシンプルだ。「TSi3」は3万円台前半から、「TSR3」は5万円台前半が相場だ。
バックフェースが美しいアイアンは機能面も◎
調整機能がほとんどないアイアンはバックフェースが美しいモデルはいくつも存在する。シンプルなマッスルバックが代表格。また、中空ヘッドもシンプルで美しい形状を保てる。テーラーメイド「P770」(2020年)、「P790」(2021年)はミスヒットへのやさしさも十分。人気モデルのため、6本セットで8万円台後半とまだまだ高値だ。
フォーティーンのアイアンはどれも奇をてらわない、シンプルで美しいデザインに定評がある。「TB-5」(2020年)はマッスルバックのように見えるが、ヘッドサイズは大きく、重量配置が工夫されており、キャビティのように寛容性がある。「TB-7」(2022年)はTB-5よりもひと回り小ぶりで操作性を重視したモデル。どちらも5本セットで6万円台から。
大ヒットモデルでもカッコいいものはカッコいい
“ダブルネーム”のようなカッコよさで言えば、「タイトリスト」の「ボーケイ」ウェッジと、「スコッティキャメロン」のパターだろう。ボーケイウェッジは「SM7」(2018)や「ボーケイデザイン フォージド」(2017)など、少し前までのモデルには「タイトリスト」のブランド名も入り、ロゴがダブル(SM8にはネック部分にある)。どちらも1万円を切る値段で見つかるだろう。
パターも「タイトリスト」×「スコッティキャメロン」は最強の組み合わせだろう。ネオマレット型のファントムシリーズも所有感が増す。ちなみに筆者はセレクト ニューポート 2(2020)、セレクト デルマー(2020)といったシンプルなデザインが好み。価格は状態によって大きく上下する。
恒例の…筆者の独断と偏見です
さて、最後に個人の嗜好で選ばせてもらった。まずはブリヂストンの「221CB」と「222CB+」(2022年)だ。Bマークとシンプルなつくりが美しい。新製品が出るウワサもあり価格的にもお手頃感が増してきた。6本セットが7万円台で見つかりそう。
ピンの「GLIDE FORGED ウェッジ」(2018年)のバックフェースはコンピューターミルドされており先進性も感じる。小ぶりだかスピン性能は非常に高い。6000円前後で見つかるだろう。プロギア「R35ウェッジ」(2010年)はソールに高級感があり、チッパーの印象を変えた逸品だ。チッパーに抵抗があった上級者にも「これなら使ってみたい」と思わせるものがあった。
見た目の美しさによるクラブ選びは、やはりゴルファーそれぞれの好みによるところが大きい。お気に入りのブランド名やロゴだけではなく、プレーを積み重ねることで愛着も生まれるクラブも多い。ただ、そろいのクラブを撮影しようとしてキャディバッグを倒し、バックフェースを傷つけたのは苦い思い出だ。勢いあまって筆者みたいにはならないように…。(文・田島基晴)
■ 田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。