本間ゴルフ特集
2024/10/07

「つくった職人さんの顔が見えるクラブ」酒田工場で世界のHONMAの神髄を見てきた

連載:「完璧なクラブ」をつくり続ける“匠”たちの思い

■最高の品質管理のウラに「神になればいいじゃない」

丁寧な作業が最高の品質管理につながっています(撮影:角田慎太郎)

工場を案内してもらって、気になったことがありました。掲示板に張り出された社外秘のグラフや図です。生産量やコスト削減率などを可視化して従業員に知ってもらうためのものだと吉村さんは言います。機械ができる部分は自動化しつつ、人の目を大事にして改善を進め、シャフト工程では、工場長になってから不良品率を5%から1.8%まで下げたそうです。他社が5~7%ということなので、いかに低いかがわかります。

そのいきさつがまた独特。「私が『3%を切りたい』と言うと、シャフトをつくっている人たちは『3%を切るなんて神の領域ですよ』と。『じゃあ、神になればいいじゃない』と言って工程を見直して3%を切った。次は2.5%を切って、『ほら神様になった。じゃ今度は2%を切ろう』と」

カラーリング鮮やかなコスメに感動(撮影:角田慎太郎)

かつて外資系医薬品会社に勤務し、不良品を出してはいけない世界に身を置いた吉村さん。「HONMAの設備においては、医薬品をつくれる工程管理能力をもった機械を入れています。これが私たちの強み。匠たちがつくる仕上げ品質と美しさ、塗装の美しさもあるが、設計された性能が、どれ1本とっても間違いがなく、最高レベルで反映されています」

■最初は人の感性、最後も人が見て完成するHONMAのクラブ

職人の厳しい目が高品質の製品を生み出します(撮影:角田慎太郎)
アイアンの組み立て工程(撮影:角田慎太郎)
1本1本、反発性能をチェック(撮影:角田慎太郎)

酒田工場の従業員の方はみな「クラブをつくることに誇りを持っている」と佐藤さん。「いわゆるメイド・イン・ジャパンの精神が根付いている」とも。その思いをどう伝えたいか。「まずはHONMAのクラブを手にとって、一度打って体感していただきたい。そうするとどれだけ他社と違うかがわかります」

ゴルフ歴は35年の佐藤さん。「うまくなったかどうかは聞かないでください」(撮影:角田慎太郎)

吉村さんにも聞いてみると同じ答え。「アイアンは7番だけとか、ドライバーだけとかではなく、フェアウェイウッドもユーティリティも手に取って試打してほしい。エンジョイ派、競技志向、プロとそれぞれに合ったクラブを出しています。トータル設計しているので、バランスの良さは自慢。HONMAのクラブのつくり方もできるだけ多くの方に見ていただいて、知ってもらいたい」

吉村さんは6年前に転身して本間ゴルフへ。工場長として生産効率アップに努めている(撮影:角田慎太郎)

今回の見学で、イチから酒田でつくっているクラブを自分が使っているんだと思うと感動したし、もっと大切にしたいと思いました。一般の方も、HONMAのゴルフクラブづくりが形から入っていること、歴史があることを知れば、自分がそうなったようにお気に入りのクラブになる気がします。見た目もいいし、なにより日本のメーカーのクラブを使っているというカッコ良さがありますから。

歴代クラブや優勝者のギアなどを展示している酒田工場。私が愛用するクラブもありました(撮影:角田慎太郎)

渡部夏生(わたべ・なつき)
山形県酒田市出身。祖父の影響で9歳からゴルフを始める。高校でゴルフ部に所属、競技ゴルフを経験。ゴルフから離れ、進学した大学では体育学(健康スポーツ学)を専攻。GOLFTEC by GDO神田店コーチ。

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