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スイングは“カラダ”が資本! 市原弘大に学ぶ 40歳からの「ボディメーク術」
いつも安定した球を打つのに必要な要素は何か?再現性の高い「スイング」、それに合う「ギア」までは想像つくが、近年プロツアーで同じくらい重要視されるものがある。それが「体」だ。
いくら球を打って練習を積み重ねても、体が思うように動かなければ同じ動きはできない。特に年齢を重ねるほど、再現性の高いスイングが難しくなる。若い選手は早くからトレーナーをつけ、試合の合間にトレーニングをしている姿を見かけるが、今回インタビューしたのは、そんな若者に負けじと奮闘する41歳の市原弘大だ。長くツアーを戦いながら「体」をどう作って、どうケアしてきたのか。おじさん予備軍(失礼!)のボディメーク術を聞いてきた。
凝った箇所でその日のスイングが見えてくる
「久しぶりに健康診断に行ってきたんです。今までは必要ないかなと思っていたんですが、ことしは厄年だから一応行っておこうかなと…」。ベテランの域に差し掛かった市原はそう、うれしそうに話す。湯浅文乃(ゆあさ・あやの)トレーナーからマッサージを受け、うつぶせになりながら口を開く。「診断では悪い数値もなく、何ともなかったです。体重を見て、ちょっと体を絞ったほうがいいかなとは思いましたけど(笑)」と横腹のアタリをさすった。
市原は20代で腰椎ヘルニアを発症。その影響もあってか、体のケアには人一倍気を遣い、誰よりも早くツアーにトレーナーを帯同させていた。「シードを初めてとったころ(2009年)から湯浅さんにマッサージをしてもらっています。継続するのが大きくて、だいぶ体も柔らかくなっていると思います」。湯浅トレーナーに言わせれば、「昔よく出ていたぎっくり腰が最近は無くなった」と、長年のケアの効果を感じているという。
足回りの筋肉を見ると、ボリュームがあり、かつ弾力がある。湯浅トレーナーは「この感じになったのはここ4、5年ですよ。最初は本当に筋肉が固くて、“こわばり”がありました。最近はほぐれることを体が覚えて、試合後にマッサージをしていてもだいぶほぐれやすくなりました」と、市原の足をもみながら話を続ける。
凝り固まる箇所はスイングの動きと密接で、トレーナーの仕事をしていると、選手の凝った箇所でその日のスイングが把握できるそうだ。「市原プロは右腰、首、左の肩甲骨によく張りが出ます」と湯浅トレーナーが言うと、「確かにその変を使ってスイングしている感じはありますね」と市原はうなずく。「右腰は打つときの支点になっているだけでなく、足からのエネルギーを上半身に伝えるまさに僕の中の生命線です」。実はその右腰が湯浅さんにとっての積年の“戦い相手”なのだ。
「マッサージ中、右腰を集中的にほぐします。試合が続くと右サイドがどんどんつぶれて固くなってくる。ですから、そのつぶれた右腰を開いてあげるんです。単に右腰をほぐすだけではうまくいかないので、右の殿筋(おしりの筋肉)をほぐしたり、逆に左の緩んでいるところに刺激を与えたりして、左右のバランスを取ったりもします」(湯浅トレーナー)と、まさに手をかえ品をかえ“戦って”きたわけだ。
ちなみに市原は、ゴルファーが凝りやすい左の股関節回りの筋肉(中殿筋や腸腰筋)が、あまり張らないという。やはりそこもスイングとの因果関係があるのだろう。
具体的なケアの方法を湯浅トレーナーに聞くと、「まずはヒヤッとするようなマッサージジェルを使って、いったん冷やします」と火照った体をクールダウンさせるのが先決。試合直後は神経が高ぶっているため、アイシングは興奮を抑える効果があるという。その後は指でそのままほぐすか、時にマッサージガンをあてることも。「先に体全体をほぐしたい時は、ガンをあててバーっとほぐしていきます。そのあとしっかりやりたい箇所を指でギュッと押していく」(同トレーナー)。
ちょうどこの日使っていたマッサージガンは温冷の切り替えができるモデルで、温度変化も巧みに施術に加えている。鍼灸師の資格も持つ湯浅トレーナーは、市原の体がよほど凝っているときは針を刺すこともあるそうだ。
