新製品レポート

ことしのヤマハは当たり年!? 外ブラっぽい強さを感じる「RMX VD/M ドライバー」

2023/10/09 07:00
高初速+最適な操作性のNEOアスリートモデル「RMX VD/M ドライバー」の性能は?

ヤマハから、プロの要望に応えて生まれた新「RMX VD」シリーズが登場した。新しいドライバーは「RMX VD/R」、「RMX VD/M」、「RMX VD/X」の3機種展開。なかでも、「RMX VD/M ドライバー」は、神谷そらが実戦投入してすぐに勝利に貢献したことで、大きな話題となった。今回は注目の新「RMX」の性能について、ギアマニアのミタさんが解説。そして300ydヒッターの飛ばし屋・ヨシダくん(HS50m/s)とベテランゴルファー・シオさん(HS40m/s)が試打を行い、その性能を調査する。

クラブの特徴は?

「RMX VD/M」(左)と「RMX VD/R」(右)。ウエート調整機能の構造が違う

【ミタさん】
今回紹介するのは、神谷そらが使っているヤマハの「RMX VD/M ドライバー」です。

【シオさん】
「日本女子プロゴルフ選手権」で神谷が使用し優勝したことでも話題になりましたね。

【ヨシダくん】
契約選手がシーズン中に新しいドライバーに替えるというのは珍しいですよね

【ミタさん】
そうなんです。ことしはヤマハ契約プロのほとんど全員が新「RMX VD」シリーズを使用しています今平周吾は2017年に契約してから、「116」をエースドライバーとして使用しており、新モデルが登場してもほとんど替えずに愛用していましたが、ことしは開幕戦から「VD/R」のプロトタイプを投入し、優勝しました。それ以降の試合でもずっと替えずに使い続けています。

飛びの三要素を極めた新設計のブルズアイフェースを搭載している

【ヨシダくん】
相当プロからの評価は高いんですね

【シオさん】
ヘッドの構造はどのような点が変わったのですか?

【ミタさん】
最も大きいのは、ブルズアイフェースという新設計により、飛びの三要素と言われるボール初速、スピン量、打ち出し角を全て最適化したことです。ツアープロの多くは、今使っているモデルと比べて飛距離がアップしないと、すぐに変えようとはなりません。クラブ変更に対して抵抗のある選手も多い中で即投入する選手が多くいたということは、少なからず飛距離の恩恵があったのだと思います。

フェース・バック方向に動かせる移動式ウエートを搭載。重心深度を変更することで弾道の高さをコントロールできる

【シオさん】
「VD/R」と比べると、「VD/M」は移動式ウエートの配置が違いますね

【ミタさん】
「VD/R」はトウ・ヒールの縦方向にウエートを動かすことでドロー、フェードの球筋を調整できる構造でしたが、「VD/M」はフェース・バックの横方向に動かすことで重心深度を変え、弾道の高さをコントロールできるようにしています。

新スリーブ構造(写真上)ではロフト可変幅が±2度に拡大した

【シオさん】
シャフトのスリーブも新しくなっていますね

【ミタさん】
今までプラスマイナス1度の調整幅だったのが、プラスマイナス2度になりました。その結果、9.5度と10.5度のヘッドで7.5度から12.5度までの幅でロフトを選ぶことができます。

【シオさん】
かなり調整の幅が広がりましたね。

【ヨシダくん】
女子ツアー屈指の飛ばし屋が使っているドライバーを試打して、性能を確かめましょう!

試打した印象は?

460ccのヘッドはフェースの向きがスクエアで構えやすい 。「RMX VD/R」に比べ少しシャローに見える

【シオさん】
ヘッド体積は「VD/R」が445ccで「VD/M」が460ccと少し大きめですが、顔の系統は似ていてスクエアに構えやすい。ちょっとだけシャローになった感じです。

【ヨシダくん】
前作までの大きすぎる印象がなく、スッキリしましたね。ポンと置いたときにヘッドがグラつかないので、座りの良さを感じます。イマドキのアスリートモデルという雰囲気です

シオさんとヨシダくんの「RMX VD/M ドライバー」(ロフト角10.5度)試打データ

【ミタさん】
打った印象はどうですか?

【シオさん】
1球目から良い球が打てますし、すごく飛びます。そこまでマン振りしたつもりはないのに、インパクト直後の打球が強かったです。中・高弾道のストレート軌道で、直進性の高さを感じました。シャフトもクセがなくて振りやすかったです。

【ミタさん】
データもすごく良いですよ。打ち出し角が14度前後、バックスピンが2000~2200回転、ボール初速が58~60m/sくらいだったので、HS40m/sのシオさんにはなかなかいい数値だと思います。ヨシダくんはどうでしたか?

三菱ケミカルとヤマハが共同開発した「RMX VD」シリーズ用シャフト。先端にスピード感を持たせ、高弾道で飛ばせる性能

【ヨシダくん】
たしかに振りやすい! 今、私が使っている海外メーカーのドライバーに近いフィーリングでした。打感は「VD/R」の方が柔らかくて食いつき感はありますが、「VD/M」も決して硬いわけではなくて、適度な食いつき感とハードヒットした強さを両立している感じ。いかにも飛びそうな打感です。

【ミタさん】
実はブルズアイフェースともう一つ変更したのが重心設計です。前作までは重心角が大きくて、重心深度が深い設計でしたが、今作は海外メーカーに近い重心角と重心距離にしています。

【ヨシダくん】
ほどよいつかまりと、ほどよい操作性があるということですね。打った感じでは「VD/R」に比べて、ミスヒットに強くて安定してストレートボールが打てる印象です。最近の「RMX」シリーズにはなかった強い球が打てることが、ツアープロの多くがスイッチした要因だと思います。個人的にはピンの「G410プラス」に近いかなと思いました。

【シオさん】
今年のヤマハはちょっとイイですね

まとめ

2人そろって高評価をつけた優等生1W。やさしさと操作性のバランスに優れており、中上級者にぴったり

【ミタさん】
操作性が良い「VD/R」に対して、「VD/M」は直進性が高いアスリートモデル。その特徴の違いからか「VD/R」は男子プロからの評価が高く、「VD/M」は女子プロやシニアプロが使っています。ヨシダくんにとってはややアンダースペックでしたが、HS40m/sのシオさんが打つとボール初速、スピン量、打ち出し角の三要素が理想的な数字になっていたので飛距離も出ていましたね。

【シオさん】
このドライバーは慣れる時間が必要ない。明日のラウンドで使っても、何の問題もなく回れそうです

シオさんは試打後に「すぐにでも実戦投入できそう!」と語っていた

■ 試打したクラブのスペック

ヤマハ RMX VD/M ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:TENSEI TR 50 ●硬さ:S

ヤマハ RMX VD/M ドライバー

■ ミタさん プロフィール

1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

■ ヨシダくん プロフィール

1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

■ シオさん プロフィール

1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。

ヤマハ
発売日:2023/10/20 参考価格: 92,400円