プロゴルファーを断念した過去とこれから<秋山真凜の半生>
「ただ貪欲に」矢野東 プロ22年目の飽くなき挑戦
矢野東 元祖イケメンプロも44歳 4季ぶりのシード復帰も気負いなく走り続けるイクメンパパ
元祖イケメンプロとして人気と実力を兼ね備え、長くツアーの中核を担った矢野東(44)。度重なるケガと不調に苦しみ、結果を残せない時期が続いたが、2020年に行われた特別ファイナルQTでトップ通過を果たすと、4季ぶりにシード選手に返り咲いた。すでにベテランの域に達しながら、スイングに対する探求心は若手以上。その半生をたどりながら、ゴルフに対する飽くなき熱意とモチベーションに迫る。
ゴルフ場にパターだけ持たされて8時間放置!?
―ゴルフを始めたきっかけは?
「父親がゴルフ練習場を経営していたことがきっかけです。父、母、兄、祖父母ともどもゴルフをやっていて、気づいたら自分も始めていました。そんなゴルフ一家だったので、いつも週末はテレビ中継を観て過ごしました。当時、全盛期だったジャンボ(尾崎将司)さんの活躍を、かじりついて観ていたのを覚えています」
―小学生時代にユニークな練習法があったと聞きましたが?
「学校が休みの日、父親がメンバーだったゴルフ場に、朝からパターだけを持って連れていかれ、夕方に迎えにくるという修行のような練習をしていました。約8時間もパッティンググリーンでポツンと残され、すごく嫌でした。ただ、周りの目もあるので、仕方なく『これを入れれば優勝…』とつぶやきながら、試合を想定して練習を続けました。そのおかげで、プロ生活ではパッティングがストロングポイントとなりました」
―当時ゴルフは好きではなかった?
「小学校ではサッカー部、中学では野球部と、ゴルフ以外のスポーツに熱中していたので、正直それほど好きではなかったです。特に練習は、同学年の友だちとではなく、練習場のお客さんと行っていましたし、内容も単調で嫌いでした。いま振り返れば、大学で初めてゴルフ部に入り、真剣に向き合うようになってから、熱意が生まれた気がします」
「ゴルフはうまくなかった」冷静に分析していた新人時代
―2000年にプロ転向後、すぐに結果も出て順調に見えましたが?
「そうですね。翌年にチャレンジ(現ABEMA)ツアーで活躍し、その翌年にシード権獲得。05年には初優勝と、とんとん拍子だった気がします。ただ、自分の気持ちでは、そこまでゴルフがうまくない自分が活躍できるわけがないと、常に冷静に分析していました。だから、予選落ちもあれば、大たたきもする。たまに良い成績が出るのは、運が良かっただけといまでも思っています」
―海外挑戦で気づいたことは?
「米国ツアーには参戦したい思いがありました。08年に国内の賞金王が狙える位置にあったので、一時は国内ツアーに専念しましたが、翌年には米ツアーのQTに挑戦しましたし、メジャーにも出場しました。そこで感じたのは、海外選手との実力の差。こんなショットをなぜ毎回打てるの?と驚き、それを真に受けて徐々にスイングにも悩み出していきました」
―その後、ケガや手術を経験して影響したことは?
「13年に椎間板ヘルニアを発症させ、17年に右ひじを手術しました。一定の期間はクラブを握れないことがあり、いろいろ考えることはありましたが、特にスイングが変わったとか、プレーに大きく影響したことはありません」
スイングは終わりなきピース探し “アレコレ”が“コレ”に
―理想のスイングを追い求める理由は?
「スイングは常に変わり続けていくもので、そこに理由などありません。そもそもこれでいいという終わりがなく、合致するピースを探し続けるのみです。特に僕は、その日のグリップを思いつきで変えてしまうほど、"日替わり定食"すぎるプレーヤー。ケガや手術で変わるというよりも、常に変わっているので、特に気にした覚えがないというのが正解です」
―なぜそこまで柔軟に対応できる?
「柔軟というよりも、貪欲なだけだと思います。若い年齢の選手が増えましたが、試合で意識することもありません。体のやわらかさや飛距離をうらやましいと思うことはありますが、基本的に戦っているのは自分自身。自分の中で、ここまでできるという域に達していれば、自然と戦えるもの。そこにたどり着けるかどうか。それに向かって、貪欲に挑み続けているだけです」
―今シーズンの意気込みを?
「開幕に向けて、いまの状態は順調です。以前はスイングに“アレコレ”と悩んでいたものが、課題を絞ることができ、“コレ”だけになりました。目標は、もちろん優勝。あとは、久しぶりに日本シリーズに出場したいし、海外メジャーにも出場したいです。この3つのうち、どれか1つでも達成できれば、2022年シーズンは大満足かなという気がします」
現在はひと回り年下のコーチに教えを請い、基礎ともとれるスイング作りにイチから取り組む矢野。長きにわたり第一線で戦ってきた矜持にとらわれることなく、目標に達する手段であれば躊躇(ちゅうちょ)なく取り入れる。「プライドが高くないので」――さらりと言いのける横顔が、いつにも増してカッコ良かった。(編集部・内田佳)
取材協力/東京クラシッククラブ(千葉県)
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