アプローチでもオーバースイングですが…… 美浦ゴルフ倶楽部(前編)
2016/02/12
グリーン回りでは、低い弾道でピンへ寄せる
十分過ぎるほどの課題を手にしたN村は、美浦ゴルフ倶楽部の充実した練習場を堪能。300ヤード以上のドライビングレンジは開放感があり、打っていて爽快。さらに練習グリーンへ足を運び、準備に余念がない。その様子を見守る癸生川プロが、次のようなプランを明かした。
「まずは、最初の4ホールを注意しましょう。パーオンが難しい1番と4番はアプローチで勝負。だから、僕はグリーン回りを中心にアドバイスします。N村さん、ドライバーは好調のようなので、グリーン近くまではお任せします」
美浦ゴルフ倶楽部の1番ホールは、GDOスコア管理アプリで抽出したホール・バイ・ホールの難易度ランキング(※)で3番目にランクされる。これまでのデータを見ると、最初のホールが難易度上位に入ることは珍しく、アマチュアだけでなく癸生川プロでさえも「何度回っても嫌なホール」だという。
(※)GDOスコア管理アプリは、累計60万人以上のゴルファーに愛用され、プレー中でも片手で簡単にスコア登録が操作できる。その膨大なデータの中から、2014年9月1日~2015年8月31日の1年間で、美浦ゴルフ倶楽部を回った平均スコア89以下の登録者のスコアをもとに集計
打ち上げの左ドッグレッグとなる1番ホール。ティグラウンドに立つと、左コーナーにある3つのバンカーが目に飛び込んでくる。一番手前のバンカーまで235ヤード。ドライバーの平均飛距離が220ヤードのN村には関係ないはずだが、先ほど260ヤードを飛ばした感触が忘れられないようで……。
「球がつかまったら、入っちゃうかも。ちょっと、フェースを開いて、距離を落とそうかな」
要らぬ心配とは、まさにこのこと。ティショットは大スライスとなり、2打目もラフからフェアウェイに出すのが精一杯。3打目をグリーン手前30ヤードの花道まで運んだところで癸生川プロの指示を仰ぐことに。
「まず素振りをしてみてください」と癸生川プロに言われ、N村はキャリーとランをイメージしてテークバック。それを見た癸生川プロは……。
(癸生川プロ)まさか、アプローチまでオーバースイングとは(笑)。いったい、何ヤードを打つのかと思いましたよ。どうやって、距離を調節しているんですか?
(N村)それは、企業秘密です。
(癸生川プロ)どうせ、インパクトで緩めているのではないですか。
(N村)ぎくっ! バレましたか。実は、この距離でミスが多いんです。トップしたり、必要以上に球が上がり過ぎたり。先ほどのラウンドでは、トップしてグリーン奥のOBに打ち込みましたからね。
(癸生川プロ)グリーン回りでは基本的に、低い弾道で寄せることをおすすめします。具体的に言うと、グリーンのカラーから奥5メートル以内の幅にキャリーさせて、ピンまで転がすイメージ。ピンポジは奥ですし、この距離(30ヤード)なら9番アイアンでランも使いましょう。
(N村)転がり過ぎて、また奥にこぼしそうで怖いなあ……。
(癸生川プロ)では、9番よりロフトのあるPWならどうですか。打ち出し角を高くしてグリーン面に対する落下角度を大きくすれば、ランさせる距離を短く調整できます。僕は打ち方を変えずにSW、AW、PW、9番アイアンの中から、ピンポジションによって使い分けるようにしています。
(N村)では、PWで挑戦してみますね。カラーから奥5メートルの幅を狙って……あっ、強く入った! でも、ピンそば1.5メートルのところで止まってくれました。グリーンの傾斜が思ったよりきつくて助かりました。ふぅ~。
(癸生川プロ)N村さんは、右足体重ですくい打ちになりがち。左足上がりのライなら、その傾向はなおさらです。低い弾道を打つためには、ボールを右足寄りにセットして、左足体重でロフトを立てるように打ってください。
(N村)けっこう、逆目がきついですね。
(癸生川プロ)ザックリしないためにも、振り幅が小さくなる転がし、とくにランの出る長い番手を使うほうがベターです。ピンがよほど手前に切られていない限り、有効なショットですよ。ラフでも応用できるので、このあとも多用しましょう! アプローチとはいえ、いろんな打ち方を覚える必要はありません。1つのスイングを基準に、クラブを変えるだけで十分対応できるんです。
気持ちよい振り幅でストロークを作る
N村はこのパットを慎重に沈めて、最初の難関ホールをボギーで切り抜けた。だが、2番、3番ホールで連続ダブルボギー。ドライバーが曲がり始め、リカバリーのショットもうまくいかない。にもかかわらず、癸生川プロが気にしているのはパターのほうだった。
(癸生川プロ)ストロークが安定しませんね。先ほど42パットしたのも、分かる気がします。
(N村)えっ! 1パット、2パット、2パットと来ているのに。これでも随分と安定してきたんですよ。
(癸生川プロ)ホールごとにストロークのリズム、タイミングが違うんです。おそらく、自分の中に基準がないんでしょうね。
(N村)もう少し具体的に……。
(癸生川プロ)僕は心地よい振り幅とその転がる距離を基準に、距離を打ち分けています。それより長ければ振り幅を大きく、短ければ振り幅を小さくして、距離感を作ります。でも、リズムとタイミングはいつも同じですよ。たとえば、この日のように8.5フィートのグリーンなら、通常なら平坦なライを約10メートル転がります。でも湿気があり表面が濡れているので約9メートル、そこに傾斜や芝目などを考慮して、ストロークの大きさをアジャストさせます。
(N村)つまり、僕のパットは狂い出す予兆があったわけですね。
(癸生川プロ)N村さんも、練習グリーンでは無意識だと思いますが、同じような振り幅で同じくらいの距離を転がしていましたよ。その振り幅を基準にストロークを組み立てていくことをおすすめします。
癸生川プロからショートゲームの極意を徹底的に叩き込まれるN村。そして、4番ホールでも難解なグリーンが待ち受けるのだった。
(取材協力/美浦ゴルフ倶楽部/PGM)
※後編は2月26日(金)公開を予定。ショートゲームのコツをつかんだN村は、この難コースで覚醒となるか。
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