新たなファン層の獲得を図る老舗ゴルフメーカーの次なる一手
1959年の創業から職人による熟練の技を継承し続け、「世界で最も優れたゴルフクラブをつくる」ことを目標に製品開発を進めてきた本間ゴルフ。その老舗ゴルフメーカーが、新たなファン層の獲得に向けて新シリーズの創出に打って出た。目的を実現するために行われた戦略とは? フリーアナウンサーの青木源太さんが本間ゴルフの酒田工場を訪れ、複数のキーパーソンに話を聞いた。
ターゲットは「ゴルフを楽しんでほしい若い世代」
一般的には、従来シリーズの後継となれば、ターゲット層は前モデルから大きく変更することはない。しかし、新シリーズとなれば、どんなゴルファーに手にしてもらいたいか明確な方向性を定める必要がある。青木さんはまず、新シリーズのターゲットについて質問を投げかけた。
企画担当の鈴木隆弘さんによれば、「本間ゴルフの良さを若い世代のゴルファーにもっと知ってもらいたいという思いが、新シリーズの出発点」なのだという。
「私たちはフィッティングチームと行動をともにして、ゴルファーの生の声を収集します。試打会はもちろん、時にはトーナメント会場にも行き、ツアープロの声に耳を傾けるんです。多くのゴルファーと接して感じたのは、若い世代のアベレージゴルファーにもっとアピールしなければいけないということでした」
フラッグシップモデルとの差別化
本間ゴルフのフラッグシップモデルに位置づけられる『ツアーワールド』シリーズは、その名の通りツアーから発信され、主にプロや中・上級者をターゲットとしている。その中でもアベレージゴルファーが扱えるモデルやスペックは用意されているが、新シリーズに求められたのは「クラブ市場の一番のボリュームゾーンであるアベレージゴルファーをより細分化する」(鈴木さん)ことだった。
具体的なターゲットは、さらに絞られていく。「少しでも飛ばしたい、安定した球が打ちたい、ゴルフ歴が比較的長めのゴルファー」。これだけ明確にターゲット像がイメージされていると、企画チームから開発チームへのバトンがスムーズに渡る。そうして誕生したのが、11月25日に発売される『BERES NX』シリーズだった。