新製品レポート

【最速試打】キャロウェイ「ELYTE」 Aiフェースが更なるアップデート 高初速かつ“広初速”へ

2025/01/07 14:00
2025年2月に発売されるキャロウェイ「ELYTEシリーズ」

7日に正式発表され、そのベールを脱いだキャロウェイの新ドライバー「ELYTE(エリート)シリーズ」。抜群の初速性能で話題を集めた21年「EPIC(エピック)」の色合いを髣髴とさせる緑ベースの配色。「ELYTE」「ELYTE X(エックス)」「ELYTE ◆◆◆(トリプルダイヤモンド)」「ELYTE MAX FAST(マックスファスト)」4機種がラインアップされた。早くもPGAツアーでは使用するプロも増えてきている中、今回はスタンダードモデルの「ELYTE」を紹介する。その特徴をギアの知識が豊富なミタさんが特徴を解説。飛距離性能、弾道、打感はアスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打し、分析した。

AIの効果を10倍にしたフェース。ヘッドの試作はなんと75回!

ソール前方に2gのスクリューウエート搭載。後方13gのウエートは装着場所の変更で左右幅の調整が可能

【ミタさん】
ついにキャロウェイの2025年モデルが登場しました。今回紹介するのは「ELYTE」です。

【シオさん】
4機種ある中で、スタンダードタイプが「ELYTE」ですね。

【コウタロウ】
前作の「パラダイム Ai-SMOKE」シリーズは、「MAX」とか「MAX-D」というラインアップでしたが、今回はネーミングが違うんですかね。

【ミタさん】
前作と比較するならば、「MAX」に近いのが「ELYTE」で、「MAX-D」を継承しているのが「ELYTE X」です。ただ、「ELYTE」は前作までの「MAX」に比べると形状がスッキリしています。

体積は460cc。今作はカーボンクラウンとチタンソールを組み合わせた構造

【コウタロウ】
ちなみに“エリート”というのはどういうコンセプトですか?

【ミタさん】
ドライバーの開発は「ボールスピード=初速(飛距離)」を追求すると、「寛容性(やさしさ)」が落ちてしまう。慣性モーメントを大きくしてやさしさを限界まで高めると、スピードが落ちるという二律背反がひとつの壁になっていました。今作はその壁を突破し“エリート領域”と題したそのエリアに突入したことが由来となっています。

【シオさん】
キャロウェイと言えばボールスピードはトップクラスですが、やさしさの壁は突破できたんですか?

「Ai10Xフェース」により前作比で平均飛距離が7.1ヤード、着弾範囲が19%狭まる結果が出ている(第3機関調査)

【ミタさん】
今回、一番進化したのはフェースです。前作の「パラダイム Ai-SMOKE」でもAI設計でフェース面上にコントロールポイントを作って、打点がズレたときの弾道を補正していました。「ELYTE」ではコントロールポイントの数を10倍にしています。だから、フェース面の広いエリアで曲がりにくくなりました。

【コウタロウ】
急に10倍になったんですか?

【ミタさん】
今回の開発にあたり、キャロウェイは設備投資にお金をかけています。コンピューターのアップデートやエンジニアの増員はもちろん、チタン製のパーツが作れる3Dプリンターを導入しました。その結果、プロトタイプの制作時間が大幅に短縮されて、「ELYTE」が完成するまで75回もの試作を繰り返すことができました。

スピードも出ているけど、一番変わったのは打感

前作よりも初速のロスと左右の曲がり幅が減っています(コウタロウ)

【コウタロウ】
アドレスしたときの顔が良くなりましたね。マットブラックのクラウンカラーも落ち着いた印象で、とても構えやすい。

【ミタさん】
打った印象はどうですか?

【コウタロウ】
キャロウェイと言えばボールスピードが魅力なので、当然速いですよ。私は60グラム台の純正シャフト(テンセイGREEN 60 for Callaway)で打ちましたが、ボールスピードは70m/s以上が簡単に出ます。ただ、スピンはやや少なめで、打ち出しはロフト(9度)なり。やさしくボールを上げてくれる雰囲気はないので、多くのアマチュアゴルファーはロフト10.5度で落ち着くと思います。

ゴルフプライド社製の新型グリップ。前作は細かったが今作は一般的な太さに戻っている

【ミタさん】
ミスヒットに対する強さは感じましたか?

【コウタロウ】
曲がらないというのもあるけど、ミスヒットでもボールスピードがあまり変わらないところがすごい。ちょっとヒール側でもボールスピードが69m/s以上出ていました。ただ、印象としては打感が一番変わった。前作よりもチタンドライバーのような食いつく柔らかさがあります。

【ミタさん】
「ELYTE」はクラウン素材も新しくなっています。航空分野などでも使われているサーモフォージドカーボンを採用したことで、より精度の高い設計や最適重心を叶えただけではなく、打球音も心地よくなっています。

寛容性は高いですが打ち出し角とスピン量に注意して試してほしい(シオさん)

【シオさん】
私は50グラム台の標準シャフト「ベンタスGREEN 50 for Callaway」で打ちましたが、気持ちよく振り切れます。さすがに僕のヘッドスピード(40m/s)だと、ボールスピードに大きな変化は感じられませんでしたが、打感は確かに良くなりましたね。前作よりこもる感じがなくなりました。ただ、ロフトが10.5度とは思えないほど、打ち出しが低く、かなりのロースピン弾道でキャリーが思ったほど出ませんでした。エリート領域に達するには打ち手の問題もありそうです。

【ミタさん】
おそらくシオさんは、「ELYTE X」とか「MAX FAST」向きかもしれませんね。

【シオさん】
低スピンだけど、曲がらない感じは体感できました。すごくポテンシャルの高いドライバーで、アスリートに人気のあった「エピックシリーズ」に似ている雰囲気を感じましたよ。

ロフトは10.5度(シオさん)と9度(コウタロウ)の平均試打データ。両者ともスピン量が少ない結果となった

【ミタさん】
スタンダードの「ELYTE」はキャロウェイらしいボールスピードに、AIフェースによる弾道補正機能を融合し、適度な寛容性と操作性を持たせたモデルです。ただし、決して万人向けのドライバーではありません。ヘッドスピードで言えば42m/s以上あって、ドロー系の球筋が打てる人と相性が良いでしょう。1モデルで幅広い層をカバーするというよりも、4モデルで全てのターゲット層をカバーしようとしていると思います。

【コウタロウ】
純正シャフトで60グラム台と50グラム台から選べるのがいい。「テンセイGREEN 60 for Callaway」はアスリートゴルファーでも十分使えるシャフトです。

まとめ

コウタロウは総合的に高い評価。今作はアスリート向けのモデルなのか?!

■ 試打したクラブのスペック

キャロウェイ ELYTEドライバー
●ロフト角:9度、10.5度 ●シャフト: ベンタスGREEN 50 for Callaway(シオさん)、テンセイGREEN 60 for Callaway(コウタロウ) ●硬さ:共にS

■ ミタさん プロフィール

1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

■ コウタロウ プロフィール

1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

■ シオさん プロフィール

1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。

キャロウェイ
新しいAi フェースと未来のヘッド形状で“エリート”領域へ
発売日:2025/02/07 参考価格: 107,800円
キャロウェイ
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