素材でクラブ性能はどう変わる? コスト度外視で開発したシリーズとは
ゴルフクラブの開発において、技術の進化とともに各メーカーがしのぎを削っているのが、製品のパフォーマンスを高められる素材を見つけ出すことだ。販売するからには素材や加工にかけるコストの制限は常につきまとう。そこを度外視すると、クラブの性能はどこまで高められるのだろうか?
キャロウェイゴルフは2022年、その答えを求めるチャレンジに打って出た。ハイグレードな素材を用いて、最高峰のクラブを作り上げることへの経緯と思いに迫る。
クラブ素材が秘める重要性
近年のゴルフクラブには、開発コンセプトや求めるテクノロジーによってさまざまな素材が用いられている。「実現したいテクノロジーによっては、“素材ありき”の部分が大きいかもしれません」と話すのは、同社のアジアプロダクトマネジメント シニアマネージャーを務める茂貫太郎(もぬき・たろう 敬称略、以下同)。試作品を作り、トライ&エラーを繰り返すなかで行われる素材選びは、クラブ開発において最も重要な工程のひとつだ。
より最適な素材を求め、ゴルフとは別の業界にも常に目を光らせている。「開発チームが調べ上げ、良い情報があれば話を聞きに行き、クラブやボールの新しい素材を供給してもらうこともあります」。例えば2010年には、イタリアの高級スポーツカーを製造するランボルギーニ社との共同開発により生まれた軽量カーボン素材が話題に。投資を含めた開発への熱意は、茂貫が「どこのメーカーにも負けない自負があります」と言い切る同社の強みでもある。
純チタンの最高グレード素材を採用
そんな同社が「コストの壁を取り払って」開発を進めたシリーズが、22年11月11日(金)に数量限定で発売された「グレートビッグバーサ」。より優れたパフォーマンスやフィーリングを求め、ゴルフに限らずライフスタイルに強いこだわりを持つゴルファーに向けて厳選した素材で作られた。
特筆されるのは、5本セットで税込30万円を超えるアイアンのボディ素材に採用された「CP4」チタンだ。非合金工業用純チタン(CP)において最上級のグレードを誇り、航空機のフレームなどにも用いられている。「ゴルフクラブに使ったのは業界初ではないでしょうか」と茂貫はいう。
モデル名は、1995年に同社初のチタンドライバーとして誕生し、飛距離性能やスイートエリアの拡大といった革命的な進化をもたらした名器から継承。初代の登場から長いときを経て、「グレートビッグバーサ」は再びチタンを介して新たな性能を宿すことになる。