コースを攻略してスコアアップ Vol.02 鶴舞カントリークラブ
鶴舞カントリークラブ ホールから読み取る井上誠一設計の攻略法 EAST / 4H・160Y・Par3・OLD
4番ホールは美しさと戦略性を兼ね備えたショートホールです。青い空と水、そして芝の緑とバンカーの白の3色が美しいホールです。グリーンは小さく、左手前から右奥に細く伸びた形状になっています。この形状のグリーンは最も捕えることが難しいものです。また、ピンの位置によって危険エリアが大きく変わってきます。左手前にピンがあれば、左手前のバンカーが気になります。また右サイドに切られれば右手前のバンカーに入る確率が高くなります。グリーンの奥にピンが切られれば、グリーンオーバーの危険性が高まります。このグリーンは砲台型ですから、グリーンを外すと次は高く上がって止まる難易度の高いショットが必要となるのです。つまり、このホールの素晴らしさは、ただ単純に難しいだけではなく、プレーヤーに色々なショットを想像させることにあると思います。上級者になれば、頭の中で色々なショットをシミュレーションすることがゴルフの楽しさの一つとなります。ミスショットの怖さと最高のショットの喜びを想像して、最善のショットを選択します。自分のイメージ通りに上手くショットができた時は喜びの深さも最大になり、ゴルフの楽しさをより味わうことができるものです。
鶴舞カントリークラブ ホールから読み取る井上誠一設計の攻略法 EAST / 17H・535Y・Par5・OLD
17番は元々の地形を上手く利用したロングホールです。ティショットでは、小さな丘を越えて行きます。ティーグラウンドからはボールの落下地点は見えません。ここにはリンクスランドのコースの様に、見えないエリアを想像しながら打つ楽しさがあります。
ティショットで十分な飛距離を出すことができれば2打でグリーンを狙うことができます。しかし、セカンドショット地点からグリーンまでは、S字にうねったダウンヒルのフェアウェイが続き、フェアウェイ右サイドの林が大きくせり出して空中のハザードがツーオンを防いでいます。もし、上手くスライスボールで林を避けたとしても、グリーン手前には大きなバンカーが待ち受けているため、簡単にグリーンを捕えることはできません。ツーオンするためには、高くて止まるコントロールされたスライス弾道が必要なのです。
ライと求められる弾道を考えれば、レイアップを選択したくなる状況ですが、ホールの全長を短めに設定することで、プレーヤーの欲と迷いを湧き起こさせる工夫がなされています。ここでもプレーヤーに色々なショットを想像させることを井上デザインは求めて来ます。
鶴舞カントリークラブ ホールから読み取る井上誠一設計の攻略法 EAST / 18H・420Y・Par4・OLD
18番ホールはフェアウェイに大きな木が3本立ち、グリーンへの視界を遮っています。ティショットでしっかりと距離を出すことができれば、ミドルアイアンで木越えのセカンドショットを打つことができます。しかし、ティショットをミスしてしまうと、ロングアイアンからフェアウェイウッドの距離が残ってしまいます。こうなるとフェアウェイの木を避けてグリーンを狙うことが厳しくなります。攻めと守りの選択をはっきりと求められるホールなのです。
良いショットを打ってもセカンドショットではブラインドショットとなります。グリーンがはっきりと見えないことはアンフェアだと感じる方もいることでしょう。しかし、ここでも井上氏はプレーヤーの想像力を試しているのだと思います。はっきりと見えないグリーンを捕える為には、打ち出しのラインと高さをイメージすることが求められるのです。
グリーンを上手く捕えることができたとしても簡単にパーは取らせてもらえません。グリーンは奥からの傾斜が非常に強く、井上氏のデザインの特徴でもあるグリーン周りからのマウンドがうねりを作り、視覚的な錯覚を生み出します。井上氏の造ったグリーンはほとんど平らな面が無い為、直線的なラインがありません。ロングパットになるとスネークラインと呼ばれる2方向へ曲がることが多くなります。このグリーンを読み切るためには平衡感覚が要求されます。水平面をイメージし、そこから傾斜度合を判断すれば良いのです。ここでも想像力を求められ、そしてグリーンの曲線美を感じることができます。
コース解説/堀尾研仁
取材協力/鶴舞カントリークラブ