「つなぎ」のショットでチャンスを残そう！ 宍戸ヒルズカントリークラブ 西コース（後編）
アマチュアにとって、ロングホールは難しい
（前回までのあらすじ）
スコア90台で伸び悩むGDO編集部員・N村（40代・独身）が、国内メジャー大会の開催コースでスコア80台を目指し、奮闘中。無謀にも思えるチャレンジの裏には、悲願達成の暁には上級者から賛辞を受けたいという思惑も。
だがスコア110で回るのが精いっぱいだったN村は、親交のある北野正之プロをスコアアップの切り札として迎え、捲土重来を期す。N村は苦手の打ち下ろしホールを克服するなど手応えをつかみながら、宍戸ヒルズカントリークラブ 西コースの上がりホールに差し掛かる。
15番ホールのパー5が近づくにつれ、N村の表情はこわばってきた。先ほどのラウンドで二桁スコア「10」を出してしまったのだから、当然か。
当時は600ヤードを超える距離の長さを意識し過ぎたあまり、ティショットで大苦戦。1打目をオーバースイング＋大振り遅れによる右OBに打ち込み、打ち直しを今度は左の崖下へ落とす。木が密集した林からコースへ戻るのにも手間取ってしまったのだ。
GDOスコア管理アプリで抽出したホール・バイ・ホールの難易度ランキング（※1）を見ると3番目にランキングされ、ロングホールで上位5位以内に入ったのは初めてのこと。パー5がサービスホールという一般的なイメージを覆している点においても、非常に興味深い。
そんなことを知らないN村は、先のラウンドで13オーバー、北野プロと二人三脚のラウンドでも3つのホールで8オーバーというロングホールでの散々な成績にこうボヤく。
「あ～あ、今日はロングホールでパーが取れていないよ。もったいないな……」
（※1）GDOスコア管理アプリは、累計50万人以上のゴルファーに愛用され、プレー中でも片手で簡単にスコア登録が操作できる。その膨大なデータの中から1年間（※2）で、宍戸ヒルズカントリークラブ 西コースを回った平均スコア89以下の登録者のスコアをもとに集計
ティグラウンドに立つと、やはり左右のハザードが効いている。そのうえ、フェアウェイは絞られていて、使えるコース幅が狭いのだ。トーナメントでは3番ウッドや5番ウッドでティショットを打つプロもいるほどで、ロングホールとはいえ、バーディを計算できるホールとは言えない。
そこで、N村が思い出したのが、前のホールで北野プロから教わった低弾道のショット。グリップを短く持ち、低いフォローを意識。全身全霊を傾けたティショットは“今日イチ”。右ラフにかかったが、240ヤード近く飛ばすことができた。
ロングショットは、ほどほどの飛距離と方向性でOK
手には分厚いインパクトの感触が残り、N村は達成感で満ちあふれていた。その余韻も覚めぬまま2打目はなんと、大ダフリ。逆に3打目がチョロ。あわせて100ヤード程度しか前進できず、ティショットのアドバンテージを手放してしまった。バツが悪そうに北野プロの表情をうかがうと、N村のプレーはお見通しのようで……。
（北野プロ）N村さん、「ロングホールで取りこぼしている」なんて言っていましたね。ロングホールが簡単なんて、誰が決めたのでしょう。
（N村）だって、そうでしょう。プロは試合でバーディをばんばん取るじゃないですか。
（北野プロ）それは、飛距離が出て、精度が高いショットを打てるプロの話。アマチュアにとっては、単純に距離が長い、それだけで難易度は高くなるんですよ。
（N村）でも、そのぶん打数を費やせるわけですよね？
（北野プロ）その代わり、正確に飛距離が出るショットを少なくても2回は要求されるわけですよ。それって、かなりハードルが高いと思いませんか？
（N村）確かに、そうですね。実際、このように2回連続してミスしているわけですから。
（北野プロ）ミスが出るのは、ナイスショットをしようとするから。そこでおすすめしたいのが、ナイスショットではないけれど、大きなミスにならず距離が稼げるショットの習得です。
北野プロによれば、多くのアマチュアは、ロングホールの中でも2打目、3打目のいわゆる「つなぎ」のショットで失敗しているという。そもそも、N村が2打目、3打目でミスした原因とは。その検証とともに、話は進んでいく。
（N村）ボールを上げようとアッパーブローで打とうとしたら、クラブが手前から入ってしまいました。その次はダフリを警戒して手元が浮いてしまい……。
（北野プロ）アッパーブローは、クラブ軌道の最下点がボールの手前になるのでダフりやすくなりますし、ダフリを避けられても今度はボールの上面を叩いてチョロにもなりやすい。だから、最下点がボールの先に来る、ダウンブローのようなクラブ軌道が理想的です。トップで左肩が右肩より低くなった状態を保ったまま左足と同時にボールにも体重を乗せるようなイメージ。ボールに伝わる力が大きくなるので、うまく飛距離が稼げますよ。
（N村）えっ、これって、スエーではないのですか。
（北野プロ）頭を残そうとするとダフりやすく、うまくボールを上から打ち込めません。だからスイングの中で頭の位置を（右打ちの場合）左方向、つまり進行方向に動かすイメージが正解。N村さんはただでさえ、右足に体重が残りダフりやすいので、このくらいの意識でちょうどいいと思いますよ。
（N村）ダフって、まっすぐ飛んでいたの……バレてましたか。
（北野プロ）方向性を高めるため、フォローは小さく、低くすることもポイント。ボールがきちんとヒットせずに薄い当たりでも、まっすぐ飛ぶのなら問題ありませんよ。大切なのは、次のショットにチャンスをつなげることですから。
ロングホールで距離が残りやすい2打目、3打目に適した「≒ナイスショット」。北野プロが再現してくれたので、左上の動画に注目！身に着けることができれば、ロングホールがいままで以上に簡単に攻略できるはずだ。