桑木志帆の強さを引き出す「クセのない」シャフト
シャフトに絶対の信頼を置く「最も手のかからない選手」
翌2025年シーズンは優勝こそなかったものの、トップ10入り15回を記録。メルセデスランキング9位(賞金ランキング10位)と安定した成績を残した。この年、ドライバーヘッドを契約メーカーの最新モデルへ変更したが、シャフトについては「(変更を検討することは)まったくなかったです」と話すほど、絶大な信頼を寄せている。
三菱ケミカルのツアー担当者によると、「ツアー会場で顔を合わせるたびに、シャフトに問題がないかを確認しますが、必ず『まったく問題ありません』と返ってきていました。普通は調子が悪くなると、道具の調整で何とかしようとする選手もいますが、桑木プロの場合はスイングの矯正で解決するため、言葉は悪いかもしれませんが、最も手のかからない選手です」と、その信頼ぶりを振り返る。
「フェアウェイに置く」を貫いてつかんだメジャー制覇
そして迎えた2026年シーズン。国内で2勝を挙げて臨んだ全英女子で、ロイヤルリザム&セントアンズGCを攻略するにあたって意識したのは、「フェアウェイに置くことが第1条件」だった。
「バンカーに入れてしまうと、間違いなくプラス1打になってしまうコースだったので、自分の得意なライン出しを活用して、風に負けない球」を打つことを心掛けたという。
その結果、4日間72ホールでバンカーにつかまったのはわずか2回。「ドライバーはイメージも良く、毎回自信を持って打てました」と振り返る。プレーオフ1ホール目のティショットこそ右に曲げてラフに入れたものの、このピンチをパーで切り抜けると、2ホール目は確実にフェアウェイをキープ。2打目はグリーン奥をとらえてパーオンに成功した。一方、今度は相手が右ラフに入れてしまい、2打目は出すだけ。3打目でグリーンに乗せたが、パーキープできずボギー。桑木はしっかり2打でパーセーブし、見事メジャー制覇の偉業を成し遂げた。
「最高の景色をもう一度」見据える次なる夢
「正直、メジャーで優勝できるとは思っていなかったので、驚きと喜びがあります。ただ、飛距離で戦うのではなく、方向性でつかんだメジャー優勝だったと思います」と、イングランドでの激闘を振り返る。
勝因のひとつとして、「ドライバーも含めショットがかなり安定してきて、チャンスも増えました。そのチャンスをしっかり決めきれているので、良い結果につながっていると思います」と話し、ショットの安定感を挙げる。
今後の目標は「LPGAツアーで優勝すること」。メジャー制覇によって5年間のLPGAツアー出場資格を獲得。来季のルーキーイヤーに向けては、「ツアールーキーとしてたくさんの人に顔や名前を覚えてもらい、面白いゴルフやファッションをするなと思ってもらえたらうれしいです」と期待を膨らませる。そして、「またメジャー優勝をして最高の景色を見ることが今後の夢です」と、再び世界の頂点に立つことを見据えている。
飛距離だけに頼らず、方向性を武器に世界の頂点をつかんだ桑木。その武器を支えてきたのが、長年愛用する三菱ケミカルのシャフトだ。
三菱ケミカルの担当者は「米女子ツアーにもスタッフを派遣していますので、サポート体制は万全です。実は米女子ツアーの担当者が数年前、『桑木志帆は間違いなく米国で活躍できる選手』と言っていました。そんな彼女の挑戦を心待ちにしています」と期待を寄せる。
これから始まる新たな挑戦でも、信頼を寄せる「ディアマナ BB」とともに、世界を舞台にどんなゴルフを見せてくれるのか注目したい。