このコースで真の80台!

高速グリーンより厄介!? 煩悩の数だけ悩みは尽きません カレドニアン・ゴルフクラブ(前編)

2016/03/11 09:15

予定外!アゴが高く、軟らかい砂質のバンカーに大苦戦

最後の舞台、カレドニアン・ゴルフクラブに到着したN村。仕事で来たことはあるが、実際にラウンドするのは初めて

(前回までのあらすじ)
スコア90台で伸び悩むゴルファーを応援したい。この連載はそんな想いから、同じ悩みを抱えるGDO編集部員・N村(40代・独身)が立ち上げた。ただの80台ではなく、上級者からも認めてもらえるよう、あえて難コースでの達成を目指してきたが、今回がラストチャンスとなる。

過去にはゴルフ5カントリー オークビレッヂ美浦ゴルフ倶楽部ホウライカントリー倶楽部宍戸ヒルズカントリークラブ(西コース)、アザレアカントリークラブという名にし負う難コースの門を叩いてきたが、目的は達せられなかった。とはいえ、N村は打ちのめされただけではない。そのコースに精通するクラチャンやプロのサポートを受け、ショットのバリエーションやコースマネジメントなどを身に着けながら、回を追うごとにスコア80台に迫ってきたのも事実。まあ、自慢の(!?)オーバースイングは一向に改善する兆しがないのだが……。

マスター室に掲示されるグリーンコンディション。「11フィート」の文字に、何とも言えない高揚感が

そんなN村が最後に選んだコースは、カレドニアン・ゴルフクラブ(千葉県)だった。累計60万人以上のゴルファーが登録するGDOスコア管理アプリを利用し、2015年のラウンドで平均スコアが89以下の登録者を対象としたデータによると、カレドニアン・ゴルフクラブでの平均スコアは87.6だと判明。上級者でも大叩きしてしまうほどの難コースだということがよく分かる。

カレドニアン・ゴルフクラブの金看板と言えるのが、高速グリーン。この日は「11フィート」。通常のコースが9~10フィートあたりだから、やはり並みの速さではない。対策として、事前に練習グリーンでボールを転がしてみるN村。カップ周辺ではなかなか「OK」の距離に止まらず、上りのラインでも合わせに行かなければならないほど。不安と不思議な思いが交錯しながら、まずは1人でラウンド開始!

フェアウェイバンカーとはいえアゴが高く、短い番手を持たされる。軟らかい砂質も難易度をプラス

ちょうど1ヵ月ほど前、美浦ゴルフ倶楽部で3パットなしのラウンドに成功し、パットの上達に手応えをつかんだN村。この成果を発揮するため、あえてグリーンの難しいカレドニアン・ゴルフクラブを選んだわけだ。そして、スタート前から頭の中は、グリーンの転がりイメージばかりが支配する。

しかし、そのグリーンまでが遠い。そして、N村の足元からは何度となく白い砂煙が上がるのだった。そう、カレドニアン・ゴルフクラブの名物は11フィートのグリーンだけではなかったのだ。高速グリーンを取り囲むようにガードし、時にはティショットのターゲットを遮るように配されるバンカーもまた、難易度を高める要素の1つなのである。

名物の13番ホール。セカンドショットで池に入れてしまったN村。4打目のライから、目の前に美しいビーチバンカーが広がる

さらにN村を悩ませたのが、その形状と砂質だ。ベースボールグラブ・サンドトラップ(野球のグローブのような形状で、アゴにかかるライになる確率が高くなる)で、なおかつアゴが高い。その上、ふかふかの軟らかい砂のため、目玉にもなりやすく、思うようにクラブをコントロールできないのだ。

フェアウェイにも、同じようなバンカーが点在。通常のように砂を薄目にとって脱出をはかると、アゴに当たってしまうため、グリーンを狙うのをあきらめて、SWなどの短い番手に持ち替えざるを得ない。1打以上のペナルティを払わなければならない、正真正銘のハザードである。それにしても、数が多い……。「コース全体で108個あります。人間の煩悩の数と同じだそうです」と、コース在籍4年目の美人キャディ、F川さんが教えてくれた。

オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブを想起させる15番ホール。高速グリーンの左サイドはバンカー、右サイドはクリークと、難易度においても『マスターズ』級だ

前述したN村が過去に回った5つのコースは、GDOスコア管理アプリを利用する平均スコアが89以下の登録者(上級者)を対象として算出された難易度上位5位までのゴルフ場。つまり、データ上はカレドニアン・ゴルフクラブよりも難しいことになるのだが……。

「今まで回ってきたコースより難しいんじゃないかな。難易度トップ5に入っていなかったのが不思議なくらいだよ」

N村から、こんな愚痴にも似た弱気な言葉が漏れる。それでも、決して滅入るような気分にならないのはなぜか。ゴルファーを悩ませるバンカーや池、グリーンでさえも、風景の一部を切り取ればそんな苦労を忘れさせるほどの絶景に変わるからだろう。たとえば15番ホールのグリーン回りは、『マスターズ』が開催されるオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブの13番ホールを彷彿させるような、威厳に満ちた、重厚感のある雰囲気に魅了されるのだ。

17番ホールでやっと最初のパーが来た。ガッツポーズで過剰に喜ぶN村は、何か吹っ切れたか、それともヤキが回ったか

とはいえ、バンカーに翻弄され続けるN村は、当然、グリーンまで手が回らない。3パットは5回を数え、17番のショートホールになって、ようやく最初のパーを獲得できた。その悪戦苦闘ぶりを考えれば、スコア98でラウンドを終えたなら、上出来だと思えるだろう。

ちなみに、1人で回る1回目のラウンドで100を切れたのも初めてのこと。再挑戦でのラウンドなら、スコア80台にも期待が膨らむというものだ。そして、カレドニアン・ゴルフクラブの攻略に向けて最適のプロを迎えるのだった。

N村の最後のパートナーは大本研太郎プロ。1974年1月18日生まれ。パッティングの指導には定評があり、関連書籍も多数上梓

最後の指南役は、大本研太郎プロ。株式会社スポーツラボ代表。2012年4月にパターレッスン専用スタジオ「パットラボ」、2013年5月には「GPC恵比寿」を開設。スコアメイクに重要なショートゲーム改善の研究を進め、アプローチとパッティングの実戦的な力を養成する「Yose-1」の指導者として、カレドニアン・ゴルフクラブ富里ゴルフ倶楽部でラウンドレッスンを開催している。

コースのことを隅々まで知り尽くしているうえに、バンカーショットや高速グリーン対策に関する指導歴が豊富。さっそく、N村のスコアを見てもらうと……、やはりパット数に注目する。

「パット数が39ですか。スコア80台で回るには、36パットを下回りたいですね。3パットも多いということは、グリーンを狙うショットにも問題があるのではないでしょうか。そのあたりを注意しながらコースマネジメントするといいと思いますよ」

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