このコースで真の80台!

やめられません、“タラレバ”は! アザレアカントリークラブ(後編)

2016/01/22 09:15

この木、何の木~♪、意味ある木?

N村の指南役はツアーを主戦場とする田島創志プロ。そのショットの迫力と精度の高さには、驚きを超えて笑いが出るほど

(前回までのあらすじ)
スコア90台で伸び悩むGDO編集部員・N村(40代・独身)が、同じ悩みを抱えるゴルファーを代表して、あえて難コースに挑戦中。ただの80台ではなく上級者からも認めてもらえるようなスコアを目指しているが、アザレアカントリークラブで苦戦する。コース全長がそれほど長くないので甘く見ていたが、実は狭くて、ハザードに囲まれる難コースだった。6つのOBを出しスコア101で終えたN村は、ツアー優勝経験のある田島創志プロのサポートを受けて、2回目のラウンドに挑戦し、OUTコースを48で終えた。

右サイドに2つの池が広がり、スライサーにとっては特に要注意。距離も長いので、リスクを避けるために3オン狙いも有効な手段だ

N村が、田島プロから受けたアドバイスは2つある。まずはOBでリズムを壊しそうになったとき、黙想したり、ターゲットを変えて立て直す方法。そしてもう1つは、ショットが左右に大きく曲がる元凶、自慢(!?)のオーバースイングに対してアーリーコックを使う方法。コンパクトにスイングできるようになると、これまでの弱々しいスライス弾道ではなく分厚くインパクトできるように変わった。実際、この2点を意識するだけでN村のプレーは安定感が増した。とはいえ、比例してスコアが向上しないのは悩ましい。

10番ホールに着いたN村は、先ほどのラウンドではこのホールで2発のOBを打ち、9を叩いたことを田島プロに告白するのだった。

INコースはメリハリが効いている。難易度ランク上位ホールが10番~14番まで並び、その後はやさしめのホールが続く

この10番ホールは、GDOスコア管理アプリで抽出したホール・バイ・ホールの難易度ランキング(※)において1位! 距離が長いのでロングショットが求められるが、大きく曲げればコースの両サイドに連なるハザードが待ち受ける。N村も、その罠にまんまとはまったわけだ。

「どちらかのハザードには入ったら仕方がない、と割り切って打つほうがいいですよ」と、田島プロ。同じようなアドバイスを以前にも聞いたような気が……。そうだ、ゴルフ5カントリー オークビレッヂの比嘉強プロも、そんなことを言っていたっけ。2人のプロから受けた金言に、気が楽になったN村。いったん、目を閉じて一呼吸。そしてティショットは……トップしてしまい、地を這うような低弾道に。

(※)GDOスコア管理アプリは、累計50万人以上のゴルファーに愛用され、プレー中でも片手で簡単にスコア登録が操作できる。その膨大なデータの中から、2014年9月1日~2015年8月31日の1年間で、アザレアカントリークラブを回った平均スコア89以下の登録者のスコアをもとに集計

コース内の木にどんな意味があるか、考えたことはあるだろうか。ゴルファーのサポート役として存在することもあるとは……

セカンド地点に来ると、グリーンまでの距離は約220ヤード。打ち上げも考えると230ヤード以上は必要だということになる。ドライバーの平均飛距離が220ヤードのN村にとっては選択の余地がない。ロングアイアンによる刻みだ。だが左のOB、右の池、どちらのハザードも効いていて、なかなか割り切れず、開き直れない。そこに、田島プロから、こんな質問が。

(田島プロ)N村さん、池の手前に木がありますよね。どんな意味があると思います?
(N村)???……。単なる障害物のはずですが、セカンド地点からだとグリーンにかからない位置にあるので嫌な感じはありませんね。
(田島プロ)実は、ミスして池に入りそうな球をコース内に戻すために配置されているんですよ。
(N村)まさか!? 確かにミスしたら当たりそうな絶妙な位置にはありますけど……。そんな木の存在意義なんて、考えたこともなかったなあ。どうして、分かるんですか?
(田島プロ)明確な答えはありません。経験から推し量る、としか言いようがないのですが。
(N村)そうですか。あの木を嫌がると、左に引っ張ってOBになる危険性が出てきます。でも、右にフカすミスならセーフになる可能性が残るということですね。よしっ! これで決断できました。

田島プロのアドバイスで池方向を“捨てサイド”に選んだN村。だが2打目も……またトップ。なんとか3オンしたが、ティショットからの2連続ミスの報いは3パットというかたちで、グリーン上で受けることになった。

ドッグレッグは、コーナーへの誘惑に注意!

ティグラウンドからグリーンまで、なだらかに上る左ドッグレッグ。小さいグリーンは傾斜もきつく、最後まで気が抜けない

失意のN村に、難易度ランキング2位の11番ホールが追い討ちをかける。やや打ち上げの左ドッグレッグで、左コーナーまで210ヤード。N村の飛距離でも、ショートカットできる計算だ。だが、先ほどはショートカットに失敗。左サイドはOBではないが、フェアウェイまでの脱出に手間取りダブルボギーとなっている。

まずは、田島プロからティショット。林の真上をゆうゆうと越えていった。そして、リベンジに燃えるN村は、意気揚々とティグラウンドに上がり、アドレスに入ると……。

田島プロはティショットで左コーナーサイドの林越えを狙う。飛距離と方向性の両面で自信を持つ上級者向けのターゲット

(田島プロ)N村さん、左を向き過ぎじゃないですか。いったい、どこを狙っているのですか?
(N村)もちろん、ショートカットです! あっ、もちろん、田島プロのように林の真上なんて狙わないので安心してください。自分の飛距離に合わせて、コーナーギリギリを狙いますから。
(田島プロ)なぜ、まっすぐにフェアウェイを狙わないのですか? N村さんの飛距離なら、奥に突き抜ける可能性なんてないのに。
(N村)言われてみれば、そうですね(笑)。セカンドショットの距離を短くしたいという一心で、そんな当たり前のことを忘れていましたよ。

飛距離が出ないN村ならば、フェアウェイのセンターを狙っても突き抜ける可能性はない。堂々とまっすぐ狙えばいいのだ

(田島プロ)これが、ドッグレッグホールの盲点です。アマチュアの多くは、コーナー方向に誘われるようにターゲットを定めてしまうんですよね。打つ前に一度、ショートカットする必要があるのか、考えるようにしましょう。

ターゲットを変更したN村のティショットは、引っ掛け気味に。そうだった。田島プロにアーリーコックを教わってから、つかまり気味の弾道が増えていたのだ。でも、フェアウェイセンターを狙ったおかげで、左サイドのラフにかかる程度。グリーンを狙うには厳しいエリアに止まったとはいえ、もしショートカットを狙っていたら……。そう考えれば、3オン2パットのボギーで済んだことは御の字だ。

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