このコースで真の80台!

やめられません、“タラレバ”は! アザレアカントリークラブ(後編)

2016/01/22 09:15

ハザードの「手前」とは!? 刻みで陥りやすい落とし穴

名物ホール。グリーン手前が崖なので刻むのが攻略の定石だが、飛距離に自信があればドライバーで越すチャレンジルートも

先ほどのラウンドでN村の目算を狂わされた最大の要因が、300ヤード強の短いミドルホールで1度もパーを奪えなかったことだ。中でもアザレアカントリークラブの名物、13番ホールは象徴的なプレーだった。グリーンを狙う崖越えのショットがOBとなり、7を叩いている。

まずは、田島プロが試しに2回ティショットを打つ。ドライバーで思い切り叩くと、崖を越えてグリーン手前に着弾。「キャリーが250ヤードを出せる自信がある人なら、狙ってもいいですね」と田島プロ。N村は、馬耳東風……。

ティショットで刻む場合、N村がいるギリギリの地点を狙うのではなく、崖の10ヤードくらい手前を狙おう。打ち下ろしになるので、思いのほか飛んでしまう可能性があるからだ

そして、2発目はアイアンでの刻みのショット。今度は崖のやや手前のところに落としている。この落とし場所こそ、攻略のカギだという。

(N村)では、今度は私が打ちますね。崖まで打ち下ろしを入れて170ヤード。その手前まで、5番アイアンで刻みます。
(田島プロ)ちょっと、待ってください。手前とは、どの位置を指していますか?
(N村)もちろん、崖のギリギリ手前ですけど。
(田島プロ)ティショットは打ち下ろしですし、上空の読みづらい風によっては思った以上に飛んでしまうことがあるので注意してください。ギリギリを狙いたくなる気持ちは分かりますが、ナイスショットしたのに行ってみたら崖に落ちていたなんてことになったら、目も当てられません。崖から手前10ヤードあたりを狙い、距離において保険をかけておいたほうが賢明ですよ。
(N村)なるほど。だから田島プロは、やや手前に落としたのですね。番手を間違えてショートしたのだと思っていました(笑)。大変、失礼いたしました。

17番ホールでパーパットを沈め、N村のテンションもアゲアゲ。田島プロも一緒に盛り上がってくれる

6番アイアンに番手を下げて臨んだティショットだが、またもや、左へ引っ掛ける格好に。それでも、左サイドの急斜面を使ってフェアウェイまで転がり落ちてきた。そこからなんとか崖越えを成功させたN村だったが、2オンには失敗。なかなかパーオンできないこの日のラウンドを象徴していた。

10~14番ホールまでの、難易度ランキングトップ5のうち4ホールが集まるアザレアカントリークラブ版“アーメンコーナー”を終えると、一転、難易度ランキング下位のホールが続く。そのデータに後押しされたのか、突然パットが決まりだしたN村は15番から3連続パーを重ねたのだった。一度はスコア80台をあきらめていたが、もしかして……。

スコア80台の希望をつないだ……のか???

後半に巻き返し、スコアが気になり始めたN村。最終ホールに到着すると、つい……

これまで一打集中を心掛けてきたN村だったが、スコアが気になり始めて我慢の限界。18番ホールに着くと、スコアを数えてしまった。6+5+6+6……、そして……7+4+4+3。ここまでのスコアは85。つまり、4打で上がれれば、スコア80台が達成できる。次に気になるのは、このホールのパー数だ。パー3ならボギーでOKなのだが、なんとパー5だった。つまりバーディが必須になるが、N村は連載を通じて、バーディを記録したことなどない。でも、可能性がある限り、挑戦するのがN村の使命である。

入れば80台の重要局面でのアプローチ。だが、思いは届かずN村はうなだれる。この距離から、本気で入ると思っていたのは本人くらいだろうが……

18番ホール、パー5、473ヤード。ここからは、1打速報でお届けする。
【1打目】使用クラブ:ドライバー。弾道:スライス。着弾地点:右ラフ。残り距離:273ヤード。
【2打目】使用クラブ:5番ウッド。弾道:トップ。着弾地点:左ラフ。残り距離:110ヤード。
【3打目】使用クラブ:PW。弾道:ダフリ。着弾地点:グリーン手前。残り距離:25ヤード。

4打目の使用クラブは田島プロに相談。9番アイアンでの転がしで意見は一致し、迷いなく狙ったが、わずかにオーバー……。

80台の可能性を最後まで残したN村のスコアカード。左列が1人で回った時のスコア(101)、右列が田島プロとのラウンドで出したスコア(91)。スコアの右にあるBマークは「OB」を打ったホールを示す

結局、そのパットも外し、ダブルボギーでラウンドを終える。スコア91は過去最高とはいえ、内容が内容だけに悔しさばかり残る。

(田島プロ)N村さん、ナイスラウンドですよ。INコースではOBを出さなかったじゃないですか。このコースは上級者になるほど難しいと思いますよ。
(N村)お疲れさまでした。それは、どういうことでしょう?
(田島プロ)普段70台、80台で回る人でもショットの少しのブレで落とし穴にはまってしまうコース。縦にも横にもブレが許されない状況が多かったですよね。でも普段からスコア100以上で回る人は、いつもOBもそれなりに打っているでしょうから、それほどスコアに大差はないという意味です。僕も今シーズンに向けて、良い練習になりましたよ。

あとわずかのところで目標達成はならなかったが、田島プロから労われる。N村に去来するのは、悔しさばかりだ

(N村)田島プロの前で、いいところを見せたかったなあ~。
(田島プロ)確か、このコースはGDOの難易度ランキングで上級者の平均スコアが90でしたよね。N村さんと1打しか変わらないんですよ。もっと、自信を持ちましょう。
(N村)そんなデータ、よく覚えていましたね(笑)。田島プロも今シーズン、頑張ってください。
(田島プロ)ありがとうございます。

田島プロの言う通り、N村はこのラウンドを通じてスコア80台を目指す資格は得られたのかもしれない。このセリフを、口にするまでは……。

「あーあ、OBがなければ、80台だったのに」

結局、最後も“タラレバ”で締めてしまったN村。だから、いつまでたっても成長しないのだ……。

(取材協力/アザレアカントリークラブ

※次回の公開は2月12日(金)を予定。今回のプレーで、難コースでのスコア80台が現実味を帯びてきました。

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