このコースで真の80台!

“捨てサイド”をつくれば、ハザードも怖くない! ゴルフ5カントリー オークビレッヂ(後編)

2015/11/27 09:00

ロングパットは、打つ距離のストロークに専念する

名物17番のショートホールは、グリーンが左右に延びる。右奥のピン位置を考えれば、一人のラウンドの際、左サイドのアゴの高いバンカーに入れたN村の技術には疑いの余地がある

フェアウェイウッドやユーティリティを使うことでコース戦略の幅が広まったからと言って、即スコアアップに直結するわけではない。直後の16番、ロングホール。2打目でフェアウェイウッド、3打目ではユーティリティを使用するもともに不発。やはり、一朝一夕で使いこなせるクラブではない。だから、比嘉プロも15番ホールまでGOサインを待ったのだろう。

17番はかの深いアゴのバンカーが口を開けるショートホール。今度はバンカーを避けられたが、1オンに失敗してダブルボギーで終える。

ゴルファーを悩ます要素満載のホーム・ホール。グリーンを狙うショットも、右サイドが池、左サイドにはバンカーが待ち受け、攻略ルートを狭める

結局、5番ホール以来、パーとは縁がないまま迎えた18番ホール。GDOスコア管理アプリで抽出したホール・バイ・ホールの難易度ランキングで1位。5番ホールと難易度トップを分け合う最後の正念場だ。

400ヤードを超える距離を考えると、ティショットはできるだけ飛距離を稼ぎたい。だが左右両サイドがOBのため、つかまえようと力むと思わぬ大きなミスを招く。ティショットが成功したとしても、池が絡む3段グリーンが待ち受ける。最後まで、一筋縄ではいかない。

(比嘉プロ)ティショットは左右にハザードが設けられた、このコースの難しさを象徴するような最終ホールですね。15番ホールのおさらいもかねて、N村さんの攻め方を聞きましょうか。
(N村)15番はOBが右サイドだけでした。けれど、両方ともじゃないですか。
(比嘉プロ)N村さんの考えで構いません。それでも、許容できる方向を決めてください。

18番ホールのティショット。左サイドを狙おうにも、木が張り出している影響で無意識に右を向きやすい。正しいアドレスの向き(写真上)と誤ったアドレスの向き(写真下)

(N村)では、右サイドを避けて、左サイドに許容範囲を設定します。先ほど回ったときに、左サイドは案外広かったんです。持ち球のスライスをイメージしやすいですし、まっすぐ飛んでも大丈夫なので安心して振れますから。
(比嘉プロ)実は、右サイドでハザードエリアは200ヤード付近のみ。そこまで行かないクラブで右サイドを狙うことも方法も1つです。でも、ここはN村さんの決断を尊重しましょう。ただし、左サイドは木の枝がせり出していて狭く感じられます。ティショットで無意識に右を向いてしまいやすいので、注意してくださいね。

比嘉プロと相談の末のティショットはややトップしてまっすぐ打ち出され、左サイドのラフへ。距離が残った2打目はグリーン手前50ヤード付近に運ぶ。刻みのマネジメントが体に染みついたN村の迷いなき決断……そこまでは想定の範囲内だった。

だが3打目を打った瞬間に、N村から「あっ!」という声にならない声が洩れる。ボールはグリーン左サイドに乗ったのだが、傾斜が強い3段グリーンの最上段のエリアに落下した瞬間、悪夢がよみがえる。先のラウンドでの4パットである。最下段のエリアに立つピンまで20メートルといったところか。

N村の2パット目。比嘉プロの指差す位置へ目がけて打ち出すと、カップへ吸い込まれる

(N村)3打目はトップしてしまいました。3パットは確実ですね。4パットしないという自信もない……。
(比嘉プロ)N村さんはどんな転がりのイメージを描いていますか。
(N村)最初の下り傾斜をぎりぎりのところで下るような強さですかね。そこから傾斜でトロトロ下って、次の下り傾斜に差し掛かるころには……(グダグダと自信なさげに語る)。
(比嘉プロ)では、実際にそのストロークがイメージできていますか。
(N村)いや、そこまでは……。
(比嘉プロ)ここで考えるべきは、最初の下り傾斜に入るまでのボールの転がりです。たとえば3メートルの距離感であれば、そのストロークに集中するべきです。N村さんは20メートルのラインすべてにボールを乗せようとしています。長い距離を考えると、打つ瞬間に自分の中にある距離感が狂い、緩んだり、強くインパクトするようなミスにつながりやすいんです。

N村のスコアカード。上段が1人で回った時のスコア(110)、下段が比嘉プロとの二人三脚で出したスコア(99)。1人のラウンドで4パット3回と大荒れのパット数が49から37へ大幅に改善された

的確過ぎるアドバイスにグウの音も出ないN村は、3メートル先へ転がすことに全神経を集中。怖くてボールの行く先を見ることができなかったが、頭を上げると1パット圏内にボールが止まっていた。3メートルくらいあったが、2パットのダブルボギーでおさめ、通算スコアは99。いまのパットが2ケタと3ケタのスコアのボーダーラインであったことをN村はあとから知る。

(N村)スコア100切りできました!って、目標は80台でしたよね。それを忘れてしまうほど、途中からはプレーするのに必死でした。

N村は3メートル近いパットを決め、比嘉プロから労われる。大叩きを覚悟していただけに、安堵の表情

(比嘉プロ)ゴルフ5カントリー オークビレッヂはかなり上手い人でも普通に100を叩きます。もしこのコースで80台を出したら、それはもう立派なものですよ。上級者の方からは、スイング技術はもちろん、スコアをつくる技術も高く認めてくれるはずですよ。
(N村)パット数が49から37、実に12も減っているんです!
(比嘉プロ)49は打ち過ぎですが(笑)、パット数を減らした主な要因には刻みの効果もあったはずです。グリーンまで短い距離を短いクラブで打てば、ピンハイに付く確率が上がり、難しい距離やラインにつく確率は下がるからです。18番ホールで教えたアドバイスも忘れないでください。あっ、あとコンパクトなスイングも心がけてくださいよ。生徒さんも1カ月もすると、元に戻ってしまうケースが多いんです。
(N村)分かりました。今日は、本当にありがとうございます。

【まとめ】ゴルフ5カントリー オークビレッヂの攻略ポイント
・「刻み」を有効に使う
・左右がハザードの場合、リスクの少ないサイドを「捨てる」
・左足下がり傾斜のショットを上達させる
・ロングパットは打つ距離のストロークに集中する

ラウンドを終えると、マジックアワーにより幻想的に映し出される。ゴルフ5カントリー オークビレッヂはプレー中の厳しさと違った表情を見せ、N村たちを送り出してくれる

この取材を終えてから1カ月以上が経過。相変わらず、N村は仕事に、プライベートに、ラウンドを重ねている。たが、彼のスイングを見て、オーバースイングが改善された、トップの位置がコンパクトになった、などという声は一切聞かれない。

レベルアップを見据えた地道な努力より、スイングにおける目先の満足感を優先させてしまった不肖N村……。比嘉プロ、どうかお許しを。
(取材協力/ゴルフ5カントリー オークビレッヂ

※次回の公開は12月11日(金)を予定。N村が次に挑戦するコースは……。

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