キャロウェイ特集
2022/11/25

“高嶺の花”だけではない 高価格モデルを送り出す狙いとは

連載:至高のハイエンドモデルが誕生するまで

ハイエンドモデルの使命

「ミルドパターの分野において認知度を上げるリブランディングのためです。ハイエンドなレア物から落とし込こむことで、“こんなパターがあるんだ”とゴルファーに知ってもらいたい。ブランドの上質感をもっと上げていきたい、という願いです」

ハイエンドモデルは高い開発力を示せるツールでもある(撮影:落合隆仁)

同社としては、まだ「トゥーロン パター」の世界的な認知度は不十分という評価。ライバルメーカーに打ち勝つためには、ブランド力のさらなる底上げが必要との判断だった。そのためにコストを度外視して最高峰のモデルを作り、その名を世界に広めていく。「結果的にトゥーロンというブランドが認知され、(高価格帯は)購入できないというゴルファーにも、市販モデルに興味を持っていただける流れになってくれたらうれしい」と期待を寄せる。

「半分はメーカー側のアピール」ということもあり、社内には売れ行きを不安視する声が挙がっていたものの、実際には日米とも完売が続いている。最上級の素材にクラフトマンシップの情熱が注がれた作品は、それを理解できるゴルファーの感性に刺さり、支持を得ることにも成功した。

また、22年11月11日にフルラインアップで数量限定発売された「グレートビッグバーサ」シリーズも、同じような思いを寄せて開発されたハイエンドモデルのひとつだ。

従来以上の低重心化を実現した「グレートビッグバーサ」シリーズのアイアン(撮影:落合隆仁)

例えば5本セットで30万円を超えるアイアンのボディには、航空機のフレームなどに用いられる軽量で高強度の「CP4」チタンを採用。重量設計の自由度を大きく上げることでバックフェース下部に約145gものタングステンウェイトを搭載することが可能となり、従来モデル以上の低重心化を実現した。「キャロウェイブランドの幅をより効かせた、キャロウェイとしてできることのアピールのひとつ」という狙いも秘められている。

「毎年、裏切ってくる」テクノロジーの進化

販売価格を考慮する必要がある市販用クラブの開発には、素材や製法に何かと制約がかかるもの。コストを度外視したハイエンドモデルの開発は、それまで見えなかったものを発掘できる機会となり、従来にはない“夢のクラブ”へのヒントにもなり得る。

クルマの世界を見るとわかりやすいだろう。世界最高峰のフォーミュラワン(F1)は、1台あたり数億円するため市販車には到底なり得ない。しかし、そこで培われたノウハウを市販車に応用することで、一般ユーザーが技術革新の恩恵を受けられるケースは多く、結果的に豊かなカーライフの提供につながっている。

技術の進化は限界に達したと感じても、キャロウェイゴルフの開発陣は「毎年、裏切ってくる」。未知の性能を宿す可能性を秘めたハイエンドモデルは、そんな想像を上回るテクノロジーの進化においても重要な役割を担っているのかもしれない。

最高峰の素材とテクノロジーの融合。高価格モデルの役割にかける期待は大きい(撮影:落合隆仁)

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