PGAツアー1年生・久常涼がアメリカで感じた「1打の重み」/単独インタビュー前編
俳優・窪塚洋介がゴルフにハマる理由 「止まっているボールを打つのがこんなに難しいとは」/マーク金井対談 #1
プレースタイル追求型トーク対談番組がスタート!
【窪塚洋介vol.1/ゴルファーズインタビュー】マーク金井が切り込むプレースタイル追求型トーク番組がスタート!
プレースタイルは人を映す鏡――。ゲストが過ごす18ホールを追うことで、深く真摯に人間性や魅力に迫っていくトーク対談企画「ゴルファーズ・スタジオ・インタビュー」。1回目のゲストは、約3年前からゴルフを始め、自らアパレルブランドをプロデュースするほど熱中する窪塚洋介氏を迎える。聞き手は、クラブアナリストのマーク金井が担当(1回目/全3回)。
■実は初対面ではない!?
【マ】はじめまして。対面でお会いするのはこれが初めてなのですが、実は僕は3回窪塚さんにお会いしているんです。
【窪】えっ、本当ですか?
【マ】以前観劇にハマっていたことがあり、窪塚さんの舞台のデビュー作と2作目を偶然に観劇しました。2作目となる2011年上演『血の婚礼(こんれい)』は2回見に行き、前のほうの席で合羽(かっぱ)を着て見ていました(笑)。
※『血の婚礼』(2011年):
蜷川幸雄演出 大規模修繕劇団の旗揚げ公演。雨の中での愛憎劇として作中は常に天井から水が降り続く演出を施した
【窪】そこまで芝居がお好きなんですね。
【マ】はい。この企画では、いろいろな方にゲストに来ていただきたいと思っているのですが、まさか1回目の出演者が窪塚さんということで、何か運命的なものを勝手に感じておりました。舞台のパンフレットなんて捨ててしまうことが多いのに、なぜか窪塚さん出演の2作品とも所有していて、何かご縁があるのではないかと驚いています。
【窪】う、うれしいです…。
【マ】『血は立ったまま眠っている』が初舞台?
※『血は立ったまま眠っている』(2010年):
寺山修司の処女戯曲を蜷川幸雄演出で上演。森田剛と窪塚洋介のテロリストが潜む倉庫と、町の人々が集う床屋とが交錯しながら進んでいくストーリー
【窪】はい。俳優としてドラマや映画の経験はあったのですが、舞台はそのときが初めてで本当にどうしていいか分からず、戸惑いながらも常に勉強する日々を送りました。具体的に言えば、「手はどこまで上げていい?」とか、本当に初歩的な悩みを抱いていましたから。
【マ】ハハ、なんだかゴルフみたいですね!?
【窪】確かに。どういう心持ちでやるべきか? 演出の蜷川幸雄さんにおうかがいしながら、手取り足取り教えていただきました。
【マ】蜷川さんの演出で記憶に残っていることは?
【窪】舞台上でもカメラを意識して演じるということでしょうか。演者が寄りの芝居と思って演じれば、観客も寄りのアングルとして見る。引きの芝居と思って演じれば、引きの絵で見る。実際は存在しないカメラのポジショニングを頭の中で想定し、架空の対象である視点をイメージしながら演じることを蜷川さんに教えていただきました。それまで考えたことがなかった内容だったので面白く感じつつ、無駄に難しく考えすぎていたことが解決し、楽になったことを覚えています。
【マ】僕らもゴルフをする際は、頭の中で勝手にイメージを作りますよね?
【窪】そうですね。芝居とゴルフの共通点はあるのかもしれませんね。
■芝と同調する!?
【マ】GDOから今回のオファーが来たのには驚きませんでした?
【窪】いやぁー、びっくりしました。実際にGDOでコース予約を取っていましたし、専用アプリでスコアも付けていたので(笑)。
【マ】相当ハマっていますね(笑)。今回の対談で僕がやりたいことは、ゴルフをしていない人が窪塚さんを通してゴルフというものを知ってもらい、また逆にゴルフをやる人には、僕が窪塚さんの魅力を伝えていく。ゴルフ×〇〇といったコラボレーション。共通点を探りながら、ゲストのゴルフ観を聞き出したいです。
【窪】ありがたいです。
【マ】普段のラウンドでルーティンはあるのですか?
【窪】特にこれといったものはありません。ルーティンを決めるとそれに縛られて苦しくなるので、あえて何も決めずにスタート前の準備を行っています。朝はスタート時刻の40~50分前にクラブハウスに到着して、レンジで1籠(かご)分を打ち、パッティンググリーンで15分ほど練習しています。
【マ】練習で心がけていることは?
【窪】パッティンググリーンで20~30mほどのロングパットから始め、次に10~15m、それが終わったら7~8m、4~5mと徐々に距離を縮めていきます。そうやっていくうちに次第に距離感が作れればといった手法です。教えてもらっているコーチには“芝と同調する”ためと教わりました。
【マ】芝と同調?
【窪】その日によって芝も長さや状態が違い、同調するように合わせていく作業が必要であること。できるだけその日の自分の調子と適合させていく作業が必要と学びました。
■エンジョイゴルフの原点は「悔し楽しさ」!?
【マ】プレー中、自分をどう俯瞰して見ていますか?
