「遼さんのお父さんから基礎を」U-25世代スイングセルフ解説/鈴木晃祐
U-25世代スイングセルフ解説「半年間ずっとボールを挟んできました」清水大成
金谷拓実、中島啓太、蝉川泰果、平田憲聖…と今年の男子ツアーは毎週のように若手の誰かが入れ替わりで活躍している。お互いが刺激し合う相乗効果で、まさに“強い世代”を形成しつつあるのは間違いない。彼らはどんな経歴でゴルフをしてきたのか、そしてどんなスイングをしているのか。「U-25世代」の若者たちにスポットをあて、彼ら自身の口でスイングをセルフ解説してもらった。
内藤雄士コーチ指導のもとスイングが復調
2回目に紹介する選手はツアー2年目の24歳、清水大成だ。福岡県出身、時松隆光と同じ桜美式ゴルフで育ち、今でもベースボールグリップで握る。日大ゴルフ部出身で、大学1年時に出場した「日本学生」で21年ぶりとなる“1年生王者”に。大学4年時には主将を務め、同期の桂川有人、木村太一とともに一時代を築いた。
2020年にプロ転向し、学生時代の勢いのままにツアーで大暴れすると思われたが、スイングの不調に陥ったこともあり思うような成績を残せずにいる。昨年末より内藤雄士プロコーチに師事し、スイング修正に明るい兆しが見え始め、成績も右肩上がりに。今季トップ10が3回、賞金ランキング19位(9月11日時点)と好調をキープしており、後半戦に向けて初優勝への期待も高まる。
ではまず、彼のスイングを見てみよう。
―スイング中に意識している部分は?
とにかく体で打つことを意識しています。悪くなると、手でクラブを上げて手で下ろすような手打ちになりやすいんです。始動から、体を使ってクラブを上げるように注意しています。
―スイングの不調に陥っていたと聞きましたが…
一昨年の後半戦から調子が悪くなって…。いま言ったように、手でヒョイとインにクラブを上げて、インサイドアウトの度合いがすごくキツくなっていたんです。本当に悪いとチーピンみたいな球が出て、それを嫌がって“ド右”にしか行かなかった。それでも昨年はだましだまし戦ってきたんですが、「これはもうダメだな」と思って、ことしのオフにコーチをつけようと決めたんです。
―ことしは内藤雄士プロコーチに習い始めた
内藤さんには日大の縁もあって、大学時代から何度か教えてもらうことがありました。コミュニケーションが取りやすいというのもあって、このオフから正式にお願いしました。そこで指摘されたのはやはり、「体の回転と腕の運動量がバラバラ」ということ。手が内側(イン)に上がってフェースはシャット(閉じた状態)になりやすかった。習い始めてからは、両腕の間にボールを挟んでひたすらハーフスイングの日々。最初はとにかく窮屈で、まともに球が当たりませんでした。
―いつもボールを両腕に挟んで練習していますね
(ボール挟みは)もう半年近く続けています。ボールが落ちないようにするには常に胸の正面に手がないといけないですし、その状態で打つには胸もしっかり回さないといけない。ボールを挟んだ状態で、ウェッジからドライバーまでひたすらハーフスイング。昨年の年末から、1、2月まではほんとボールを挟んでのハーフスイングしかしていませんでした。その結果か、内藤さんの言う体の回転量と腕がマッチしてきて、ひじのたたみ具合などが徐々にわかってきたんです。次第に、ドライバーでもボールを挟んだまま打てるようになってきました。
―いままでと違う動き。インパクトのタイミングなど難しい?
確かにいままでよりも振りがコンパクトになって、なかなか最初はタイミングが合いませんでした。でも最近はようやく体になじんできて、感覚が出てきました。いままでに比べて格段にプレーンが安定しているので、大きなミスもなくなってきています。軌道が良くなってくればミスも気にせずしっかりと振れるので、結果的に飛ぶようになったと思っています。
―内藤コーチとダウンスイング時の体の使い方の話し合いをしていた
スイングが良くはなってきたものの、切り返し以降でどうしても前傾が起き上がりやすくて…。内藤さんによれば、もっと胸がボールに近づくように打てれば、体の前にスペースが生まれて、スイングプレーンをインパクト以降もキープできるというアドバイスでした。もともとインアウトがきつくて、フォローでクラブをアウトに振る癖がありました。体の前にフトコロを作れれば、インサイドに振りやすくなり、軌道を修正するのには効果的という話でした。なかなか試合中にこれを継続するのは難しいですが、徐々にできてきているので、やり切りたいですね。
―飛距離が出る清水プロ。飛ばしのコツは?
実は、小さい頃はまったく飛ばなかったんです。高校3年のときから急に飛ぶようになって。身長が伸びたのと、トレーニングを始めたのが大きかったです。高校時代はトレーニング好きの友達が多くて、メニューも聞いてやるようになったのが始まり。腕立てや腹筋など自重でできるトレーニングをやっていました。体で打つスイングだと、ほんと下半身のトレーニングが重要になりますよね。
清水の同級生である木村太一も内藤コーチに習っていて、オープンウィークなどは、内藤コーチがレッスンをする東京都・高井戸の練習場(ハイランドセンター)のそばに住む木村の家に泊まり込んで一緒に練習に行くこともあるとか。この世代の選手たちはみな仲が良く、練習場でも常に和気あいあい、互いにスイングを教え合うシーンも見られる。ひと昔前のような、口も聞かないバチバチとしたライバルの関係性とはまた違う感覚なのだろう。
すっかりツアーになじんだ感のある清水だが、まだ大学を出てから2年しか経ってないという事実には、改めて驚かされる。この先どのような進化をとげていくのか、成長の過程を見守っていきたい。(取材・構成/服部謙二郎)
最後にもう一度、後方から清水のスイングをチェック
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