本間ゴルフ特集
2022/11/11

新たなファン層の獲得を図る老舗ゴルフメーカーの次なる一手

連載:「完璧なクラブ」をつくり続ける“匠”たちの思い

テクノロジーをあえて見せるデザイン

開発時にはクラウンの凹凸構造の形状も多数のサンプルを出して最適解を導き出している(撮影:落合隆仁)

青木さんは『NX』シリーズのドライバーを手にしながら、「テクノロジーを感じるデザインですね」と、ルックスの印象を伝える。開発担当の佐藤巧さんによると、今回のシリーズではカーボン素材のクラウン部に格子状の凹凸構造が特徴的なデザインを採用。模様や素材感をあえて見せる外観になっている。

「クラウンにある格子状の凹凸構造は剛性を高めるためで、ヘッドの素早いたわみ戻りを生み出す効果があります。つまり、それが飛距離や初速アップにつながる設計となっています。ターゲットはゴルフ歴が長い人。直接的に性能を感じさせるデザインにすることで、うんちくとしてゴルフ仲間との“ギア談義”のネタにもなるでしょう」

デザインの意図を聞いた青木さんは納得の表情を浮かべ、『NX ドライバー』を手に取りアドレス姿勢をとった。「実際に構えてみると、顔が良くて据わりもいいですね」。本間ゴルフらしい感性に響く顔、スムーズに始動できる顔、弾道をイメージしやすい顔といった伝統もしっかり踏襲。ゴルフ歴が長いターゲット層を意識したモノづくりが徹底されている。

強みとするシャフトの開発力で課題を解消

ヘッドスピードに合わせたマシンテストを繰り返し最大飛距離を得る弾道を求めている(撮影:落合隆仁)

開発の途中では、最適なスピン量を実現するための課題も見つかった。佐藤さんによれば、「2200~2400回転に近づけることで平均的なヘッドスピードの男性ゴルファーが最も飛距離を稼げるのですが、ロースピン性能のために球がドロップしてしまう可能性がありました」という。

飛距離性能とやさしさを維持しながら、理想のスピン量を確保するために開発チームが着目したのがシャフトだった。「シャフトの開発チームと連携し、スピンが入りやすいシャフトを作りました。ヘッド性能を最大限に生かせるシャフトを同じ敷地内で作れるのは、私たちにとって大きな強みです」

この解決策に「なるほど」とヒザを打った青木さん。「ターゲット設定からテクノロジー、シャフトなど、すべての話に説得力があり、納得させられました。工場で匠の方々の仕事も拝見し、本間ゴルフのファンになりました」

若い世代に響く新シリーズとなるか

「『NX』の性能は一度試せば飛距離ややさしさを実感できます」と青木さん(撮影:落合隆仁)

企画から開発まで、一連の話を聞いた青木さんは、「本間ゴルフさんの『若い人にも本間ゴルフのクラブを使ってもらいたい』という思いをとても感じました。私も試打させてもらいましたが、確かな性能を持つ『NX』シリーズは一度試せば、その飛距離性能とやさしさを実感できます」と納得の表情だった。

若い世代のゴルファーに向けて、本間ゴルフが強い期待を込めて送り込む新シリーズ。既存のフラッグシップモデルとの差別化を図りながら、ファンの裾野の広がりを図る老舗ゴルフメーカーの挑戦が始まる。

(撮影:落合隆仁)

青木源太 プロフィール
あおき・げんた/1983年生まれ、愛知県岡崎市出身。2006年にアナウンサーとして日本テレビに入社。情報・バラエティ番組への出演を中心に、ゴルフ中継などでスポーツ実況も担当。2020年に日本テレビを退社し、フリーアナウンサーとして再スタートを切った。ゴルフ歴は5年。平均スコアは100前後

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