【窪】自分で思っているスイングが実際にはできていない、結果はもちろん理想のスコアに届かない。現実はそのようなことばかりですが、自分としては悔しさと楽しさが常に混合していて、ゴルフ場から帰る車中では悶々と過ごすことが多いです。その“悔し楽しい”感覚が、次のラウンドへの原動力になっています。
【マ】悔し楽しい感覚?
【窪】私が下手だからというわけではなく、きっと上級者も一緒でプレーヤーのレベルに応じて、その日に起きたミスを悔しみ、その日のナイスショットを振り返って楽しむ。多かれ少なかれ、ゴルファーはそういう気持ちで帰路についているのだと思うのです。
【マ】なるほど。
【窪】なんだかそこがエンジョイゴルフの原点のような気がしています。
【マ】そもそもゴルフはハードルが高くなかったですか?
【窪】そうですね。42歳のときに始めたのですが、少なくとも10年前に演劇を始めた頃はゴルフのゴの字も頭に浮かんだことはありませんでした。全く興味を持っていなかったのです。
【マ】きっかけは何ですか?
【窪】たまたま友人に打ちっぱなし練習場に誘われたことがきっかけです。面倒だなと思って仕方なく付いていった先で、試しにボールを打つことになり、その球が偶然にも真っすぐ良い結果になって。
【マ】奇跡の一発が出たわけですね?
【窪】そうです。友人には「もう一発打ってみろよ」と言われ、半信半疑でスイングしてみたら、またナイスショットが出ました。パーン! と気持ちいい感触を味わいながら、飛んでいく球を見送っていると、友人に「天才かもしれない。絶対始めるべき」と誘われて…。うまい具合に乗せられて今に至ります。
【マ】そうなんですね(笑)。では自ら思い立って始めたわけではなく、偶然の産物的な。オーディション行ったら友だちが合格しちゃったパターンで。
【窪】そういうパターンです。確かにそこから長くて険しい道のりが始まるとは思わず、気軽にゴルフライフをスタートさせたのですが、今だから思うのは、本当にハードルは高いは高いということです。
■“内観”で芸能人がゴルフにハマる!?
【マ】うまくいかずに嫌になったことは?
【窪】今でもそうですけど、止まっているボールを打つだけなのに、これほど難しいのかと常に苦闘しています。最初の頃はお酒を飲みながらラウンドしていたのですが、最近はエンジョイ気分はそっちのけで、シラフ状態でゴルフと真っ向から対峙しています。今はそのほうがしっくりくるというか、それが心地よく楽しい。ちょっとした状況の変化や心境でプレーに大きく影響するスポーツなだけに、そこが楽しい。たぶん芸能人がゴルフにハマる理由もそんな心理的な攻防を楽しめるからだと、勝手に思っています。
【マ】ゴルフ好きな人、多いですよね?
【窪】はい。たぶんどこかで自分を“内観”しているのだと思います。スイング中に自分の体が今どうなっているのか、コースを回っている自分の精神状態がどうなのか。動的な瞑想(メディテーション)が楽しい。芸能関係の仕事をしている人は、そこをユニークに感じる人が多いので、たぶんハマってしまうのかなと思います。
【マ】僕もね、実はあまりに芝居を見すぎて、役者のトレーニングを受けたことがあるんですよ。トレーニングを受けてからは、どんなに下手な芝居を見ても、自分よりうまいわと思っています。演劇もゴルフも動的な瞑想の繰り返しなのかもしれませんね。
【窪】私の場合は“内観”はしているけれど、そこが体と全くリンクしない。例えば「体を捻(ひね)れ」と言われても、その捻り方は百人百様で、左足が腰と一緒に付いてきたら捻り具合は浅くなり、下半身が固定して捻ると言われない限りナイススイングにはつながらない。そういう分からなかったことが、ちょっとずつ分かってくる喜びを感じています。
【マ】ちょっとずつ分かってきました?
【窪】はい。徐々に分かってきた気がします。特に「相反する力をコントロールする」ということ。上、下、左、右に力を持っていく正しい方向が、少しだけ自分の中で気付きに変わる瞬間があるのです。相反する力を感じられる瞬間です。
【マ】相反する力を感じられる…?
【窪】(ゴルフを)始めたばかりの頃は、教えられた言葉が頭を素通りして全く実にならなかったのですが、実際に自分が動いて、レッスンを繰り返していくと、やっとこんな感じで体が動いてくれると気付いた感覚が、徐々に身に付き出す。そこが面白く感じられ、少しずつ前よりまともなスイングになっていく過程が、喜びでしかなくなってくる。今は本当に日々、楽しいゴルフライフを送っています。
(第2回「窪塚洋介がゴルフを始めて変わったこと」につづく)
取材協力/カレドニアン・ゴルフクラブ(千葉県)
窪塚洋介(くぼづか・ようすけ) プロフィール
1979年5月7日生まれ、神奈川県横須賀市出身。1995年俳優デビュー。映画を中心に国内外問わず多数の話題作に出演。舞台、音楽、モデル、執筆と多彩な才能を発揮。自身のYouTube番組や日本酒「福霧」、ゴルフアパレルブランド「8G SHOOT」などプロデュースを手がけるなど、活動の幅をさらに広げている。
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