サイエンスフィット レッスン

アラ不思議!「左わき腹始動」でシャフトクロスも左手首の背屈も一挙解消

2023/10/14 11:00
1年以上もシャフトクロスとスライスに悩み続ける受講者のスイングを解析

テークバックで腕や手首のカタチを改善したいという方も多いと思いますが、そこだけにフォーカスすると、実はまったく直らないケースが多いものです。今回は、トップでシャフトがクロスして慢性的なスライスに悩んでいる方が登場。その根本的な原因を直接改善することで、間接的にテークバックが整いました。

今回の受講者は…

「一時期はフックばかりの時もありましたが、このところスライスにずっと悩んでいます。テークバックでシャフトクロスしながら上げてフェースが開くことは分かっているのですが、左手首が甲側に折れないように意識して改善しようといろいろ試しても、ここ1年半くらい解決の糸口がまったくつかめません…」(宮下さん ゴルフ歴20年、平均スコア92)

モーションキャプチャーで体の動きを分析すると…

左手首が甲側に折れてしまうのは“悪いシャフトクロス”

トップでのシャフトクロスにも、良いシャフトクロスと悪いシャフトクロスがあります。良いものはフェースの過剰な開きがなく、その人の体の柔軟性によってクロスしてしまうもので、たとえクロスしても安定してフェース面が戻り、インパクトできるものです。一方、悪いクロスは左手首がトップで甲側に折れてフェースが大きく開き、インパクトでフェースを戻せずスライスしたり、小手先でボールをつかまえようとしてフックしたりと、不安定なショットがずっと続きます。

宮下さん(黒線)は左手首のヒンジ(手首の甲側、手のひら側への動き)がトップで大きく甲側へ折れる。赤線はプロのデータ

インパクトの瞬間のヘッド軌道は、ストレート軌道で2度アッパーのフェード系ですが、軌道に対して、フェースが約5度も開いて当たっています。モーションキャプチャーで、左手首の動きを追ってみると、異常な動きをしていることがわかります。ハーフバックまでは、フェースを開かせない意識から手のひら側に折れていきますが、そこからトップにかけて、急激に甲側に折れていくのが分かります(赤線がプロ、黒線が受講者)。

ハーフウェイバックでのグリップエンドの向きに注目(左=森田理香子プロ、右=受講者)

プロとの比較をしてみましょう。ハーフウェイバックでプロのグリップエンドがお腹を指しているのに対して、宮下さんのグリップエンドは、お腹を外れて飛球線方向に向いていますね。これは、体の回転が浅く、腕だけでクラブを上げているからです。腕だけで上げると、テークバックで左腕が大きく外旋しやすくなり、左手首を甲側に折らないように意識していても、トップに至るまでにクラブの勢いによって左手首が甲側に折れてしまいます。ここでいったん、今までの腕や手首の意識をすべて忘れましょう。真っ先に、取り組むべきは、スイング始動時の体の意識です。

左わき腹からの始動でシャフトクロスを即解消≫
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