日本発の世界に誇るゴルフメーカー キーワードは「カスタマイゼーション」/本間ゴルフ・小川典利大社長インタビュー
日本を代表する名門ゴルフメーカー「本間ゴルフ」。同社を率いるのは昨年12月に代表取締役社長兼最高経営責任者に就任した小川典利大さん。複数の大手外資系企業を経て、国内大手アパレルメーカーの社長から転身した“HONMAの顔”。ジュニア時代に酒田工場敷地内の研究センターで腕を磨いた縁がある、GDOレッスンスタジオ「ゴルフテック」の渡部夏生コーチが、小川社長を直撃取材。その野望に迫った。(構成・編集部)
■日本の技術や日本のブランドをもう一度、世界に際立たせたい
山形県の北西部にある本間ゴルフ酒田工場。広大な生産拠点の一角に研究センターがある。奥行き370ヤード、幅60ヤードのゴルフレンジを備え、開発試作モデルの実打テストなどが行われる。かつて、ジュニア育成のために開放していた当時、酒田出身の渡部コーチはここで練習していた。小川社長の「懐かしいでしょう」という声がけからインタビューはスタートした。
―まず、本間ゴルフの社長に就任されたきっかけを教えていただけますか
「外資系の会社を何社も経験してきて、その中で、日本から世界に発信したいという思いがあり、そんな時に、日本の企業(デサントジャパン)から話がありました。日本の本当の技術を世界に示せるし、より自分のやりたいことができると黒字化を目標にして7年間。やりきった時に本間ゴルフに声をかけていただいた。スポーツ全般ではなく、1つのカテゴリーになるが、自分の趣味でもあるゴルフで、日本の技術や日本のブランドをもう一度、世界に際立たせたいという思いで入社を決めました」
■外から見た本間ゴルフ「ここには復活劇がある」
それまで小川社長にとって、本間ゴルフのイメージは日本女子ツアーの元賞金女王、イ・ボミ選手らが使っているクラブ、父親が最初に買ったクラブ。また、自宅から5分の場所に直営店があったそう。世界へ発信したい思いは、前職時代のエピソードがわかりやすい。
-外から本間ゴルフをみて、どういう思いがありましたか
「日本の技術を世界にもっと伝えていこうと思った前職時代、いまは使われなくなった『クールジャパン』という言葉があって、すごく良かったと思っている。そういうのを体現できるのが、特にギアを扱っている本間ゴルフではないか、と思った。いろいろな技術を持っていて可能性を感じていた。昔の歴史的な、伝統的な部分をうまく変えていけば、ここには復活劇があると」
■就任2日目に酒田工場訪問で受けた感銘
就任して2日後に酒田工場を訪れた小川社長は、「本間ゴルフという企業は一度企業再生の道をたどらなくてはならなかったというのもあり、日本企業にありがちな内向きと感じた。ただ、ものづくりをしている人の目や動きには、今まで見たことのないような感銘を受けた。これがあればなんとかなると思った」という。
-ほかのメーカーと違って、手作業でヘッドの形状をつくるところから本間ゴルフのクラブづくりは始まる一社完結生産ですが、具体的にどこに感銘を受けたのでしょう
「一人ひとりがものすごく自分の仕事に対して丁寧に、きめ細かくやっているということ。真摯に1個1個のものに向き合っていた、というのが一番です。それと最初にシャフト工程から見たが、自社でつくっているのは驚きだった。これは強みだと思った。ウッドやアイアンのマスターづくりも丁寧にやっているが、ピンときたのは最初に見たシャフトでした」