Turf Life Balance

感性を磨いて“健康スキル”を高める

2021/10/21 13:00
感性を磨くことでヘルスリテラシーが高まる可能性も(Getty Images)

健康経営を仕事にする私はこれまで多くの働く人のパフォーマンスを向上させるために、健康面のサポートをしてきました。主な領域は運動、食事、睡眠、メンタル。これらは異なる領域であるものの、関係性は強いように思います。

メンタル面にダメージを受けると睡眠に支障をきたす。食生活が乱れ、体を動かす活力を失う。ライフスタイルのひとつの不具合が、体重増加や健康状態悪化といった負の連鎖を起こすことになりかねません。

悪循環を防ぐにはヘルスリテラシーを高める必要があると思います。ゴルフの上達のために雑誌や動画でスイング技術を学ぶことと同じです。ライフスタイルにもスキル(技術)があり、スキルを敏感に取り入れるにはヘルスリテラシーが必要です。

2000人以上のビジネスマンと健康をテーマに対話するなかで、ひとつの傾向がわかってきました。それは感性を豊かにしようと努めている人は、健康度が高いということ。ファッション、芸術、音楽に関心がある。またはキャンプなど自然に身を置く習慣がある人は、ヘルスリテラシーが高い傾向にあります。

茶道や華道などに触れる人は健康的な人が多い傾向(Getty Images)

例えば過去に私が茶道や華道の家元、能楽者、その関係者とやり取りしたなかで、ビジネスパーソンよりも見た目や内面が健康的だと感じる人が多かったです。感性を日々磨いている彼らは「感度」が高い。突き詰めて考えていくと、ヘルスリテラシーは感度と関係するのではないかと思いました。

感度が高い人とは、五感を大事にしている人、と言えばわかりやすいでしょう。例えば舌の感度が高い人は、甘すぎるものや塩味の強いものを控える傾向にあります。目の感度が鋭い人はスマホやPCを見続けることに抵抗がある。聴覚が鋭い人は大声を出すことが少なく、メンタルが乱れにくくなる。感度の高さが、より健康的なライフスタイルに直結している可能性があるわけです。

なにかしらの趣味をきっかけに感性を豊かにし、感度を高める。それによりヘルスリテラシーが高まり、健康的な好循環を生み出すことができるかもしれません。(平井孝幸・健康経営アドバイザー)

■ 平井孝幸(ひらい・たかゆき) プロフィール

株式会社イブキ代表。東京大学医学部附属病院22世紀医療センター 研究員。15歳でゴルフを始め、3カ月で「75」で回る。慶應義塾大学卒業後、ゴルフ事業で起業。2011年にIT企業に入社。15年から働く人の健康×パフォーマンスアップサポートを開始。2021年、増田哲仁プロとウェルビーイングゴルフプログラム『TenSwing』を開始。近著に「仕事で成果を出し続ける人が最高のコンディションを毎日維持するためにしていること」