フジクラ特集
2023/03/06

復活期す永峰咲希 クラブもシャフトも座学から

連載:老舗シャフトメーカーが誇る伝統と新たな血統
今シーズンに復活を期す永峰咲希(撮影:落合隆仁)

国内女子ツアーの新シーズンが開幕。今年も熱き戦いが始まった。そんななか、復活を期す選手のひとりが、ツアー2勝の永峰咲希だ。2020年に「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」でメジャー初制覇したものの、昨シーズンはトップ10入りが1度だけと、苦しいプレーが続き、メルセデスランキング65位でシード陥落。今年はメジャー優勝で得た3年シードを行使してのツアー参戦となる。

4月で28歳。若手ゴルファーの躍進が続く現在のツアーの中では“ベテラン”という言葉もちらつき始めるが、まだまだ進化の過程。スイング、コースマネジメント、クラブ・シャフト選びなど、さまざまな面で新たな知識を吸収し、強さを取り戻そうとしている。

試行錯誤の中、メジャー制覇もシード落ちも味わった

新しい取り組みの試行錯誤の中、メジャー制覇とシード落ちを経験した(撮影:落合隆仁)

メジャー制覇を果たした2020年はコロナ禍で開幕が遅れる異例のシーズンだった。

「この年から目澤秀憲コーチの指導を受けるようになりました。大きく変えなければいけないところがあったので、試合がないことはつらかったのですが、取り組む時間があることは良かったなと思います。ただ『これだけをやろう』と3つぐらいのポイントを意識している段階だったので、(メジャー大会で優勝したことは)こんな状態で勝ててしまったという感じでした」

新しい取り組みを始めれば、一時的に成績が落ち込むのは仕方がないこと。しかし逆にすぐに結果が出てしまい、本人にもとまどいがあった。そのため優勝から2年でのシード落ちは、周囲から見ればまさかの事態だが、本人にしてみれば、2022年にその落ち込みのタイミングが訪れただけだった。

「ドライバーが曲がるというのもあったのですが、ずっと好きで自信を持っていたアイアンもなかなか距離感が合わない状態でした。そもそも2打目をラフから打つことが多くなっていて、私の問題なのか、ラフからだからなのかもよく分からない。シーズン終盤になってようやくドライバーが真っすぐ行き始め、フェアウェイから2打目を打てるようになっても、やっぱりあまり寄らないなという感じでした」

試行錯誤が続く中での1年の結果が、シード落ちだった。

オフシーズンはチームメートと“座学”に取り組む

地元・宮崎で目澤コーチらとトレーニングに取り組んだ(撮影:落合隆仁)

シード落ちが決まると、すぐに長期シードの行使を決めた。予選会(QT)に参加し、そこで来季の出場権を得られれば、権利行使を先送りにすることもできた。しかし、結婚2年目の永峰はそうはしなかった。

「迷いはまったくなかったです。例えば、将来、出産した後にツアーに戻ってきたいという思いはありますが、その時には体力も落ちて戦える状態じゃないかもしれない。将来の3年より、体力もあって、やりたいことがたくさんある今の3年の方が楽しいだろうと思えました。父にも『そんなのがあるからシードを落とすんだ』と言われ、イラッとしましたけど、それも一理あるなと」

笑顔で話す姿を見れば、それが前向きな決断だったことはよく分かる。そして、迎えたオフシーズン。永峰の姿は目澤コーチや彼に指導を受ける他の選手とともに宮崎にあった。

「私が宮崎に住んでいるので、みんなが来てくれた感じです」。永峰にとっては地元だが、チームとしては開幕前の合宿となる。ボールを打ち、ラウンドを重ねるのはもちろんだが、座学にも多くの時間を費やした。

「弾道計測器の使い方やコースマネジメントなどの講習を受けています。久々にノートをとっているので、漢字が出てこなかったり…(苦笑)。プロゴルファーが並んで講習を受けているのが不思議な感じです」

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