GCでもCCでもない「リゾート」だから開けた新境地 ~太平洋クラブ軽井沢リゾート
国内有数の避暑地・軽井沢――。真夏でも平均気温が30℃に届かない過ごしやすさから、国内ツアーの開催コースや知る人ぞ知る名門コースまで、多くの良質ゴルフ場が隣接する。そこに今年4月リニューアルオープンしたのが、1975年開場の太平洋クラブ軽井沢リゾート(群馬)だ。太平洋クラブ御殿場コース(静岡)の2018年全面改修にも携わったリース・ジョーンズ氏を迎え、一年がかりの大規模コース改修を敢行。3つのホテルダイニングも増設し、世界レベルのリゾートコースへと変貌を遂げた。
3本の指に入る名ホール プロに厳しくアマにはやさしく
「御殿場コース同様、リゾートライクから本格派トーナメントコースに変える目的で改修しました」。前田智明(まえだ・ともあき)支配人は、昨年行った浅間コース18ホールの大規模工事について教えてくれた。
「以前はメンバーのお客さまから、ベストスコアが出やすいと親しまれてきた浅間コースを、バンカーの数を64個から74個に増設し、プロのティショットでは届いてしまう距離のIP(2打目地点)とグリーン周りに配置しました」。
「プロに厳しく、アマチュアにはやさしく。本格派コースに仕上げることを前提に置きながら、“リゾート”という部分は残したいというジョーンズ氏の意向を反映しています」。幅広い層のゴルファーに楽しんでもらえるコースを目指し、メンバーシップを強調したコースづくりに尽力した。
特に力を入れたのは18番(パー4)。グリーンのアンジュレーションを効かせ、2打目地点とグリーン奥にバンカーを増やした。ティイングエリアからの景観を重視し、クラブハウスを含めた雄大な眺めを演出。カート道も含めた大規模工事で誰もが圧倒されるビューを目標に掲げた。国内外を問わず数多くのゴルフ場を手がけたジョーンズ氏も、「(自分が携わったホールの中で)3本の指に入る」と自賛。その出来栄えに前田支配人も感銘を受けたという。
ゴルフ漬けな夜をワインとともに 併設ホテルから始まった大幅リニューアル
リニューアルはコースだけではない。発端は10年前に遡(さかのぼ)る。同社がコンセプトとしているのは「コアコンピタンス(他社には真似できない強み)」。オーナーからは多くのゴルファーに24時間ゴルフに接することができる空間で、ワインを提供したいという意向が伝えられた。
“第一リニューアル”と名付けたプロジェクトは、クラブハウス横に併設された宿泊ホテル「Villa The Club(ヴィラ・ザ・クラブ)軽井沢」のラウンジ造りから始まった。ゴルフ写真家・宮本卓氏の写真が展示され、ゴルフの歴史が記された書籍を棚に並べた。部屋もリニューアルされ、自慢のスイートルームは2000万円の改築費をかけた2部屋を用意。床にはいつでもパット練習ができるカップが設置された。
“第二リニューアル”として、昨年にアゼリアと呼ばれる別棟に、焼き肉とカラオケを楽しめ、マリガンルームと呼ぶワインセラーを置いた部屋をリニューアル。レストラン「セレナーデ」、日本料理「辛夷(Kobushi)」、焼肉&ワインの「六里ヶ原(ろくりがはら)」の3つのダイニングから選べ、ゴルフだけでは飽き足らない宿泊者の食欲を満たす環境が整った。
「宿泊のお客様には全てコース料理を提供しています。単品メニューも置いていますが、焼肉も全てセットで提供し、コースとして確立したメニューとなっています。洋食もシンプルなフレンチではなく、従業員の中では“イタリアンフレンチ”と呼んでいる洗練させた独自メニューを提供しています」。軽井沢の高原野菜や群馬県産のブランド肉、赤城山麓牛、榛名豚のほか、魚は三河湾に浮かぶ日間賀島(ひまかじま)からその日に獲れたものを直送。夏の暑い時季には旬の平貝(たいらがい)が好評だったという。
利用者の女性比率はなんと3割 ラグジュアリーな空間づくり
リニューアルしたホテルも別棟も、真新しい外装というよりは趣のある建物はそのままに、内装のみをリノベーションした構造。ただ、趣があるからといって、老舗ゴルフコース特有の重厚な雰囲気ではない。ラグジュアリーな部分は女性客を魅了する細工が施されている。「同コースの女性比率は、シーズンを通して30%を超えています。年間約5万4000名様を呼びつつの数字なので、同社グループの中でも希少な存在です」と胸を張る。
「クラブハウス内の浴室パウダールームには、“女優ミラー”と呼ばれるLEDライト照明付きの鏡台を設けています。アメニティは、国内ジュエリーブランドのミキモトさんでそろえ、昨年のホテルのリニューアルにはレディス専用ルームを2部屋新設しました。シャワーヘッドは美容ブランドのReFa(リファ)さんの機器でそろえています」。きめ細かな配慮と行き届いたサービスは、3割超えという数字も納得の設備といえる。
各業種のプロが融合 10年間で築いたイノベーション
前職はホテル支配人として勤め、10年前に大プロジェクトが発起するタイミングで、ホテル支配人として同社に入社した前田支配人。前職ではM&Aを展開するホテルグループに属し、買収するたびに新天地で売り上げを伸ばしてきた。ホテルマンのプロとして経験を積んだからこそ、ゴルフ場のプロのみだった同コースで手腕を振るった。
魚介類を直送してもらっている知多半島の仲介業者は、前田支配人の前職の縁故。メインとなるワインを売るために一流のソムリエも呼び寄せた。今では年間3500本ものボトルが開けられ、高原ワインで有名な軽井沢の中でもその売り上げ数は突出しているという。その後も仲間が仲間を呼び、各業種のプロパー同士が融合。プロフェッショナルの集団が形成された。
「私ひとりでは何も生み出せなかった。プロ意識を持った一人ひとりが集まったからこそ、イノベーションが生まれた。従業員には本当に感謝しています」。10年で築き上げた大改革。ゆったりと瀟洒(しょうしゃ)で落ち着いた雰囲気は、1~2年ではつくり得ない。プロたちが結集して改修したからこその境地。そんなリゾートコースは来年、記念すべき50周年を迎える。
レッスンカテゴリー
- 基本動作アドレス グリップ スイング ドライバー バンカー 練習ドリル
- 弾道別スライス フック トップ ダフリ 高い 低い テンプラ
- スイング改善アドレス グリップ 振り遅れ インパクト フォロー
- 状況 クラブ別ドライバー アプローチ バンカー ラフ 傾斜 アイアン
- 中上級 応用ドロー フェード 距離感 マネジメント スピンコントロール
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