朝の風呂場はさながら“戦場”
トレーナーの仕事は朝も忙しい。
「練習に行く前の30分ぐらいですかね。眠った体を起こす意味もあって、ある程度体に刺激を入れます。練習場に行ってすぐにでも球を打てるような状態にし、試合モードの体を作るためです」(同トレーナー)。朝もマッサージガンを使って体に刺激を与え、「体が振動すると代謝が上がります。 そうなると体温が上がって動きやすくなります」と、固く感じるところをより重点的にケアする。
続いて、少し“抵抗”を入れた動きのあるストレッチ。
「朝イチは選手自身に力を出させる動きは体への負担が大きいので、まずはコチラのかけた力に対して抵抗する運動をしてもらいます。加えた力に対して5秒間抵抗してもらい、最後にスーっとコチラの力を抜いてあげると、凝った箇所が徐々に開いていきます。これでほんのりと汗をかくので、そこでようやく選手自身でトレーニングしてもらうんです」(同トレーナー)。市原がこれまで大けがをしてこなかったのも、湯浅トレーナーのこうした細かい配慮の積み重ねなのだなとつくづく思う。
その後は簡単なトレーニングを行い、スクワットや片足での屈伸運動、バランスディスク上での片足の回旋運動などメニューは様々。回旋は前傾した状態で行うなど、スイングの動きを意識したメニューが中心だ。終わる頃には汗びっしょりとなり、「朝のお風呂場(クラブハウス内に設けられたウォーミングアップ、クールダウンエリア)は選手の熱気で、あちこちで湯気があがっていますよ」とさながら戦場の様相を呈しているという。
忙しい朝のスタート前だが、「必ずやる」(市原)というメニューがもうひとつある。それは体の左右差のバランスチェックだ。右腰をつぶして打つクセのある市原にとって、体の左右差をチェックするのは「とっても大事」と二人は口をそろえて言う。
「毎日自分でも左右のバランスが違うのは感じますが、そこに気づけない時もある。特に連戦していると、そんなにズレてないと思っていても意外とズレているケースが多いんですよね。左右がズレた状態でプレーしていると、調子もやっぱり変わってきます」と市原。湯浅トレーナーによれば、ゴルファーは右サイドが下がる選手が多く、気づけばみんな右肩が下がってくるというのだ(唯一の例外が手嶋多一らしい!)。
具体的にどのようにチェックしているのか?市原が実演してくれた。
「椅子に座ったまま足を開き、 手はクロスするように胸に当てます。体の軸を真っすぐ感じて、軸を基準に右に回旋。その後左サイドにも回旋して、それで左右差をチェックします」(市原)
体のバランスが偏っていると、どちらかに体が過剰に傾いたり、足を使って調整したりしてしまうという。その後、立った状態でも同じように左右に回旋して、足からの影響がない場合(座った状態)と、足からの影響が入った場合(立った状態)の差も確認するというのだ。一連を踏まえ、「左右のバランスが悪ければ、悪い箇所に刺激を与えて、左右差を均していきます」(同トレーナー)と、試合前に体を“ととのえる”のだ。
今回の取材中、約1時間ほどのマッサージを受けていたが(途中寝ていました!)、施術後は心身ともにリラックスした表情に。練習日は自分でケアすることもあるが、試合の日は必ず湯浅トレーナーのケアを受け、翌日に備えるのがルーティンだ。
最後に市原に体のケアの重要性を聞いてみると、「(体をケアしていると)やっぱり試合中に自分が思ったように体を動かせるので、結果的に言えば飛距離や正確性、全てにおいて良くなることしかないですよね。『ちょっと可動域が狭いな』、『なんか痛みがあるな』と思ってプレーしても、いいことは何一つない。自分の感覚と体がズレた状態で試合をやって、ちょっと球が曲がったりしてスイングをいじり始めたら…、それはもう迷宮入りですよ。スイングが悪いのか体が悪いのか分からなくなってしまいますから」と市原。
デビューから約20年近く、試合で結果を残してきた男が言うからこそ、話には重みがある。(取材・構成/服部謙二郎)
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