成長を継続するための新シリーズ創出 ロングセラーブランドの変革
2000年に発売された「ゼクシオ」は、2年に一度モデルチェンジを行う。原則的には1モデルでの展開にこだわってきた。その禁を破ったのが20周年の節目となった2019年。「ゼクシオ 11」とともに、「ゼクシオ エックス」がラインアップされたのだ。
初代モデルが誕生して以来、長らく国内売り上げナンバー1を誇ってきた人気ブランドの変革。その決断に至るまでの背景と現状に迫る。
新シリーズ誕生のきっかけは「新たなユーザーの獲得」
「『ゼクシオ』をもっと幅広い層に広げるため、何かしなければという思いは以前からありました。ただ、『ゼクシオ』として新しいモデルを出すことで、既存のユーザーから『これはゼクシオじゃない』と思われないか、別シリーズが出ることでパワーダウンしたと思われないかなど、社内では様々な意見がありました」
こう話すのは「ゼクシオ」の企画を担当する住友ゴム工業ゴルフビジネス部の佐藤弘樹課長代理(敬称略、以下同)。議論を重ねた末に発売となった「ゼクシオ エックス」が目指したのは、新たなユーザーの獲得だった。
「自分たちのためのクラブ」と思わせるゼクシオ
「飛び」と「打ちやすさ」と「爽快感」。「ゼクシオ」ブランドとは切っても切れない3つの基本理念を実現させ、その中で「1球目からナイスショットが出る」、そして「キャリーで気持ちよく飛ぶ」クラブを目指して開発してきた。
その中には「軽量化」も含んでいたため、“パワーが落ちた人”でも振り切れるという特長が定着していた。そのイメージがクラブ特性として先行し、軽量クラブを好まない層が手を出しづらいという声も聞かれたという。
ただ開発担当の中には、「もっとたくさんのゴルファーに、『ゼクシオ』に触れてもらいたい。実際に使っていただければ、良さが分かってもらえるという思いがありました」
こうした基本理念はそのままに、多くのゴルファーに「自分たちのためのクラブ」と思わせる新たな「ゼクシオ」の開発がスタートした。