このコースで真の80台!

N村、ジェイソン・デイになる!? アザレアカントリークラブ(前編)

2016/01/08 09:15

OB後は一呼吸置き、悪いイメージを払しょく

N村は先のラウンドで乱れたショットの改善として、スイングを見直す。あわせて、オーバースイングを見てもらうと、田島プロの解説はシンプルかつ明快。キーワードは「アーリーコック」

田島プロとのラウンドで、改めてスコア80台に意欲を見せるN村。まず、心がけるポイントは、OBを打たない――。6つのOBを打ったゴルファーに適切な設定かはともかく、N村は入念にスイングをチェックして巻き返しに備える。

手始めに、田島プロにオーバースイングも見てもらう。すると、「テークバックでアーリーコックにすると、自然とトップの位置はコンパクトになりますよ」とのアドバイス。確かにコックを早く入れると、腕がロックされる感覚。説明も分かりやすく、納得。これは、実践しない手はない。

ショートホールでティショットがグリーン奥にこぼれる。N村の願いもむなしく、わずかにOB杭を越えていた

さすがは、田島プロ。コンパクトなテークバックから放たれる球筋は、N村からOBの恐怖を取り除いてくれるほどの安定感。「これで思い描く80台へのプランが……」とN村の頭によぎった矢先、3番の打ち下ろしの短いショートホールで思わぬ落とし穴に。風がフォローに変わっていることに気付かなかった。

ピン筋かと思われたボールがグリーン奥にこぼれると、さらにカート道に跳ねて……。N村が駆けつけると、OB杭のわずか外にボールを確認。N村の胸は騒ぎ始めるのだった。

目には目を、迷走には瞑想を

OBを出して動揺するN村に対し、田島プロから一呼吸を置いてもらう。目を閉じて、気持ちを沈める

OBとは、ゴルファーにとって大敵、だと改めて痛感させられる。1度出ただけで、急に白杭が視界に飛び込んでくるのだから。右はダメ。左もダメ。奥もダメ――。頭の中ががんじがらめとなったN村。そんな姿を見た田島プロからは、こんな指摘を受ける。

(田島プロ)N村さん、プレーのリズムが悪くなりましたね。遅くなったというか……。
(N村)OBが気になり始めて、ショットに自信が持てないんですよ。
(田島プロ)こんな時は一呼吸置く意味でも、目を閉じてみてください。先ほど、お話しましたが、脳に対して目からの情報を遮断することで右脳が使える状態になる。すると、自分の感覚に忠実に体を動かせる状態になり、プレーに集中できます。自然とルーティーンも簡素化されますよ。

距離が長いうえに、かなりの打ち上げとなる。グリーン奥のOBゾーンも近いので、大きめの番手も持ちづらい

その瞑想効果を発揮するのに絶好の舞台、6番ホールに到着。先ほどのラウンドでOBを含む「6」を叩いたショートホールである。

ティグラウンド手前にある池が視覚的なプレッシャーになり、グリーン手前には深く大きなバンカーが待ち構えている。さらにかなり打ち上げているので、188ヤードの表示以上の飛距離、とりわけキャリーが求められるのだ。アマチュアの多くは、ロングアイアン以上の番手を持つことになるだろう。

OUTコースで屈指の難易度を誇る6番ホール。ショートホールでは珍しい、難易度ランク5傑入り

この6番ホールは、GDOスコア管理アプリで抽出したホール・バイ・ホールの難易度ランキングでも3番目に入る(※)。これまでのコースでショートホールというと、そのほとんどが難易度の下位にランクされている。このショートホールの突出した難しさは一目を置かざるを得ない。

(※)GDOスコア管理アプリは、累計50万人以上のゴルファーに愛用され、プレー中でも片手で簡単にスコア登録が操作できる。その膨大なデータの中から、2014年9月1日~2015年8月31日の1年間で、アザレアカントリークラブを回った平均スコア89以下の登録者のスコアをもとに集計

ジェイソン・デイのように、目を閉じて一呼吸置いてティショットに入るN村。だが、OBショットの悪いイメージがなかなか消えないことは、田島プロにもすぐに伝わったようだ。

(田島プロ)OBを打ってしまうと「次は同じミスをしない」ように注意して打つ人がいますが、僕なら「前のことは忘れろ」とアドバイスしますね。そのミスはたまたま出ただけ、だと。むしろ、自分のいつもの振り方に集中することをおすすめします。
(N村)まったく同じように打つんですか。
(田島プロ)どうしても不安ならば、ティの位置を変えてみてはどうでしょう。景色が変わることで新しい弾道イメージが描けるので、悪いイメージの払しょくにも期待できます。
(N村)なるほど。先ほどはティマークの右寄りから打って引っ掛けたので、思い切って左寄りにしてみようかな。
(田島プロ)あとは、ターゲット(狙い)を変えてみるのも効果的ですよ。

N村はティマークの左寄りにティアップし、ターゲットは手前のバンカーにあまりかからないようにグリーンの右めに設定。瞑想効果もあいまって不安が軽減され、スムーズなティショットに移れた。ユーティリティでの1打目。「あっ!」。N村はややダフり気味だったことに声が出たが、逆にこれが奏功。まっすぐ、高い弾道となり、グリーンを捕らえることに成功した。

とはいえ、1つタイミングが狂えば、再びにトラブルに見舞われただろう。このようなダフリのミスは、打ち上げのショットではアマチュアによく見られるという。

(N村)打ち上げホールだとどうしても球を上げようしてしまうんです。アッパー軌道で打とうとするから煽り気味になったり、先ほどみたいにヒールに当たって左に引っ掛けてしまうんです。
(田島プロ)打ち上げホールでピンに目線を合わせると、右肩下がりになりやすく体の軸が傾いてしまいます。すると、ダフリや煽り打ちのミスになりやすいんです。
(N村)目線の置き方が大事だと……。
(田島プロ)その通りです。ピンの高さではなく、自分の目線を同じ高さに保つことで、アドレスの際にきちんとアライメントを保つことができます。打つ前にボールの後ろに立って、目線と同じ高さの仮のターゲットを決めてください。そこを見ながらアライメントを設定するといいでしょう。

実際に6番ホールで田島プロがお手本とするティショットを披露してくれたので、左上の動画に注目してほしい。

肩や腰のラインを並行に保つことが打ち上げホールでは重要。左足上がりのライでも応用できる

このティショットの注意点は、左足上がりの打ち上げのライなどでも応用できる。特にアザレアカントリークラブは高低差があるホールが多いので、様々なケースで役立つはずだ。

6番ホールをパーで終えたN村は、OUTコースをOB1つで抑え、「48」で終える。結局、先ほどのラウンドとスコアは変わらず、「このままだといつもと同じ結果だなあ……」と、N村は嘆息する。だが、INコースに入ると連載が始まって以来のクライマックスを迎えることをN村はまだ気づいていないのだった。

(取材協力/アザレアカントリークラブ

※次回の公開は2016年1月22日(金)を予定。今年もN村へのご声援、よろしくお願いいたします。

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